99.9.29 ジャビルカ通信 第114号

99.9.29 ジャビルカ通信 第114号

 ジャビルカ開発問題の続報をおとどけします。

(夏以来、通信の発行がとどこおり、すみません。オーストラリア、南インド、南タ
イ、中部タイと海外出張がたび重なり、家族が病気になったり、本業がめちゃめちゃ
忙しかったりで、ズルズルと間があいてしまいました。)

 東海村での臨界事故があって、ウラン採掘にはじまる核燃料サイクルのおそろしさ
をあらためて認識させられました。(この点については、日本環境法律家連盟の機関
紙『環境と正義』の12月号に書きました。) 
さて、ジャビルカ開発ですが、工事自体はパリ会議前に止まったまま、休止状態です
(通信109号参照)。

その後、水面下での動きはいろいろあるようですが、最大のニュースは、アボリジニ
ー土地権の自主管理組織である北部土地評議会(NLC)が、ジャビルカ開発につい
ての態度を変更し、これまでの「条件付き容認」(実質推進、ミラルとは対立、通信
9号および12号を参照)から「原則反対」(ミラルの立場を指示)へと転換したこ
と。これは大きい。

99年10月26日、ジャビルカ開発をすすめるERA社は、北部土地評議会からショッキ
ングな通告を受けました。その前の週に開催された評議員臨時総会で、「少なくとも
2005年1月までジャビルカ鉱山開発協定にもとづく交渉には応じない」というミラル
・グンジェイミ氏族(ジャビルカの土地権をもつ集団)からの要請を、評議会は承認
したのです。

ERA社も、州政府も、連邦政府も、予期しなかった事態にまっさおです。

ジャビルカ開発のこれまでの複雑な流れを理解しないと少し分かりにくいことですが
、要するに、評議会は当面のあいだ、鉱山会社とアボリジニー土地権者のあいだの調
停交渉をしませんよ、ということ。

北部土地評議会(NLC)は、「北部準州先住民土地権利法」(ALRA76)という連邦
法で定められた公的機関であるにもかかわらず、政府の予算削減の結果、その運営資
金のかなりの部分を鉱山会社がアボリジニーに支払う採掘権利料から吸い上げている
のが実態です。ですから、ジャビルカ開発についても、ERA社は、土地の持ち主で
あるアボリジニーを説得する役割を評議会に期待していたわけです。ジャビルカ開発
の経緯を描いた映画『ジャビルカ』において、NLCがいわば「悪役(鉱山会社)の
露払い役」として登場するのには、このような事情があったわけです。

NLCの評議員は、制度上、すべてアボリジニーですが、以上のような事情があるた
め、当然、アボリジニーの土地権者は評議会に対して不信感も抱いている。とくにジ
ャビルカ現地の土地権をもつミラルの人々と評議会の関係は、ここ数年、控えめに表
現しても「かなり険悪」でした。それが、ここへきて立場を転換したのですから、劇
的事件というべきでしょう。

アボリジニーとの交渉(とくにレンジャー鉱山の製錬設備の使用をめぐる交渉)が凍
結されてしまったとなると、ERA社は、ジャビルカ鉱山の前の持ち主であるパンコ
ンチネンタル社が70年代に計画した不経済な方式で開発をすすめるほかありません
。つまり、ジャビルカで掘るウラン鉱石をレンジャーの製錬所で処理するという選択
肢を封じられてしまうため、ジャビルカ鉱山のわきに独自の製錬施設を新しく作ると
いう方式です。これは、ジャビルカ開発計画全体のコストをほとんど倍増させるもの
で、現在のERA社の経営状態を考えれば自殺行為ともいえます。(むろん、ジャビ
ルカ周辺の自然環境にとっても、最悪の選択肢です。) 世界中が原発ブームで沸き
返り、ウラン価格が高騰でもしないかぎり、こんなコストをかけるという経営判断は
ありえないでしょう。

さて、これでジャビルカ開発が2005年まで凍結されたかというと、そう楽観できない
面もあります。ユネスコ世界遺産委員会が、カカドゥ公園地域内でのウラン開発に対
して、ついに決然たる態度をとれずにきたため、開発側(鉱山会社+政府+海外顧客
である関西電力など)にはまだ強行策をとる余地があるのである。

おそらく、アボリジニーとの「誠意ある交渉」を求めた世界遺産委員会の勧告をタテ
にとって、交渉を断固拒否するアボリジニー側に対する口ぎたない非難をエスカレー
トさせることでしょう。政府は「環境に対する配慮」などを理由にレンジャーの製錬
施設の利用を超法規的に許可してしまうかも知れません。あるいは、とんでもない補
助金をひねり出すか、わけのわからない免税措置をとるか、それとも日本からの追加
融資をあてにするか?

