ジャビルカ通信(10年ぶり号外)「ジャビルカ・ブロッケード 25周年祝賀」の集い live stream 日本時間 本日530pm-630pm

以前「ジャビルカ通信」をお送りしていた皆さまへ おひさしぶりです、細川弘明です。大学を退職しましたので、個人アドレス(k22m)から送信しています。

(★ 10年ぶりに、ジャビルカ通信の宛先リストを使って Bcc で配信します。
古いアドレスが通じなくなっている方も多いかとは思いますが、届きましたら幸い!)

(重複してご覧になる方、ごめんなさい。)

当日になってのお知らせで大変申し訳ありませんが、本日、「ジャビルカ・ブロッケード25周年祝賀」の集いが
豪州、北部準州(NT)のダーウィンで開催され、YouTubeでのライブストリームがあります。
日本時間で、17時30分〜18時30分です。

(下記の転送メールに記載されている時刻はオーストラリア各州のローカルタイムですので、ご注意ください。)
(英語とグンジェイッミ語=英語通訳のみです。)

GAC(グンジェイッミ先住民族法人=ミラル氏族の法人オフィス)、
ECNT(北部準州環境センター)、
ACF(オーストラリア環境保護基金)の共催です。

視聴をご希望の方は
https://www.acf.org.au/25-years-jabiluka
からエントリーしてください。

以下、ご参考までに、ACFのデイブ・スウィーニーさんから届いた招待メールです。
(メールのなかにあるリンクをクリックしてしまうと、細川宛に設定された画面が開いてしまうので、
参加エントリーは、上記の一般むけURLからお願いします。)

転送されたメッセージ:

差出人: “Dave Sweeney, ACF”

件名: You’re invited: commemorate the historic Jabiluka Blockade

日付: 2023年3月28日 14:43:13 JST

宛先: Komei Hosokawa <k22m>

Hi Komei​

In 1998, Mirarr senior Traditional Owner Yvonne Margarula led one of Australia’s most significant campaigns to protect sacred land from uranium mining. A quarter of a century on, Jabiluka’s uranium remains in the ground.

Join Gundjeihmi Aboriginal Corporation, Environment Centre NT and us to mark this significant moment for First Nations rights and the environmental movement by attending the 25th anniversary celebration this Friday 31 March – online or live in Darwin!

What: 25 year anniversary of the Jabiluka Blockade
Where: streamed live on YouTube or at the Museum and Art Gallery of the Northern Territory, NT Theatrette, Darwin
When: Friday 31 March, 6-7pm ACST (that’s a 4.30pm start in WA; 6pm in NT; 6.30 in QLD; 7pm in SA; 7.30 in NSW, VIC and TAS).

Diverse groups came together to support the Mirarr people including UNESCO, the European Parliament and the US Congress. In March 1998 over 5,000 people took part in a non-violent direct action blockade, with more than 500 people arrested – 25 years ago this month.

Some of the 5000 people who marched in 1998 to the Jabiluka lease.Protestors walking to the Jabiluka lease on 31 March, 1998.

These powerful collective efforts saw the mining company enter into an agreement with the Mirarr people that Jabiluka would not be developed without their specific consent. This is an important historical moment for all.

Join us from wherever you are this Friday evening to listen to blockade activists, watch unique footage from the time and hear about current opposition and concerns around uranium mining.

We will also look at next steps in the rehabilitation of the former Ranger mine and the transition to a post-mining regional economy.

Against the backdrop of nuclear submarines and pushes for wider nuclear projects, this is an important time to celebrate a major success in our efforts for a nuclear free Australia. Don’t miss it!

