99.3.23 ジャビルカ通信 第91号

99.3.23 ジャビルカ通信 第91号

 ジャビルカ現地の先住民族、ミラル・グンジェイミの新しいホームページ「Mirrar
On Line 」ができあがりました。(しばらく前から運用されていたのですが、お知ら
せするのが遅くなり、すみません。)

アドレスは、   http://www.mirrar.net   です。

従来から掲載されていた情報(ミラルの人々と土地のあらまし、ジャビルカ開発に反
対する理由、プレス・リリース、写真)に加えて、

★ユネスコ世界遺産委員会のカカドゥ現地調査団に提出したミラルの膨大な意見書の
全文が公開されています。
★ミラルの「たたかいの歴史」のページも全面改訂され、かなり詳しく、かつ分かり
やすくなりました。
★イメージ・ライブラリー(静止画像)も充実。マジェラ湿原の景観、ジャビルカ鉱
区内の岩絵、ブロッケードの様子など、盛りだくさんです。イボンヌも、ジャッキー
も、クリスティーヌも、みんな登場!
ぜひ、Mirrar On Line にお立ち寄りください。支援のメールも受けつけています。
(ジャッキーたちの事務所には、日本から送った「ストップ・ジャビルカ」の横断幕
が、ば~ん! と壁にはってあるそうです。)
*古いほうのホームページもまだつながりますが、内容更新はもうされていません。
メディア・リリース(報道むけ声明)は、98年7月のぶんまでは、旧ホームページ
に、それ以降のぶんは新ホームページ(Mediaのボックス)に掲載されています。
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ストップ・ジャビルカ・キャンペーン事務局
  840-8502 佐賀大学 農学部3号館 細川研究室
  tel&fax  0952-28-8738 
(郵便振替)01700-1-19686「ジャビルカ基金」

ホームページ: http://SaveKakadu.org/

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99.3.19 ジャビルカ通信 第90号

99.3.19 ジャビルカ通信 第90号

 通信88号でふれた「秘密文書」ですが、その内容をかいつまんで紹介します。
2点ありますので、文書A、文書Bとします。

————————————————–
文書Aは、98年12月1日、在日オーストラリア大使館(東京)発、オーストラリ
ア外務省あて外交電信の写しです。すなわち、京都での世界遺産委員会本会議でジャ
ビルカ開発に関する(工事停止勧告をふくむ)決定がなされた直後、オーストラリア
代表団が本国に打電した報告文書です。裏交渉の一端も開陳されています。

文書Bは、99年1月23日付で、オーストラリア連邦環境省次官ロジャー・ビール
が環境大臣ロバート・ヒルに提出したブリーフィング(概要報告)文書です。次回の
世界遺産委員会(7月にパリで開催)にむけて、カカドゥ国立公園の「危機遺産」指
定をなんとか回避させるための交渉計画と進行状況を報告し、閣議での了承をもとめ
ています。かなり赤裸々な内容で、「危機」にあるのはカカドゥだけでなく、ユネス
コ世界遺産条約の運用そのものであることが判ります。

————————————————–
文書Aは4ページ。本国外務省のほか、17ヶ国(後述)のオーストラリア大使館と
国連(ニューヨークとジュネーブ)のオーストラリア代表部に同報されています。
文書Bは本文6ページ、それに22ページにおよぶ具体的なロビー活動計画書が添付
されています。

文書Aは Confidential (機密指定)、文書Bには Highly Protected(極秘)とスタ
ンプが打ってありますが、漏れちゃいましたね。公式には、ウラン開発推進の立場を
とる/とらされている連邦環境省ですが、個人的にはジャビルカ開発からカカドゥを
守りたいと考えている職員は少なくないのです。

————————————————–
■さて、文書Aの内容:

委員会での議論に先立ち、米国とオーストラリアのあいだで、米国がビューロー原案
(ジャビルカ通信81号のリストにある文書15)をただちに採択するよう動議をだす、
というシナリオが練られていることが明記されています。しかし、本番では米国代表
の前にタイ代表が発言し、カカドゥ公園内のウラン鉱山の存在そのものに対する根本
的な疑念が提起され、また、危機遺産の指定にあたっては当事国(この場合はオース
トラリア)の同意は必ずしも必要ないとの見解が示されたことが報告されています。

