99.7.13 ジャビルカ通信 第110号

99.7.13 ジャビルカ通信 第110号

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※順番・日付けが前後しますが、パリ会議直後にファックス配信した
コメントを再送します。

NoNuke ML の方々には7月13日にお送りした [NoNuke:01151] と
まったく同じ内容ですので、消していただいて結構です。
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大阪の宇野田です。
すでにたくさん翻訳などが投稿されていますが、ジャビルカウラン鉱山の問題で、
カカドゥは危機遺産に登録されませんでした。あまりにもひどい展開で本当に腹
立たしく、イボンヌさんをはじめミラルの方々の心情を思うと、たまらない気持
ちがします。
現在オーストラリア滞在中の細川さんから以下のようなまとめとコメントがファッ
クスにて届きましたので、お知らせします。

パリのユネスコ会議の結論としては、
1、カカドゥは現時点では危機遺産リストに登録しない
2、委員会はジャビルカウラン鉱山の自然環境およびアボリジニ文化への悪影響
    の可能性について深く憂慮する
3、オーストラリア政府は、ジャビルカ鉱区内の先住民族聖地の分布地図と保全
    計画を早急に策定してユネスコに報告する。
4、カカドゥ地域全体のアボリジニの社会経済を改善するための抜本的な施策を
    求める。

細川さんのコメント:一言で言うと、オーストラリア政府の「勝ち」です。2と
3はすでに昨年の京都会議以前の現地報告で勧告されていたことの繰り返しに過
ぎません。4はもう何年も前からのお題目です。(「地域全体の」というのは、
ミラル以外のということで、要するに周辺のアボリジニを買収してミラルを孤立
させる手段)オーストラリアでは、今回の決定をユネスコが事実上ジャビルカ開
発を認知したものとして解釈しています。

最新のニュースでは、連邦政府はジャビルカ開発を今後18ヶ月間凍結し、その
間に聖地の調査を行うとしています。ERAは、ジャビルカの本格操業は200
9年からとしています。2001年からLow scale production、2009年から
Full Scale productionとのこと。

宇野田陽子
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ストップ・ジャビルカ・キャンペーン事務局
   <hosokawk@cc.saga-u.ac.jp>
  840-8502 佐賀大学 農学部3号館 細川研究室
  tel&fax  0952-28-8738 
(郵便振替)01700-1-19686「ジャビルカ基金」
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99.7.5 ジャビルカ通信 第109号

99.7.5 ジャビルカ通信 第109号

 ERA社は、今朝、ジャビルカ鉱山建設工事の第1期が予定よりも早く完了したと
発表した。これは、地表から地下のウラン鉱脈にいたる坑道(decline)が貫通した
ことを意味する。予想されていたよりも数ヶ月はやい。よほどの突貫工事だったのだ
ろう。
 トンネルが鉱脈に達したということは、採掘にむけての今後の作業は、すべて放射
能がらみということになる。ERA社は、向こう6ヶ月かけて「安全性の確認と環境
調査をおこなう」としており、鉱脈そのものに手をつけるのがいつになるか明らかに
していない。操業(採掘)開始予定は、当初は2000年とされていたが、これは以
前に発表されたように2001年に延期された。

 ユネスコの世界遺産委員会の幹事国(ビューロー)会合が、本日(7月5日)、日
本時間の夜、パリで始まる。ビューロー会合は定期会議であり、多くの議題が審議さ
れるが、なんといってもジャビルカの問題が最大のポイントである。ビューロー会合
は10日まで続き、翌週、7月12日には世界遺産委員会(全体会)が開かれる。こ
れは、ジャビルカ問題にしぼった臨時会議で、同日中(日本時間の13日未明)には
、カカドゥ国立公園を「危機に瀕する世界遺産」に指定するかどうか、決定がなされる。

 ERA社の「工事完了」の発表は、ユネスコの会議前に必死に間に合わせたものだ
ろう。

 すでに、オーストラリアからは、ミラル・グンジェイミの人たち、環境団体の代表
、そして、開発推進派である「環境大臣」さんが直々パリにのりこみ、激しいロビー
活動を展開している。

 オーストラリア政府側のまきかえしとしては、次の2点がロビイストの注目をあび
ている。
 まず、ユネスコの次期の事務総長(これは国連のNo.2のポスト)にオーストラリ
アのもと外務大臣ギャレス・エヴァンズ氏を指名したこと。エヴァンズ氏は、国連事
務総長の候補にもあがったことのある大物で有能で国際人脈もゆたかな政治家である
。この指名は、次期ユネスコ事務総長をめざす松浦晃一郎氏(フランス大使、ユネス
コ世界遺産委員会委員長、今回のパリ会議の議長)に対するあからさまな脅迫といえ
よう。
 また、次期の世界遺産委員会の議長は、あらかじめ決められたローテーションによ
るとオーストラリアの番なのであるが、オーストラリアはこれをハンガリーに譲り、
そのかわり、カカドゥ問題についてのハンガリーの票を確保した、と伝えられている。
 ほかにも、この類の「国際政治戦略」がたくさん行使されている模様。
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 さて、残念なことに、細川は仕事のため、今日これから渡豪します。7月末まで、
メール・ファックス・郵便など見ることができなくなります。パリ会議の様子は、シ
ドニーでモニターすることになります。帰国後、なるべく早い時期に報告します。

 なお、ファイルサーバーも停止します。

 『週刊金曜日』の8月6日号に、カラー3頁でジャビルカの記事がでます(伊藤孝
司さんの第2報)。ご注目ください。

 今朝の毎日新聞1面のスクープ、ごらんになりましたか? 東京社会部の本多さん
たちの調査報道です。細川のところにも詳細な取材がありました。
 では、慌ただしいですが、飛行機に間に合わなくなるので、ここまで。

 

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キャンペーン・ホームページ: http://SaveKakadu.org

ミラル氏族のホームページ: http://www.mirrar.net

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