Yours in solidarity and recognition,

Dave

Dave Sweeney
Nuclear Free Campaigner

Australian Conservation Foundation
We are Australia’s national environment organisation. We speak out, show up and act for a world where forests, rivers, people and wildlife thrive. We are proudly independent and funded by donations from our community.
We acknowledge the Traditional Owners of Country and their continuing connection to land, waters and community. We pay respect to Elders past and present and to the pivotal role that First Nations Peoples continue to play in caring for Country across Australia.
This email was sent to k22m
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 細川弘明 ほそかわ こうめい 
  高木仁三郎市民科学基金 理事
  京都精華大学 名誉教授
  k22m 
  www.ccnejapan.com (原子力市民委員会)
  https://nuclear-justice.net/ (核被害補償研究)
  http://hdl.handle.net/1885/10851 (博士論文)
  https://j.mp/docs2688 (著作アーカイブ)
  twitter.com/ngalyak 
  facebook.com/komei.hosokawa 

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ジャビルカ通信(156)リンク修正

昨夜配信した「ジャビルカ通信」156号の最後の資料(背景資料 [8] )のリンクが違っておりました。正しいリンクは次の通りです。お詫びして訂正いたします。ご指摘いただいた皆さま、有難うございました。 細川弘明 2013.12.8

[8] http://j.mp/uranium433b(細川弘明 2012「福島第一原発で使用されたウランはどこからきた?」『オルタ』433号、地図修正版) 

ジャビルカ通信(156)レンジャー鉱山のウラン製錬施設で 事故、ウラン硫酸溶液100万リットル流出

2013.12.7 ジャビルカ通信 第156号
    
 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃ レンジャー鉱山のウラン製錬設備でタンク破損 ┃
 ┃ ウラン硫酸溶液100万リットル漏洩か    ┃
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

(MLで重複してご覧になる方、ごめんなさい。)
(今回はじめてこの通信をお送りさしあげる方もいます。突然でごめんなさい。)

 ジャビルカ鉱山の開発凍結後、ずっと休眠している『ジャビルカ通信』ですが、隣接するレンジャー鉱山(関西電力などがウランを購入している山)で事故が起きましたので、ひさびさに発信いたします。

 12月7日未明、オーストラリア北部、世界遺産カカドゥ国立公園地域にあるレンジャー鉱山内のウラン製錬施設で、製錬前のウラン溶液を収容するタンクが破裂し、タンク内の溶液が噴出、一時、作業員が全員退避する事態となりました。けが人は出なかったとのこと。

 流出したのは、ウラン鉱石を細かく破砕したものと化学処理用の薬剤(硫酸など)とを混ぜ合わせたもので、「溶液」というよりは「濃い泥水」に近い状態のもの。タンクの容量から推計して流出量は100万立方メートル以上と見られ、重量にして数千トンに相当するものと推定されます。

 現場では1キロ四方の立入禁止区域が設定され、調査と除染に数週間は要する模様。放射能溶液の施設外への流出は今のところ確認されていません。施設を操業するERA社はまだ詳しい発表をしていませんが、タンクの老朽化、バルブの故障などいくつかの原因が考えられます。

 レンジャー鉱山の土地の先住民族土地権をもつミラル・グンジェイッミ氏族(Mirarr Gundjeihmi)の代表組織、グンジェイッミ先住民族法人(GAC)は、鉱山の全面操業停止と第三者機関による監査を求めています。GACのジャスティン・オブライエン事務局長は、「だらしない鉱山会社がだらしない規制庁のもとでだらしない仕事をしてきた結果だ」と酷評。豪州環境保護基金(ACF)の核問題担当デイブ・スウィーニーもレンジャー鉱山を「aging, failing, risking」(老朽化、故障続き、危険増加)の三拍子だとして、会社側の無策を批判しています。

レンジャー鉱山の親会社であるリオティント社は、従来は採掘しないとしていた第3鉱床の採掘計画(R3D)をオーストラリア連邦政府に申請していますが、交渉権をもつ先住民族はこの拡張計画に対し、まだ承認を与えていません。

詳細は ↓ こちら
[1] http://www.mirarr.net/media_releases/one-million-litre-nuclear-accident-in-kakadu
[2] http://ecnt.org/media/ranger-danger-massive-spill-one-million-reasons-end-uranium-mining-kakadu
[3] http://www.bloomberg.com/news/2013-12-07/rio-tinto-uranium-mine-spills-radioactive-acid-in-national-park.html
[4] http://www.abc.net.au/news/2013-12-07/spill-at-nt-uranium-mine-near-kakadu/5142148
[5] http://www.ntnews.com.au/news/northern-territory/contaminated-slurry-spilled-at-ranger-uranium-mine/story-fnk0b1zt-1226777753784