  *注:会議では、結局、このシナリオが発動されましたが、
   多くの国からの予想外に厳しい意見表明があり、それが
   フランス提案につながりました。国際法の専門家として
   尊敬されているタイ代表ウィチェンチャルーン博士の発
   言は、オーストラリアにとって相当な痛手だったようで
   す。

ユネスコの公式諮問機関であるIUCN(国際自然保護連合)とICOMOS(国際
記念物遺跡会議)がジャビルカ開発にきわめて厳しい意見を述べて、ビューロー原案
に同意しないむね宣言したことが深刻な事態として報告されています。

  *注:会議ではICCROM(文化財保存修復国際センタ
   ー)も前記2団体に賛同しました。つまり、ユネスコの
   公式諮問機関が3つそろってビューロー原案に反対し、
   カカドゥをただちに「危機遺産」に指定するよう勧告し
   たわけです。

次期世界遺産委員会でこの問題が決着するまでの間、ジャビルカ開発工事の停止を勧
告する、との提案をフランスがおこなった主な理由を、オーストラリア代表団は次の
ように分析しています。すなわち、上記の専門機関の明確な助言、現地調査団報告書
(フランチオーニ報告、ジャビルカ通信81号のリストにある文書2, 3, 5)の明瞭な
結論(ジャビルカ開発の中止勧告)、そして(開発に批判的な)多くの一般報道があ
る以上、単なる議論の先送りでは、世界遺産委員会そのものの信用が失われるとの認
識を多くの委員が抱くにいたったからであると。

文書Aは、京都会議での12月1日の議論の様子を以上のように報告したのち、代表
団として次のような観察を加えています。

 ・NGOのロビーイングが激しかったこと
 ・カカドゥ問題の審議が終わって、各国委員が一様にほっとした表情を示したこと
 ・フランス提案(工事停止勧告)に対する支持が非常に強かったこと
 ・ただしフランス提案が歓迎されたのは、「optical reasons」によるもの
  (つまり、ビューロー原案だけでは、委員会が役割を果たしていないとの
   批判に耐ええないと、多くの委員が感じたこと)

文書Aではまた、会議の裏交渉において、豪・米・加・伊・日が主要な役割を演じた
ことが述べられています。フランス提案の文面を確定するうえで米国の委員が深く関
与した、という注目すべき記述もみられます。また、次期ビューローの構成国を選挙
するにあたって、アジア地区代表に(有力候補だったタイをはずして)韓国を選ぶよ
うオーストラリアが各国に働きかけて、功を奏したことも明記されています。

  *注:タイはジャビルカ開発に批判的、韓国の電力会社は
   ジャビルカのウランの有力購入者です。次期ビューロー
   の構成は、日本(議長)、ハンガリー(書記)、イタリ
   ア、韓国、モロッコ、ベニン、キューバです。うち、ジ
   ャビルカ開発推進派は日本・韓国、明確な反対派はイタ
   リア・ベニン・キューバ。ハンガリーとモロッコは態度
   未定。

文書Aは、東京発の外交電信として、キャンベラのオーストラリア連邦政府外務省の
ほか、下記の国々のオーストラリア大使館およびニューヨークとジュネーブの国連オ
ーストラリア代表部に同報されています。フランス、ギリシャ、タイ、ブラジル、ハ
ンガリー、ベネズエラ、ジンバブエ、マルタ、メキシコ、カナダ、韓国、スウェーデ
ン、アメリカ、レバノン、イタリア、ケニア、イギリス。これらの国は、委員会で発
言したことが文書Aのなかで言及されている委員国、および豪州ウランの輸出入に利
害のある国(仏、加、韓、瑞、米)です。なぜかドイツが抜けています(有力輸入国
)。マルタがなぜ入っているのかは分かりません。
————————————————–

■さて次に、文書B:

 執筆者のロジャー・ビール次官は、京都での世界遺産委員会のオーストラリア首席
代表。名前に覚えのある方もいらっしゃるかと思いますが、同じく京都で97年にひ
らかれた温暖化防止条約会議(COP3)にオーストラリア代表として参加し、米国
との連携プレーで京都議定書の骨抜きに「第活躍」した、あの人物です。

