99.5.6 ジャビルカ通信 第98号

99.5.6 ジャビルカ通信 第98号

 『反原発新聞』の求めに応じて書いた原稿(5月号に掲載予定)に少し加筆したも
のを公開いたします。新聞のほうには、紙幅の都合で、少し短く編集されたものが掲
載されることになるようです。

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高レベル廃棄物の国際処分場構想「パンゲア計画」が明らかに
 オーストラリアで以前から噂のあった核のゴミ国際処分場立地構想が具体的に浮上
してきた。2月末、米国のパンゲア社は、豪州内陸の乾燥地帯に大規模な地下埋設施
設を建設し、世界各国の原発の使用済み燃料(MOXを含む)、再処理高レベル放射性
廃棄物、核兵器解体廃棄物などを集中的に処分する構想をオーストラリア連邦政府に
対して文書で提示した。同社は立地調査をすでに開始している。連邦政府はこの提案
を受け入れない方針を明らかにしたが、これを額面通りの拒絶と解釈する人は少ない
。緑の党、民主党など野党は、放射性廃棄物の輸入を禁止する法案を上程する構えだ
が、政府はこの法案に同意しない模様。昨年11月、連邦政府要人がパンゲア社から
詳細な説明を受けていたことが、今年3月になって報道され、政府の対応に不信を招
いている。そもそも今回の計画のルーツが豪州政府主導のシンロック技術(高レベル
液体廃棄物のセラミック固化)研究計画にあることはパンゲア社も明言している。

 国際処分場は、建設だけで2兆円規模の事業であり、運用開始後はGNPの1%以
上に貢献し、毎年20億円の税収を生み、インフラ整備など関連事業の経済効果も大
きいとされる。すべて獲らぬ狸の話だが、パンゲア計画に対してはすでに英国核燃料
公社(BNFL)が10億円規模の投資をしており、豪州国内の鉱山関連会社にもパ
ンゲア社と合弁の動きがある。パンゲア計画急浮上の背景には、米国で原発のゴミ処
分地が確保できず電力会社が政府を訴えるという切迫した事情もある。クリントン政
権は非公式にパンゲア計画を後押ししている。

 3月上旬にアリゾナ州タスコンで開かれた廃棄物管理国際会議では、豪州パンゲア
資源社(米国パンゲア社の子会社)の研究員らが数件の発表をおこない、同社の構想
内容が公表された。それによると、地下水移動が少なく安定した花崗岩地層を選定し
、まず使用済み燃料7万5千トンを受け入れる。埋設深度は明記されていない。当初
の運営費は年間約500億円で、管理年数は40年(その後、25万年は密閉放置!
)とされる。7万人以上の新規雇用を生むとの予測は、失業対策に悩む豪州政府にと
って喉から手が出るような数字ではあろう。核廃棄物の長距離移動はIAEA(国際
原子力機関)の基準に則しておこない、その安全性はこれまでの日欧間の輸送実績が
示している、とパンゲア社は主張する。

 立地点は公開文書には明記されていないが、各紙報道と関係者のコメントを総合す
ると、西豪州ピルバラ内陸部(グレートサンデー沙漠)、同州カルグーリ以東(グレ
ートビクトリア沙漠)、南豪州ウーメラ以北(エヤー地方)が有力である。いずれも
ウラン採掘や探査活動の行われた地区であり、「ウランを輸出するならば、最終的な
廃棄物を引き取る義務がある」という豪州経済界のかねてからの言説を裏付ける形と
なった。豪州各地で野放図なウラン開発をおこなってきた日本政府の責任も厳しく問
われる。パンゲア計画の最有力候補地とされる西豪州マルガロック地区(グレートビ
クトリア沙漠)は旧動燃が試掘孔を放置して環境汚染が指摘されている場所である。

 取り沙汰される候補地は先住民族アボリジニーの土地権が係争中の地域ばかりであ
る。アボリジニーの反発は当然ながら強い。内陸部アボリジニーの有力指導者であり
自らもマラリンガ核実験の風下ヒバク者であるヤミ・レスター氏はABC放送のイン
タビューに応じて「先住民族の土地にゴミを置けばよいとする発想そのものに不快を
覚える。安全に処分できるというのなら、なぜ自分の国に置いておけないのか」と述
べた。また、西豪州アボリジニーの女性活動家ジョーン・ウィングフィールドはロン
ドン・オブザーバーとのインタビューに応えて、「私たちアボリジニーは、これまで
もウラン採掘と原爆実験で苦しめられてきた。このうえ、私たちの子供たちをイギリ
スの毒で殺そうというのか」と憤りをこめて述べた。
※会社名 Pangeaの英語読みは「パンジーア」ですが、地質学の超大陸パンゲア仮説
に由来した名称であることから、カナ表記を「パンゲア」としました。

※※オーストラリア内陸部における英国の核実験については、『世界民族問題事典』
(平凡社)の「マラリンガ」の項をご覧ください。

 

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