背景情報
[6] http://www.mirarr.net/uranium-mining
[7] http://ecnt.org/media/ten-years-and-ranger-uranium-mine-remains-threat-kakadu
[8] http://j.mp/uranium433 (細川弘明 2012「福島第一原発で使用されたウランはどこからきた?」『オルタ』433号、地図修正版) 

ジャビルカ通信 2012.8.24 オリンピックダムのウラン増産計画が凍結されました

ひさしぶりのジャビルカ通信です。
こんにちは、京都:細川弘明です。Bccで失礼します。
(MLで重複してご覧になる方、ごめんなさい。)
(今回はじめてこの通信をお送りさしあげる方もいます。突然でごめんなさい。)

すでにツイッターで速報しましたが、オーストラリアから良いニュースが届きました。
https://twitter.com/ngalyak/status/238520395945357312
https://twitter.com/ngalyak/status/238521870658465792

南オーストラリア州のオリンピックダム鉱山で進んでいた(鉱山)の大規模なウラン増産(採掘拡張)計画について、鉱山を経営するBHPビリトン社は、計画を凍結することを決定、同社のマリウス・クロッパーズCEOが8月22日の記者会見で明言しました。昨期の収益悪化にかんがみ、設備投資を大きく縮小するとのことです。

連邦政府が導入した資源税との関連も取り沙汰されていますが、巨額の投資が株主総会で受け入れられない恐れがあるという判断が主な理由だろうと思われます。(野党はいっせいに政府の「失政」だと攻撃していますが。)

市場はすでにこの動きを見越していたようで、BHP Billitonの株価の下げは限定的でした。一方、ウラン増産によって年300億円以上の税収増をあてにしていた南オーストラリア州政府にとって、同社の方針転換は非常に手痛いことでしょう。

細川が見たニュース映像2本と新聞記事1本:
(1)ABC放送の夜のニュース特集 Lateline (22日放送)動画5分
http://www.abc.net.au/lateline/content/2012/s3573862.htm
(この番組のサイトはありがたいことに書き起こしもついてます。)

(2)ABCニュースの経済コーナー(22日放送)動画6分
http://www.abc.net.au/news/2012-08-22/bhp-profits-slump/4216548
(こちらは書き起こしがついてません。)

(3)シドニーモーニングヘラルド紙の解説記事(22日付)
http://www.smh.com.au/business/mining-and-resources/bhp-mothballs-olympic-dam-expansion-20120822-24m4i.html
(見出しに使われている動詞 mothball は「防虫剤とともに仕舞い込む」という意味で、長期間凍結ということです。)

福島原発に装荷された燃料ウランの少なからぬ一部もこの鉱山から供給されていました( http://j.mp/uranium433 )。オリンピックダム鉱山のウラン採掘の歴史、先住民族アボリジニーとの関係、そして大規模拡張計画については、PARCのキャンペーンページ( http://j.mp/roxstopj )をご参照ください。 ── このページはちょっと情報が古いままで申し訳ないのですが、昨年暮れには拡張・増産計画に対して州政府・連邦政府の認可がおりてしまい、2012年12月までに鉱山会社として事業を正式決定することが求められていました。クロッパーズCEOは12月までにそのような決定がなされることはない、とはっきり表明しました。

細川弘明 拝 < http://twilog.org/ngalyak >
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PARC新作映像『お米が食べられなくなる日』
── 危機に瀕する日本のコメ作り。生産者と消費者の声を聞きながら、現状と背景を徹底分析。グローバル経済の動向を見据えつつ、私たちが大切にしたい価値とはなにかを問いかける。
監修:大野和興 構成:小池菜採
DVD&VHS/カラー35分 www.parc-jp.org/video
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ジャビルカ通信 2011.9.29