このあたりの情勢とその背景については、また年があらたまってから解説したいと思
います。今日は、年末の借金取りの相手をしなければなりませんので、これくらいで …

別便にて、キャンペーンの会計報告をおとどけします。
みなさま、どうか良いお年を!
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ストップ・ジャビルカ・キャンペーン事務局
   <hosokawk@cc.saga-u.ac.jp>
  840-8502 佐賀大学 農学部3号館 細川研究室
  FAX  0952-28-8738 

(郵便振替)01700-1-19686「ジャビルカ基金」
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ミラル氏族のホームページ: http://www.mirrar.net

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99.9.14 ジャビルカ通信 第113号

99.9.14 ジャビルカ通信 第113号

111号での<ジャビルカ絵葉書セット>紹介のさい、「マジェラ湿原にいこう水鳥
たつ」などと意味不明なことを書いてしまいました。もちろん、「水鳥たち」のタイ
プミスです。

それと、同じ号で掲載した記事リストの補足ですが、
『生活と自治』7月号には、カラー2ページで田嶋雅巳さんの報告が載っているそう
です。(細川未見;ピースネットニュースの吉永さんからのご指摘)

田嶋さんからのお手紙によると、『週刊宝石』の記事は、当初はカラーグラビア5頁
の予定だったのが、直前にモノクロ2頁に変更されてしまったとのことで、非常に残
念だとのこと。

————————————————–
通信112号でおつたえした世界遺産委員会(パリ会議99.7.12)の決定への補足コ
メントです。以下、NoNuke ML の方々にはすでに以前に投稿したのと同じ内容ですの
で、消していただいて結構です。

●危機遺産への登録が見送られたことは、非常に残念ですが、しかし、この問題をひ
きつづき調査・審議することが明記されている点は重視すべきです。

とりわけ重要なのは、次の3点:

(1)ジャビルカ鉱山がカカドゥ国立公園に悪影響をもたらす可能性があることに対
して、委員会として懸念を表明し、対策が必要であるとしている。

(2)オーストラリア政府やERA社のこれまでの対策では不十分であることが指摘
されている。

(3)採掘と製錬が環境にもたらす影響についての科学的評価は未確定であるとして
いる。

つまり、これは「安全宣言」「開発容認宣言」ではまったくない、ということです。

関西電力は(今回の決定をうけて)「世界遺産委員会は、カカドゥ国立公園が危機に
さらされていないと認めた」みたいに解釈しているようですが、それは全然ちがいます。
なお、今回決定文書の第2項(a)および第4項にあるISPとは、昨年の京都会議の勧告
文書の第3項にある「独立科学者パネル」のことです。

また、今回決定文書の第2項(a)と(d)および第4項にある「オーストラリア政府科学
監視機関」とは、Australian Supervising Scientistを訳したもので、昨年の京都会
議の勧告文書で「オーストラリア監視科学者グループ」と訳したものと同一の組織で
す。映画『ジャビルカ』にでてくる「監督科学局」(The Office of the Supervisin
g Scientist = OSS)と同じものです。翻訳の仕方が不統一ですみません。

★関西電力との交渉、大阪市との交渉については、今後の号で詳しく報告します。
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99.9.11 ジャビルカ通信 第112号

99.9.11 ジャビルカ通信 第112号

■パリ会議決定文書(改訳版)

国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会 決定

世界遺産委員会第3回特別会期(カカドゥ国立公園問題を審議する臨時会)
1999年7月12日 パリ(ユネスコ本部)
1. 本委員会は、

(a)  1972年ユネスコ世界遺産条約の第4条、第5条、第6条、第7条および第11
条の重要性、とりわけ第6条第1項が下記の通り定めている点を強調する。

  文化遺産および自然遺産として登録された遺産に対しては、それらを領土内に
  おさめる国家の主権を十分に尊重しつつ、かつ、国内法の定める所有権を損な
  うことなく、国際社会全体が協力してそれらを保全する義務を負うことを、本
  条約の加盟国は認識する。

(b) 世界遺産委員会第22回会議(京都1998)が、カカドゥ国立公園に対してジャビル
カでのウラン採掘・製錬事業計画がもたらす確定的および潜在的な脅威について「深
い憂慮」を表明したことを想起する。