文書Bは、まず状況認識として、世界遺産委員会でのフランス提案への支持が「圧倒
的」だったこと、またNGOのロビーイングが各国レベルで相当効いていたことを認
めます。この情勢を7月の次回委員会までにくつがえすことは難しい、と判断してい
ます。

一方、世界遺産委員会での各国代表の発言は、それぞれの国の文化財保全/環境保全
の担当機関の見解であって、それぞれの国の政府レベルでの見解と必ずしも一致しな
い、として、NGOのロビーイングは前者レベルであり、オーストラリア政府として
は、今後、後者レベルでの外交努力に全力を傾け、政府レベル意見が次回委員会に反
映させるようにすべきである、との基本的戦略を提案しています。

 *注: これは、分析としては(日本以外の国に関する限り
    ですが)当たっています。しかし、世界遺産委員会を
    そのような「国益調整」の場に変質させてしまうこと
    は、ユネスコ世界遺産条約の精神に根本的にそむくこ
    とになります。

また、「先住民族が開発に反対している」との国際的批判に合理的に反駁するのは現
状では難しいため、先住民族との関係を少しでも改善する必要がある、として、アボ
リジニーに対してより踏みこんだ条件提示をすすめるよう促しています。その交渉姿
勢として、ビール次官は次のように述べます。ミラルの態度を開発賛成に転じさせる
ことは不可能であって現実的ではない。工事がすでに進み、鉱山の存在がもはや既成
事実であることをミラルに認識させることが重要だ。そうすれば、ミラルは望まない
ながらも条件闘争路線に転じざるをえないだろう、と。(また、添付の計画書のなか
では、ミラル以外のアボリジニーに対する施策を手厚くする必要も示唆しています。)

ビール次官は、すでに(連邦政府の)司法省・外務省・産業科学資源省・内閣府の担
当官たちと協議して、以下に述べるとおり今後の作戦をまとめたので、環境大臣がこ
れを内閣に提案し、了承をとりつけ、十分な予算を配分するよう要請しています。
挙げられている作戦の主なもの:

 ・ユネスコの現地調査報告(前述フランチオーニ報告)を一字一句に
  いたるまで徹底的に分析し、あらゆる誤謬、情報の不備、形式の不
  備、曖昧さ、不確実さを列挙した詳細なリストを作成する。

 ・世界遺産地区ないしその周辺で鉱山開発がおこなわれている30の
  事例について調査し、比較リストをつくる。
   (つまり、ジャビルカ開発にだけやたら厳しいじゃないか、
    という論理を組み立てるため)

 ・ラムサール条約会議(6月にコスタリカで開催)をカカドゥ問題の
  ロビーイングの場として位置づけ、各国代表団や関係部局のなかで
  意思決定の鍵をにぎる人物を特定し集中的にロビーイングをおこな
  う。鍵人物は、世界遺産条約の直接の関係者である必要はない。

 ・日本・米国・カナダ・フランスに対して特に強力なロビーイングを
  おこなう。

 ・世界遺産の評価において「予防原則」を適用することが、国際法上
  ふさわしいかどうかを検討する。
   (京都会議では、この「予防原則」を世界遺産保全の今後の
    重要な原則として重視する議論が優勢だった。つまり、
    害をおよぼすかどうか確実に証明できなくても、害をおよ
    ぼす可能性をできるだけ回避するという考え方。)

 ・世界遺産条約における当事国の権利を国際法の見地から検討して
  おく。(前述文書Aのタイ代表の指摘を論破するため)

 ・国連の「世界先住民族権利宣言(案)」をこの問題に適用すること
  が国際法的にみて適切であるかどうかを検討する。(適用を主張す
  るNGOに反論するため)

 ・カカドゥ国立公園の管理運営委員会に北部準州政府代表を参加させ
  るように国立公園法を改訂する。

 ・これらの作戦を効果的に実施するため、内閣および全省庁をあげて
  十分な人員と予算を投入し、在外公館の人脈もフルに活用する。
  それぞれの作戦について明確なスケジュールを設定し、進捗状況に
  ついて報告させ、環境大臣が全体を掌握する。
  