こんにちは、ジャビルカ基金)細川弘明です。

   Bccで配信しています。重複してご覧になる方、ごめんなさい。
   (配信ご不要の方、ご一報いただければリストから外します。)

ご覧になった方もあるかと思いますが、9月25日、TBS系全国ネットで、短くですが、カカドゥのウラン鉱山のことが紹介されました。TBSシドニーの飯島浩樹さんの取材とレポートです。

番組で紹介されたイボンヌさんの手紙(Ban Ki-Moon国連事務総長宛、4月6日付):
ttp://www.mirarr.net/media/Yvonne_ki-Moon_6Apr2011.pdf

番組で紹介されたミラルのトップページは
こちら↓です。
http://www.mirarr.net

クンガラ鉱区の世界遺産地区への編入(=ウラン開発の永久凍結)については、すでに6月28日配信のジャビルカ通信でお知らせしました。ブログにも転載しておきました。
http://itacim.blogspot.com/2011/06/absnukekoongarrano.html
同じ件について↓こちらも御覧下さい。
http://tabimag.com/blog/archives/1884

7月から突貫工事で制作していたPARC映像教材『原発、ほんまかいな?』、ようやくリリースにこぎ着けました。イボンヌさんにもちょこっと登場していただきました。
http://bit.ly/genpa2honma

おなじくPARCからのリリースになりますが、
映画『ジャビルカ』のDavid Bradbury監督の
2007年作 A Hard Rain と
2011年作 Out of site, out of mine
の日本語版を細川が監修しました。これまた、気合い!の突貫工事でした。
古山葉子さん、小池菜採さん、田中ゲルさんにご尽力いただきました。この場をかりて御礼もうしあげます。

『ハード・レイン』のほうは、すでに各地での上映が始まっています。
http://bit.ly/hardrainjp
(上映にあたっては、David に制作費をカンパするため、入場者数の規模に応じた上映料の負担をお願いしています。PARC東京事務所にご相談ください → video@parc-jp.org )。

Out of site,… のほうは、近日中にPARCウェブサイトにて動画公開の予定で、いま最終的なチェックに入っています。またお知らせしますので、どうぞよろしく。

あ、それから「ジャビルカ通信」のアーカイブを神戸のとーちさんが整備してくださいました。
まだ漏れている号がありますが、追加していきたいと思います。とーちさん、ありがとう!


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『ジャビルカ通信』アーカイブ
http://savekakadu.org/jabiluka

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ジャビルカ通信(号外)クンガラ鉱区のウラン開発の可能性ゼロに

以下、(誤記2箇所を修正のうえ)再送
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こんにちは、京都:細川です。

すでにツイッターで速報しましたが、パリで開催中のユネスコ世界遺産委員会において、
北オーストラリアのクンガラ Koongarra 地区を世界遺産「カカドゥ国立公園」に編入することが決定されました。

これで、同地区でウラン採掘権をもつ仏・アレバ社(旧・フランス国立原子力開発機構)によるウラン採掘は不可能となりました。
30年以上にわたりウラン開発に抵抗を続けてきたグンジェイッミ・アボリジニーの希望が、やっと1つ叶いました。

次は、操業中のレンジャー・ウラン鉱山の閉鎖、そしてカカドゥ国立公園への編入、そして、
「凍結」中のジャビルカ鉱区の開発断念、そしてカカドゥ国立公園への編入
 ── これらの実現をめざしていきましょう。

クンガラ鉱区では、日本の旧動燃(現・核燃サイクル機構)もナチュラルアナログ試験を繰り返すなど、開発に関与してきました。

グンジェイッミ先住民族法人(GAC)のプレス発表(英語)およびクンガラ地区の土地権代表者であるジェフリー・リーさん(Djok Gundjeihmi氏族)の声明(グンジェイッミ語と英語翻訳)は
こちら↓です。
http://www.mirarr.net/media/GAC_media_UNESCO_27_June2011.pdf
【注釈】
(1)クンガラの先住民族土地権をもつジョック(Djok Gundjeihmi)氏族とレンジャーおよびジャビルカの先住民族土地権をもつミラル(Mirarr Gundjeihmi)氏族は、ともにグンジェイッミ語を話すアボリジニー集団で、相互に親族関係にあり、多くの神話・儀礼を共有しています。(グンジェイッミ語の表記で dj は英語の j に近い音、h は声門閉鎖子音です。)