(c) ビューロー(幹事国会議)第23回通常会期(パリ1999)および第22回臨時会期(
京都1998)での審議の結果、「世界遺産条約履行のための作業指針」第3部(とりわ
け第86段)の規定【注参照】にもとづき、カカドゥ国立公園の状況について今後とも
真剣な配慮が必要であるとされたことに留意する。

(d) ジャビルカ鉱山の坑道建設工事を本委員会第23回会期まで自発的に停止するよう
にとの本委員会第22回会議での要請が満たされなかったことに対し、強く不満の意を
表明する。

(e) カカドゥ国立公園の生きた文化価値に対してジャビルカ鉱山の採掘・製錬事業計
画がもたらしている深刻な影響について、深く憂慮する。ジャビルカでの採掘・製錬
計画に関連する諸問題を解決するためには、対話を通じての信頼関係の醸成がきわめ
て重要であると本委員会は考えるものである。とりわけ、オーストラリア政府とジャ
ビルカ鉱区の伝統的土地所有者であるミラル・アボリジニーの人々とのあいだに、こ
れまでよりも実質的で継続的な対話がなければならない。

(f) ジャビルカの文化遺産管理計画の準備がまったく進展していないことを憂慮する。

(g) ジャビルカにおける採掘と製錬に科学的な不確実性については、ひきつづき慎重
に判断を保留せざるをえない。
2. 本委員会は、

(a) オーストラリア政府、オーストラリア政府科学監視機関、ユネスコの公式諮問機
関(IUCN, ICOMOS, ICCROM)、および国際科学者連合協議会 (ICSU) が設置した独立
科学者パネル (ISP) が、本委員会第22回会議(京都1998)での要請に応じて、それ
ぞれ報告書を提出したことを感謝するとともに確認する。

(b) ジャビルカ・ウラン鉱山と製錬所に関する諸問題をめぐって、ミラル・アボリジ
ニーの人々とオーストラリア政府とのあいだで新たな対話が始まったことを示す兆候
がみられることを認める。本委員会は、そのような対話こそがカカドゥ国立公園ユネ
スコ現地調査団によって提起された諸問題を解決するための建設的な第一歩として不
可欠であると考える。

(c) オーストラリア政府が、ジャビルカ鉱山が最大生産量に達する時期をレンジャー
鉱山の生産量が減少する2009年まで延期し、したがって両鉱山が同時に本格操業する
ことがないようにする、と文書で述べた点に留意する(世界遺産委員会公式文書99/C
ONF.205/INF.3G「カカドゥ国立公園の保全」オーストラリア政府提出)。ジャビルカ
において計画されている採掘および製錬事業に関して、エナジー・リソーシズ・オブ
・オーストラリア社(ERA)のような民間企業の活動がカカドゥ国立公園の世界遺産
としての価値を損なわないように規制するのは、オーストラリア政府の明確な責務で
あると本委員会は考える。

(d) オーストラリア政府の監督科学局 (ASS) が、国際科学評議会 (ICSU) が設置し
た独立科学者パネル (ISP) の報告書を査読した結果、ジャビルカ鉱山での採掘と製
錬に関する科学的に未解決の問題点を解消するためにISPとの対話を求めていること
に留意する。
3. 上記 1. および 2. に鑑み、本委員会は、この問題に関するオーストラリア政府
の対応の進捗状況を今後もひきつづき監視し評定していくものである。それゆえ、本
委員会はオーストラリア政府に対し、下記の事項についての進捗報告を2000年4月15
日までに提出するよう要請する。その報告内容は、世界遺産委員会ビューロー(幹事
国会議)第24回通常会期において審議するものとする。

(a) ジャビルカ鉱区ならびにボイウェッグ・アルムジ聖地とその周辺地域の文化遺産
の分布状況の調査の進捗状況、および文化遺産管理計画策定の進捗状況。これらの作
業にあたっては、ミラルの協力を必要条件とし、かつ、その他の利害関係者および国
際記念物遺跡会議 (ICOMOS) と文化財保存修復国際センター (ICCROM) の適切な関与
をうるものとする。

(b) カカドゥ地域社会影響評価研究(KRSIS)の成果をふまえ、北部準州政府との協
力のもとに実施されるべき、カカドゥのアボリジニー社会(ミラルを含む)に益する
ような総合的な社会・福祉対策の進捗状況