そのうえ、こうした対策をとったうえでも「危機遺産」指定をまぬがれえない可能性
が残るとして、その際には(つまり7月のパリ会議でカカドゥ国立公園が「危機遺産
」リストに登録された場合には)、国内世論を沈静化をはかるために、アボリジニー
の生活水準向上と文化保全のために一層の対策をすすめる必要があり、そのための支
出をERA社と協議しておく必要がある、と提言しています。

 *注: ここにハワード政権における先住民族政策の本質が露呈
    しています。つまり、アボリジニーのために何かする、と
    いうよりも、アボリジニーに同情する人達の批判をかわす
    ために何かする(金をばらまく)、という姿勢です。
このほか、文書Bには、まだまだ驚くべき「作戦」のアイデアがちりばめられている
のですが、もう胸が悪くなってきましたので、ここまでにします。

————————————————–

いやはや、これが環境保全のための役所のする仕事かと呆れますが、逆にいえば、こ
れだけなりふり構わず、条約も法律もねじまげてでも、ジャビルカのウランを掘るぞ
ー、というオーストラリア政府(ハワード保守連立政権)の「本気さ」もよく分かる
文書です。予算としては、とりあえず100万豪ドル(約7600万円)が請求され
、今後、さらにつぎ込むことになるようです。

オーストラリア連邦議会では、当然ながら、このような政府の方針が問題となり、上
院では、世界遺産委員会に関連した連邦政府文書のすべてを議会に提出するよう求め
る決議が可決されました(2月18日)。これは、文書Bが示すような政府の「作戦
」が、オーストラリアの外交関係に重大な影響をおよぼしかねないこと、また、多額
の予算が投入されることから、議会でのチェックが必要であるとの判断からです。3
月中旬現在、政府はこの請求を拒絶しています。
————————————————–

■さて、私たちとして何をすべきか、何ができるか。

今日はもうへたばってきたので(他のいろいろな仕事のあいまに時間を盗みつつやっ
てますので..)、続きは次号とさせていただきますが、いくつか基本的なことを述べ
ておきます。

 

★議長国としての日本の責任がきわめて重要になってきたこと。
  カカドゥ/ジャビルカ問題の扱いが、世界中の環境保全や文化保全(とくに先住
民族の文化権・土地権の保障)の大きな試金石であることが、これまで以上にはっき
りしてきました。世界遺産委員会の議長国であり、かつ、ウラン開発推進の当事者で
あるという、「利益の衝突」をどのように克服するか。日本という国の良識と品格と
外交センスが試されています。

★アボリジニーを分断し、またアボリジニーと環境団体を分断しようとする動きが、
今後強まるものと予想されます。これまで築いてきた情報網・人脈・信頼関係が試さ
れる場面も出てくる、との覚悟をかためておきます。

★ラムサール条約関係者にカカドゥ/ジャビルカ問題をよりいっそう理解してもらう
必要があります。この点については、「ジャビルカ通信」読者の皆さんのアイデア、
アドバイス、ネットワークが大きな力になります。どうか、ご協力を!
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キャンペーン事務局   <hosokawk@cc.saga-u.ac.jp>
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99.3.17 ジャビルカ通信 第89号

99.3.17 ジャビルカ通信 第89号

下記の方々から合計89,360円の支援カンパをいただきました(豪ドル建て分は@70円
で換算)。

<お振込順>(3月15日までの入金分)
村田直美さま(岩国市)、山根雅子さま(東京都)、北口 学さま(松戸市)、原発
いらん!山口ネットワーク様、松村 和則さま(つくば市)、千葉 浩之さま(新南陽
市)、門脇 あゆみ様(山口市)、苑原 俊明さま(八千代市)、直塚文雄(東京都)
、鎌田 真弓さま(日進市)、馬場 浩太さま(広島市)、飯島 伸子さま(東京都)
、内藤 暁子さま(東京都)、色平 哲郎さま(南相木村)、上橋菜穂子さま(我孫子
市)、株式会社ウィンドファームさま(水巻町)、たんぽぽとりで(福岡市)、甘蔗
珠恵子さま(福岡市)