(2)ジャビルカ(Djabulukku、英語表記ではJabiluka)、レンジャー、クンガラの3つのウラン鉱床地区は、カカドゥ国立公園の中に位置しますが、ウラン開発のために国立公園(および世界遺産)指定から除外されるという不自然な状態が続いてきました。このことは、世界遺産委員会でもこれまでたびたび問題視され議論されてきましたが、今回、クンガラのカカドゥ編入という至極まっとうな結論が出たことは、ジャビルカ開発問題の今後にも強い影響をおよぼすと考えられます。
———————————————-

細川弘明 拝 twitter.com/ngalyak 
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★アジア太平洋資料センター(PARC)の雑誌です。
 『オルタ』2011年7・8月号
 特集 本気で脱原発
 執筆陣: 田中優/大島堅一/糸長浩司/山内知也/
      佐久間智子/村田あづさ(祝島通信)/福田 邦夫/ほか
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
内容詳細・注文・販売店一覧は↓こちら 
 http://www.parc-jp.org/alter/index.html 
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2002.9.6 ジャビルカ通信 第145号

こんにちは、細川です。いま仕事でオーストラリアに滞在中ですが、ジャビルカ開発に関する重要なニュースをお知らせします。いま通信環境の制約で、長いアドレスブックが使えず、接続時間も限られていますので、とりいそぎ NoNuke MLにだけ送信します。ほかの方々には来週、帰国後、送信します。
2002.9.6 ジャビルカ通信 第145号

 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃ リトティント社のウィルスン会長 ┃
 ┃ 「先住民族の同意なしにジャビルカ┃
 ┃  開発を進める可能性はゼロ」  ┃
 ┃ ヨハネスブルク・サミットで明言 ┃
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

ヨハネスブルク地球サミット(環境と開発に関する世界首脳会議)に出席していたリオティント社会長のロバート・ウィルスン卿(Sir Robert Wilson)は、現地で収録されたBBCワールドの特別討論番組で、9月4日、次のように述べた。

「リオティント社が、伝統的土地所有者の同意なしにジャビルカ鉱山の開発を進めることは決してない。」

上記発言中の「伝統的土地所有者」とは、ジャビルカ開発に絶対反対の立場を崩していないミラル・アボリジニーのことであるから、この発言はジャビルカでのウラン採掘事業を事実上断念したものと受け取られている。

ウィルスン会長の発言をうけ、ミラル・アボリジニーの組織であるグンジェイッミ先住民族法人(GAC)は、同4日、リトティント社に対して、ただちにジャビルカの原状復元(リハビリテーション)にはいること、および、鉱区の土地を全面返還してカカドゥ国立公園に編入することを要求する声明を発表した。

「リハビリテーション」とは、採掘坑道を埋め戻し、機材を撤収し、地元樹種を使った植林で環境復元することを意味する。また、現在、坑道工事で発生した放射能汚染水をためているダム(RP)についても完全撤去が求められる。(汚染水は、何らかの方法で固化ないし半固化したうえで、坑道の埋め戻しに使うことが考えられる。)

ウィルスン会長は、現場の「クリーンアップ」も言明したが、その時期は述べなかった。
(clean up はウラン鉱山での放射能除染を意味するが、鉱山開発一般の文脈では、植生復元などの作業も含むものと解釈される。) 翌5日のSBS(オーストラリアの公共エスニック放送局)『ワールドニュース』によれば、リオティント社は、さしあたり復元工事の具体的予定はないとしつつ、要望があれば北部土地評議会(NLC)を通じて協議する、としている。
細川弘明