(c) レンジャー・ジャビルカ両鉱山の並行操業にともなう合計採掘量と事業規模の調
整のための、法的規制をも含めた、具体的措置に関する厳密な詳細
4. 独立科学者パネル (ISP) の報告書で提起された科学的争点をはじめとする未解決
の事項を解消するため、本委員会は国際科学者連合協議会 (ICSU) に次のように要請
する。すなわち、ISPを存続させ、必要ならばメンバーを追加したうえで、オースト
ラリア政府監督科学局 (ASS) および国際自然保護連合 (IUCN) との協力のもとに、I
SP報告書に対するオーストラリア政府監督科学局の反論報告書の内容を評定すること
。ISPはその評定結果は2000年4月15日までに世界遺産センターに提出するものとし、
その内容は世界遺産委員会ビューロー(幹事国会議)第24回通常会期において審議す
るものとする。

 

——————————–
【翻訳】細川 弘明(ストップ・ジャビルカ・キャンペーン事務局)
【注】「世界遺産条約履行のための作業指針」第3部第86段は次のように定めている。

  危機に瀕する世界遺産リストへの登録を考慮するに際しては、世界遺産委員会は、
  当該加盟国との協議のもと、まず危機を回避するための改善措置を可能な限り速や
  かに計画し採択するものとする。

「当該加盟国との協議のもと」という文言は、条約加盟国の主権を尊重したものであ
るが、これを、危機遺産指定にあたって当該国(ジャビルカ開発問題の場合はオース
トラリア)の同意を必要とすると解釈するか、必要無いと解釈するかは玉虫色であり
、京都会議においておおきく議論のわかれた点であった。今回のパリ会議においては
、決定文書において明言はされなかったが、当該国の同意を必要とするとの解釈にま
とまったと言える。これは世界遺産条約の実効性のおおきな後退とみなさざるをえな
い。(細川)
■細川コメント

* 京都会議に輪をかけて分かりにくい(評価しずらい)玉虫色の決着です。先送り
、すなわち積極的保全措置(危機遺産指定など)の欠落ですから、おおかたの環境保
護団体は今回の決定を、カカドゥ保護運動にとってな敗北とみなしています。オース
トラリアのマスコミも、国連がジャビルカ開発を容認、オーストラリア政府の勝利、
というトーンの見出しで伝えています。関西電力の広報担当の課長さんも危機、いや
、嬉々としていたそうです。

* 国際自然保護連合(IUCN) などユネスコの公式諮問機関は一致して、カカドゥ国
立公園を危機遺産に登録し、ジャビルカ開発の完全中止・撤回するよう求める報告を
提出していましたが、その勧告は結局、この文書に反映されていません。世界遺産委
員会がIUCNの勧告をこれほど無視したのはユネスコ始まって以来のことです。今後の
世界遺産保護のありかたに暗い影をおとすことになるかも知れません。

* とはいえ、オーストラリア政府が開発工事の18ヶ月間停止と採掘スケジュール
を大幅におくらした点は、政治的裏交渉の産物とはいえ、それなりの成果です。ジャ
ビルカ現地の放射能汚染は、とりあえず回避されました。1年半の遅れ(そして本格
採掘時期の4~8年の遅れ)は、経営の苦しいERA社にとって、もしかすると致命
的な結果をもたらすかも知れません。これまでの莫大な投資の回収がそれだけ遅れ、
また、その間にウランの買い手はますます減る一方なのですから。

* アボリジニーとの交渉をオーストラリア政府に強く促している点(決定文書の1e,
1f, 2b, 3a, 3b項)について、グンジェイッミ先住民族法人の事務局長ジャッキー・
カトナは高く評価し、政府にミラルの主張を認めさせる透明な回路が保証された、と
しています。しかし、悪くすると不透明な裏取り引きでの事態決着をはかる口実を政
府に与えかねないという側面もあります(細川私見)。オーストラリア政府が、国連
に対して、アボリジニーとよく話し合います、てな約束をした本当の狙いは、アボリ
ジニーと環境保護団体の分断をはかるだろうと考えられます。

* グンジェイッミ先住民族法人は、「条件闘争には転じない。ジャビルカ鉱山はけ
して操業させない」と繰り返し表明しています。とりあえずは、そのことを信じて、
環境保護団体とアボリジニーとのあいだに生じてしまった乖離感、不信感を解消して
いくべく試みるべきでしょう。
★ジャビルカ絵葉書セット(写真8点のポストカードと小冊子『いのちの森にウラン
鉱山はいらない — ジャビルカ開発問題と私たち』)頒布開始しました。

  1セット 500円
  10セット以上 420円
  20セット以上 350円
  (送料別途)

収益はキャンペーン会計に繰り入れます。どうぞ、よろしく!
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99.9.10 ジャビルカ通信 第111号