★★★どうも有難うございました。これで「ジャビルカ基金」にいただいた支援カン
パは、総額およそ48万円となりました。このほか、京都会議のあいだ、たくさんの
カンパをいただきましたが、その分はこの集計に入っていません。

今回分は、現地に送金せず、京都でのロビーイングの赤字に充当します。
■———–(再掲)————■
 先日の朝日新聞の特集記事(ジャビルカ通信86号参照)に細川の補足・解説を加
えた資料を作成しました。ご希望の方には郵送します(ファックスだと、ちょっと細
かくて読みにくい)ので、お申し付けください。
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★映画『ジャビルカ』(日本語版ビデオ)ご購入ください。
  ジャビルカ開発問題の歴史的背景と現状がよく分かります。
  所要52分ですので、授業での使用にも便利です。
  定価4,000円(送料込み)/上映権つき価格12,000円

★★脚本完全版(日本語/英語)も頒布しています(500円)。
(脚本の売り上げは、当面、京都でのロビー活動費用の赤字に充填します。)
             よろしく!

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99.3.15 ジャビルカ通信 第88号 訂正

99.3.15 ジャビルカ通信 第88号 訂正

すみません、文面が完成してないうちに「送信」ボタンを押してしまいました。以下
のとおり、補足・訂正します。

●第3段落
昨日(付)の → 先週土曜日(3月13日付)の

●第5段落
アボリジニーをgive some creditするようなことを言うけれど
→ アボリジニーを尊重するようなことを言うけれど

 

【おまけニュース】
  オーストラリア原子力科学技術機構 (ANSTO, 連邦政府の機関、日本の原子力委
員会にあたる) は、豪州でただひとつの原子炉であるシドニー郊外のルーカツハイツ
炉(研究および医療放射性物質生産用の小型黒鉛炉)について、ニューサウスウェー
ルズ州の電気・ガス供給に関する「コンピューター2000年問題」の対策が(今年10月
までに)完了しない限り、不測の事態が発生するのを避けるため99年12月31日以前に
原子炉を停止する、と発表した。
(3月15日付、シドニー・モーニング・ヘラルド紙の報道
http://www.smh.com.au/news/9903/15/national/national4.html)

99.3.15 ジャビルカ通信 第88号

99.3.15 ジャビルカ通信 第88号

(続報が遅れて申し訳ありませんでした。)

 ジャビルカ開発への抵抗の意思表示のため「不法侵入」の罰金を払わず収監されて
いたアボリジニーのふたりの女性、ジャッキー・カトナとクリスティーン・クリスト
ファースンは、3月8日、釈放された(ジャビルカ通信85号参照)。釈放の際の記
者会見でジャッキーは、「他の受刑者は私たちを“良心の囚人”と認めてくれ、敬意
をあらわしてくれた」と収監中の様子を述べた。

 また、同じく「不法侵入」で有罪判決をうけたイボンヌ・マルガルラ(ジャビルカ
の土地権代表者)は、控訴して争うことを決めた(3月9日のABC放送による。な
お、ジャビルカ通信66号、67号参照)。

 昨日(付)の The Age 紙(メルボルンの有力紙)にイボンヌ・マルガルラの会見
記をふくむジャビルカ問題についての大きな記事がでました(キャロライン・ミルバ
ーン記者の署名記事)。次のサイトで読むことができます。
http://www.theage.com.au:80/daily/990313/news24.html

(プリントアウトのコピーをご希望の方は、細川までファックス番号をお知らせくだ
さい。なお、オーストラリア著作権法の規定にしたがい、コピーの利用は個人として
の学習・研究のために限られ、不特定多数への配布はできません。)

 記事中のイボンヌの言葉の一部を翻訳します。「彼らはあらゆる素晴しい約束を並
べたてて私らを誘惑しようとする。私たちアボリジニーを分断し、たがいに争わせよ
うとしているんだ。」 また、イボンヌは、連邦政府環境大臣ロバート・ヒルとの最
近の会見の印象として、「大臣は私らアボリジニーをgive some creditするようなこ
とを言うけれど、心のなかにあるのアボリジニー以外の人たちの希望を優先させるこ
とばかり考えているんだ。」と述べた。イボンヌのこの言葉についての感想を、ミル
バーン記者が大臣にたずねたところ、報道官を通じて次のようなコメントが返ってき
た:「鉱山への許可は、すべてのオーストラリア人の利益のために科学的根拠にもと
づいて決定したものである。」

