99.5.21 ジャビルカ通信 第103号
火曜日(18日)から一時的にジャビルカ鉱山の坑道掘削工事を停止していたER
A社が、本日、発破を再開した。これでERA社の掘削機は、ミラル・アボリジニー
にとってもっとも重要な宗教聖地である「ボイウェッグ・アルムジ■聖地複合区域」
(■のドリーミング)に突入することになる。
この聖地の保全計画をめぐるERA社とミラル氏族との協議は、昨日、決裂した。ア
ボリジニー側が、保全計画が策定されるまで工事を再開しないことを要求したのに対
し、会社側は工事を進めながらの調査を主張し、アボリジニーはこれを拒否した。
このまま、保全計画が策定されないまま開発がすすめば、ウラン鉱石の輸出許可が
ユネスコ世界遺産委員会は、ERA社に対して工事停止をあらためて要請した。
ユネスコの委託をうけてジャビルカ開発の環境保全面についてのオーストラリア政
府の報告内容を検討していた国際自然保護連合(IUCN)と国際記念物遺跡会議(
ICOMOS)は、昨日、それぞれユネスコ世界遺産委員会に対して、カカドゥ国立
公園をただちに「危機に瀕する世界遺産」に登録する必要があると勧告した。
オーストラリア連邦政府のロバート・ヒル環境大臣は、この勧告を「政治的な態度
だ」としてIUCNとICOMOSを激しく非難する声明を発表した。ICOMOS
のオーストラリア責任者は、ICOMOSはもっぱら技術的な観点から調査勧告をお
こなう専門機関として定評をえており、ヒル環境相のヒステリカルな非難はまったく
不可解である、と反論した。連邦議会の均衡票をにぎる民主党は、連邦政府のこのよ
うな態度は、国際的にオーストラリアを辱める以外のものではない、と強く環境相を
とがめる声明を発表した。
IUCNとICOMOSは、環境保護活動家のあいだでは、どちらかといえば保守
的・穏健派の組織として知られており、これらを「過激な環境主義」として断罪する
ヒル環境大臣の発言は、失笑をまねいている。
ミラル・アボリジニーの自治組織であるグンジェイミ先住民族法人は、本日、先住
民族文化財保護法(連邦法、直訳すると「アボリジニーおよびトレス海峡諸島民の遺
産保護のための法律)の定める特別調査の開始を求める申請を連邦政府に提出した。
この法律の執行は連邦環境省の管轄であり、グンジェイミの申請が認められれば、環
境大臣は、ジャビルカ工事区域内の文化保全状況について独立調査委員会を設立する
責任をおう。もし調査が始まれば、97年にジャビルカ開発工事の認可を出した際に
環境大臣が条件づけた数多くの事項が、その後、ERA社や北部準州政府によってま
ったく守られていないことが大きな問題となるだろう。
オーストラリアの数多くの環境団体、自然保護運動家、研究者、個人らは、本日、
連名で、ユネスコ事務総長に書簡をおくり、カカドゥ国立公園をただちに「危機に瀕
する世界遺産」リストに登録するよう要請した。環境団体「地球の友」(オーストラ
リア支部)では、この要請状に対する賛同者を世界から募っている。
※この書簡の文面(英文)をご覧になりたい方は、ご連絡ください。メールでテキ
ストを送付いたします。
【おわび】 先月来、大勢の方々から資料請求、問合わせ、etc. のメールをいただ
いています。対応が非常に、非常に、遅れております。すみません。ごめんなさい。
いま暫し、ご猶予ください。順次、回答・資料送付・etc してまいります。
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ストップ・ジャビルカ・キャンペーン事務局
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