西オーストラリア州中西部地区、ジェラルトンにて

2002.2.25 ジャビルカ通信 第144号

2002.2.25 ジャビルカ通信 第144号

 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃ 南オーストラリア州で政権交代 ┃
 ┃ ウラン採掘推進政策は終焉か  ┃
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
 3つめのニュースは、より意外な出来事ですが、2月9日、南オーストラリアで州
議会選挙がおこなわれ、これまでの与党でウラン開発推進の立場をとっていた自由党
が政権の座を追われることになりそうです。「なりそうです」というのは、3月の新
議会で州首相の指名がすむまでは、まだ何が起こるか分からないからですが、おそら
く、労働党(ウラン開発抑制の立場)が久々に政権に返り咲くことになるでしょう。
実はこれまでも自由党は議席の過半数をもたず、無所属議員の支持をとりつけて政権
を維持してきたのですが、今回の選挙後、これまで自由党と政策協定を結んでいて今
回も再選された無所属のピーター・ルイス議員が、突然、労働党支持に態度を変えた
のです。裏で何があったのか、よく分かりません。労働党の関係者も「えっ?!」っ
というような変わり身だとのこと。

労働党も州上院で過半数をとってませんので、きわどい話ですが、ウラン採掘や核廃
棄物処分問題に関して南オーストラリア州政府の方針がこれまでと違う方向にむくこ
とが期待されます。事故をおこしたビバリー鉱山の再開許可もしばらく先になるでし
ょう。(自由党政権だったら、すぐに再開許可書にスタンプがおされちゃうところで
す。)

労働党の州委員長で州首相につくことになる人物の名前が、なんと(偶然ですが)お
もろいことに、マイクル・ウラン(Michael Rann)さん! 

over

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ジャビルカ基金 事務局
   <itachimaru@nifty.ne.jp>
  606-8588 京都精華大学 流渓館213 細川研究室気付
  tel/fax 075-702-5213  
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2002.2.24 ジャビルカ通信 第142号

2002.2.24 ジャビルカ通信 第142号

 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃ ビバリー・ウラン鉱山で漏洩事故  ┃
 ┃ ウラン汚染水、約70トン流出   ┃
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
 さてもさても、半年ぶりのジャビルカ通信です。何も動きが無かったわけではない
のですが、ながいこと発信できずにごめんなさい。

12月には、例によってユネスコ世界遺産委員会がヘルシンキでひらかれましたが、
ジャビルカ計画での大きな進展はありませんでした。一方、98年の京都会議のとき
にジャビルカと同時に議論されていたバイカル湖については「危機遺産」に認定する
方向で議論が決着したようです。

年があけてから、ジャビルカとは別の話ですが、核開発をめぐってオーストラリアで
いくつか注目すべき出来事が立て続けにおきました。それらについて、順次、配信し
ていきます。

—●————–

まず、1月11日、南オーストラリアのビバリー・ウラン鉱山で、漏洩事故がありま
した。
(ビバリー鉱山をめぐるこれまでの状況については、『ジャビルカ通信』84号、『原
子力資料情報室通信』288号、『ノーニュークス・アジア・ フォーラム2000報告集』
p.27をごらんください。地元の先住民族、アズニャマタナの人々は、一貫してウラン
開発に反対し続けています。)

この鉱山は、ISL方式(in-situ leaching)という、著しく地下水を汚染する操業
方式をとっているのですが、そのISLの主配管が破裂し、推定でウラン13キログラ
ムをふくむ希硫酸溶液6万2千リットルが流出し、一部は鉱山の敷地外に漏れまし
た。

ビバリー鉱山を操業するヒースゲイト社(米国資本)は「すぐに州政府に通報した」
と言いますが、州政府が事故を公表したのは24時間以上たってからでした。

配管の破裂は、コンピュータ・プログラムの欠陥が原因。ウラン精製設備内での点検
整備のため、パイプを止栓したのに、採掘地点(地下水ごとウランをくみあげるボー
リング地点)からの流入を止めるようになっていなかった。そのため、配管内の水圧
がどんどん高まり、L字接合部(浜岡事故でおなじみ…)が耐えきれず、ぶしゅ
=!