「すべてのオーストラリア人」とは、いったい誰なのだろう。映画『ジャビルカ』を
ご覧になった方はすでによくお分かりだろう。

ミルバーン記者は記事を次のように結んでいる。
Money and white law will not convince her that the site belongs to someone else.
「お金と白人の法律は、ジャビルカの土地が誰か他人のものになっているなどとイボ
ンヌに認めさせることはできないだろう。」
■—————————■
 先日の朝日新聞の特集記事(ジャビルカ通信86号参照)に細川の補足・解説を加
えた資料を作成しました。ご希望の方は郵送しますので、おしらせ下さい(ファック
スだと、ちょっと細かくて読みにくいかもしれません)。なお、今回の記事は、北海
道から沖縄まですべての版に載ったようです。関西・九州地区の方には、ボツになっ
た前回の記事(98年5月、関東のみ掲載)とそれについてのコメント資料も用意して
ありますので、お申し付けくださいね。
■■—————————■■
オーストラリア連邦政府が世界遺産委員会に対する猛攻を開始しました。
委員会を構成する諸国(日本をふくむ21ヶ国)に対するロビーイングも100万ド
ルの予算を組んですでに開始されていることが判明。
(これに関する連邦環境省の内部文書を入手済み。すさまじい内容です。分析のうえ
、詳細続報!)
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★映画『ジャビルカ』(日本語版ビデオ)ご購入ください。
  ジャビルカ開発問題の歴史的背景と現状がよく分かります。
  所要52分ですので、授業での使用にも便利です。
  定価4,000円(送料込み)/上映権つき価格12,000円

★★脚本完全版(日本語/英語)も頒布しています(500円)。
(脚本の売り上げは、当面、京都でのロビー活動費用の赤字に充填します。)
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99.3.4 ジャビルカ通信 第87号

99.3.4 ジャビルカ通信 第87号

 ピースネットの吉永さんからの照会と細川の返信を、一部編集のうえ、公開します。
NoNuke ML の方には重複しますが、おゆるしください。

At 12:09 AM 99.3.4, 吉永 瑞能さん wrote:
> [グリーンピースジャパンのSさん] からの伝聞ですが、
> 日曜日にグリーンピースオーストラリアの
> スタッフが来日してGPJ [グリーンピースジャパン] に滞在中だそうですが、
> その人が豪を出発前
> に新聞で<ジャビルカ鉱山工事中止>の記事を見たということなのです。
> 何度確認しても本人はちゃんと見たと言い張っているそうで、休暇をと
> ってジャビルカの現地闘争に参加している人なんで知らないで言ってい
> るってことでもなさそうです。
>
> そんなうれしいことになればいいのですが、最近勘違いしそうな報道が
> あったのでしょうか?

●細川返信(3月4日付):
その人の勘違いだと思います。
 クインズランド州の別のウラン開発(ヴァルハラ鉱山)計画を州政府が拒否した、とい
う朗報がつい先日ありましたが、たぶんそのことでしょう。
クインズランド州政府は労働党政権でウラン開発には「慎重」です。
(ジャビルカ通信45号参照)

ヴァルハラ(Valhalla)鉱床は、ウランとバナジウムの混合鉱床で、サミット資源 (
Summit Resources) 社がリゾリュート(Resolute)社と合弁を組んで1994年に探
査許可を取得し、約3万トンのウラン資源(イエローケーキ換算)を確認、本格採掘
を申請していましたが、州政府は認可しない決定を今年の2月中旬にくだしています。

開発会社がこれまで500万豪ドル以上かけて準備をすすめてきたウラン開発計画が
頓挫したことになります。

ヴァルハラは、州北西部のマウント・アイザ (Mt. Isa) の近くで、かつて英仏の核
兵器にウランを供給したメアリー・キャザリン鉱山(現在は閉鎖)のすぐ近く。ウラ
ン鉱脈の純度は、メアリー・キャザリンと同程度の0.16%前後で、0.5%近い純度を
ほこるジャビルカ鉱脈にはおよびません。