99.9.10 ジャビルカ通信 第111号

 ふた月あまり滞ってしまいましたが、ジャビルカ通信を再開いたします。お伝えす
べき情報が山ほどたまっていますが、ぼちぼちほぐしていきましょう。

(・留守のあいだ、ご連絡いただいた方々、ほとんどお返事できず、申し訳ありませ
んでした。順次、対応していきたいのですが、お急ぎの用件の方は、すみませんが督
促おねがいします。)

まず、悪いしらせ2つ:

(1)NoNukes ML の方々にはすでにニュースが何通も伝わっていると思いますが、
7月12日の世界遺産委員会(パリ会議)では、カカドゥ国立公園の危機遺産登録は
なりませんでした。ただし、ジャビルカ開発が承認されたわけでは決してなく、ひき
つづき厳しい査定を続けるとしていますが、結論の先送りという弱腰に終わってしま
ったことは、とても残念です。

(2)この世界遺産委員会の決定をめぐって、アボリジニー(グンジェイミ先住民族
法人)と環境団体(とくに原生自然協会と豪州自然保護基金)の意見がおおきく対立
し、ちょっと仲たがいのような状態になってしまっています。この件については、お
って解説します。

●パリ会議の決定文書の日本語訳をすでに7月から配付していますが、通信次号で改
訂訳をお送りします。

つぎに、良い知らせ2つ:

(3)パリ会議の妥協の産物とはいえ、オーストラリア連邦政府はジャビルカ開発工
事をむこう18ヶ月のあいだ停止すると発表し、実際に現地での作業はとまっていま
す。(ERA社は、できれば来年早々にも再開したいと言っていますが、これはどう
なるか分かりません。)

(4)<ジャビルカ絵葉書セット> 堂々完成!(お~! 拍手喝采!!!)
これも NoNukes ML の方々にはお知らせずみですが、
宇野田陽子さん(ノーニュークス・アジア・フォーラム・ジャパン事務局)の実行力
には、またまた脱帽です。すてきな8枚組の絵葉書とジャビルカ開発問題と日本のか
かわりを説明した小冊子がセットになって、500円。

絵葉書は、5月に現地取材された伊藤孝司さん撮影の写真8点で、にこやかに微笑む
イボンヌ・マルガルラさん、マジェラ湿原にいこう水鳥たつ(シギ、白サギ、豪州ト
キ、チドリなど)、レンジャー鉱山の巨大な鉱滓(テーリング)ダム、ジャビルカ鉱
山の工事現場、カカドゥの景観など、さすがプロの腕前、素晴らしい仕上がりです。
ふつうの葉書サイズ。ストップ・ジャビルカのロゴ入り。

売り上げはストップ・ジャビルカ・キャンペーンの収益になりますので、ぜひお求め
ください(10セット以上は割引きあり)。→ 細川または宇野田まで
■いくつかの雑誌でジャビルカ開発のことが掲載されました。

『週刊宝石』99年8月5日号「オーストラリア発 掘り荒らされる世界遺産」グラビ
ア見開き2ページ、文=田嶋雅巳さん、写真=田嶋雅巳・北部環境センター (ECNT)

『軍縮問題資料』99年9月号「ジャビルカ鉱山と世界遺産—ウラン採掘を支える日
本の原子力産業」4ページ、文=宇野田陽子さん、写真=伊藤孝司さん

『週刊金曜日』99年8月6日号 (第278号)「日本の原発のために破壊されるアボリジニ
ーの聖地」カラー5ページ、文・写真=伊藤孝司さん

『フライデー』99年7月9日号「緊急ルポ 日本の原発から「世界遺産」を守れ!」、
カラーグラビア3ページ、文・写真=伊藤孝司さん

『先住民族の10年News』57号 (99年9月4日刊)「ヒロシマ、ナガサキ、そしてジャビ
ルカ」、講演会報告4ページ、文・写真=田中洋一さん

それと、まだ出るのはこれからですが、
日本環境法律家連盟の月刊ニューズレター『環境と正義』10月号から5回連載でジ
ャビルカ問題のことを細川が書いています。
■オーストラリアのメルボルンでは、ノース社(ERA社の親会社)に対するブロッ
ケードがふたたび敢行され、8月31日から9月2日までのあいだ、ノース本社ビル
にピケがはられ、営業が中断しました。警察との小競り合いがあった模様ですが、逮
捕者は出なかった模様です。詳しくは、下記、ジャビルカ行動連絡会 (JAG) のホー
ムページをごらんください。
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