なんとお粗末な、と思われるでしょうが、これまで核施設での多くの深刻な事故は、
実に「お粗末な」経緯でおきているのです。今回の漏洩事故は、さいわい、「深刻
な」汚染事故ではありませんが、ISL方式の鉱山でお粗末なことをすれば、もっと
深刻で広範囲の汚染につながる事故がかんたんに起こりうるということを、はっきり
と示しています。

誰だい、ISLはもっとも安全性の高いウラン採掘方式だ、とのたもうたのは? 正
常時に労働者被曝が少なくてすむというのは、たしかにそうかもしれないが、今度の
事故で、漏洩した溶液の施設外流出をふせぐためにセッセとスコップで溝掘りをさせ
られた現場の人たち、ウラン溶液がしみこんだ土塵をかなり吸引してしまったんじゃ
ないかしら。
★ちなみにヒースゲイト社とは住友商事が精製ウランの買い付け契約をしているとき
いていますが、どなたか詳しいこと御存知ないでしょうか? 
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2002.2.24 ジャビルカ通信 第143号

2002.2.24 ジャビルカ通信 第143号

 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃ 豪州の「砂漠に核のゴミ」構想、断念 ┃
 ┃ パンゲア社、オーストラリアから撤退 ┃
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

  高レベル放射性廃棄物の国際集中処分場(つまり多くの国の核廃棄物をまとめて
引き受けるということ)のオーストラリアでの建設を計画してきたパンゲア社(=パ
ンジーア社)は、1月末、メルボルンとパースに置いていた事務所をたたみ、その
後、同社がオーストラリアでの立地計画を断念し、処分場ビジネスから撤退すること
が確認されました。
(パンゲア計画のこれまでの推移については、『ジャビルカ通信』98号を御覧下さ
い。)

パンゲア計画への最大の出資者になると目されていた英国の核燃料公社(BNFL)が、
出資をとりやめる方針を固めたことが、直接のひきがねとなり、パンゲア社
(Pangea International)自体が、高レベル処分場ビジネスから撤退することを決断
したようです。BNFLは関西電力むけMOX製造過程での数々の不祥事が一昨年来、次々
と明らかになり、みずからの経営が傾く事態においこまれています。

パンゲア計画では、南オーストラリア州にビラ・カリーナ地区か、西オーストラリア
州のオフィサー盆地地区が、高レベル廃棄物の地層処分場の候補にあげられていたま
した。ビラ・カリーナでは、土地の本来の所有者であるアボリジニー集団(主にアン
ダカリニャ系の人たち)が明確に反対の意志を表明しています。オフィサー盆地は、
かつて日本の動燃事業団(現在の核燃サイクル機構)がウラン試掘をして汚したま
ま、後始末もせずに放置している地区です。

もし、パンゲア社の当初の皮算用通り、このいずれかの土地に地層処分場ができてい
たら、そこには、アルゼンチン、パキスタン、ブラジル、オランダ、南アフリカ、ド
イツ、スイスなどの国々から使用済み燃料棒や再処理廃液固化体などが集中的に持ち
込まれるところでした。かつては東大の鈴木篤之教授もこの計画の「技術顧問」でし
たので、日本からの持ち込みの可能性も検討されていたふしがあります。

核開発推進派のあいだで「有望視」されていた豪州大陸でのパンゲア計画が頓挫した
として、上記の国々の核廃棄物はどうなるのでしょう?

それぞれ自分の国でなんとかしなさい、というのがひとつのシナリオ。しかし、ロシ
アが引き受けるという話も繰り返し浮上していますし、チベット、ナミビア、ニジェ
ールなどのウラン採掘で汚染された土地はつねに「検討対象」にされてきました。核
実験場として汚染されたマーシャル諸島が狙われているという噂もあります。パンゲ
ア社が退場したとしても、「核のゴミ・ビジネス」の駆け引きは、当分やまないでし
ょう。

世界のどこにも捨て場はないのだ、ということを分からせなければなりません。
(パンゲア社の撤退については、NIRS/WISE Nuclear Monitorの最新号=2月15日付
563号でも詳報されています。)

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