*メアリー・キャザリン鉱山については、ヘレン・カルディコットの『核文明の恐怖
』(高木 仁三郎/訳、岩波書店)が操業当時の状況を描いています。

ジャビルカのほうは、朝日新聞での報道の通り、ユネスコの勧告にもかかわらず、坑
道掘削工事が続いています。

東京(三鷹?)での映画『ジャビルカ』上映会は、3月27日だそうですが、時間・
会場など、詳しいことが分かり次第、お知らせします。

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「ジャビルカ通信」のバックナンバーを御覧になりたい方は
  → http://nnafj.kmis.co.jp/japanese/index.shtm#BULL
   (上記にアクセスして「国外情報」をクリックして下さい)

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★映画『ジャビルカ』(日本語版ビデオ)ご購入ください。
  ジャビルカ開発問題の歴史的背景と現状がよく分かります。
  所要52分ですので、授業での使用にも便利です。
  定価4,000円(送料込み)/上映権つき価格12,000円

★★脚本完全版(日本語/英語)も頒布しています(500円)。
(脚本の売り上げは、当面、京都でのロビー活動費用の赤字に充填します。)
             よろしく!

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99.3.1 ジャビルカ通信 第86号

99.3.1 ジャビルカ通信 第86号

 すでに御覧になった方も多いと思いますが、今朝(3月1日)の朝日新聞(国際面
)にジャビルカ開発の現状について大きな記事が掲載されています。シドニー支局の
高木和男さんが現地取材してくれたもの。

以前(昨年5月、東京本社版)の掲載の際は、大阪本社版と西部本社版で見送られる
などしましたが、今回は西部本社版(九州/沖縄)にも掲載されました。大阪はどう
ですか?

 記事の内容については、当方も資料を提供したり、電話連絡などで細かい情報を提
供しました。時間をかけて丁寧に取材して、文章も注意ぶかく練りあげてくれたと思
います。
新聞記事ですので、もちろん「推進派」のいいぶんも載ってます。開発反対の立場か
らは不十分なところ、納得のいかない記述もあるかと思いますが、まずは大きな特集
記事として紙面に出してもらうことを最優先しました。

 ご批評・ご感想およせください。当方でも、いつものようにコメントをつけた記事
資料を用意する予定です。

———————-

【おわび】先日は文字化け配信でご迷惑おかけしました。当方のコード設定上のエラ
ーでした。おわびいたします。3回目の発信でちゃんと読めるように届いたと思いま
すが、もしダメでしら、ご一報ください。

———————-

【訂正】85号に掲載した Jayne Weepers のアドレスは、正しくは <ecnt@taunet.n
et.au> です。ごめんなさい。
★しばらく「ジャビルカ通信」が中断しておりました。業務多忙のため、余裕があり
ませんでした。しかし、事態は刻々と動いています。キャンペーン活動も、また態勢
をととのえて継続するつもりですので、よろしくご支援ください。

3月6日、福岡において映画『ジャビルカ』上映会をおこないます。
 場所:中央区荒戸の「ふくふくプラザ」(福岡市市民福祉プラザ)
  (地下鉄「唐人町」歩7分、092-731-2958)
 日時:3月6日(土曜日)午後2時~5時
 解説:細川 弘明
 主催:たんぽぽとりで(092-882-6993 山中)
東京でも、別途、上映会が予定されています。またご案内さしあげます。
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★映画『ジャビルカ』(日本語版ビデオ)をご購入ください。
  ジャビルカ開発問題の歴史的背景と現状がよく分かります。
  52分ですので、授業での使用のも便利です。
★★脚本(完全版)も頒布しています。よろしく! 
(脚本の売り上げは、当面、京都でのロビー活動費用の赤字に充填します。)

キャンペーン事務局   <hosokawk@cc.saga-u.ac.jp>
  840-8502 佐賀大学 農学部3号館 細川研究室
  tel&fax  0952-28-8738 
(郵便振替)01700-1-19686「ジャビルカ基金」

ホームページ: http://SaveKakadu.org/

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