2000.4.10 ジャビルカ通信 第117号

2000.4.10 ジャビルカ通信 第117号

ジャビルカ開発計画は、経営判断によって断念される可能性が濃厚になってきた。

ジャビルカ鉱山は、すぐ南で操業中のレンジャー鉱山ですでにウラン採掘をおこなっ
ているERA社(エナジー・リソーシズ・オブ・オーストラリア社)が新規採掘を計
画している。埋蔵量・品位とも世界有数のウラン鉱脈であるが、世界遺産カカドゥ国
立公園のなかに位置していることから、環境破壊をまねくとの厳しい批判にさらされ
、計画はおおはばに遅れ、採掘開始に至っていない。

ERA社は、ジャビルカで採掘する鉱石を、既存のレンジャー鉱山の製錬施設で処理
したいと考えているが、地元の土地権をもつ先住民族(アボリジニー)のミラル・グ
ンジェイッミ氏族は、ジャビルカ鉱区からレンジャー鉱区への鉱石の運搬計画に対し
て拒否権を発動した(99年10月)。

この拒否権は、レンジャーの開山にあたって取り交わされた協定にもとづいている。
ERA社は、再度の交渉を申し入れたが、アボリジニー側は交渉そのものの5年間凍
結を宣言した。

このため、ジャビルカでの採掘をおこなうためには、ジャビルカ鉱区に新しい製錬施
設および製錬廃棄物の貯蔵ダムを建設する必要がある。これは、ジャビルカ鉱区に隣
接するマジェラ湿原(ラムサール条約登録湿地)の自然環境に対する著しい脅威であ
ると同時に、ERA社にとって1億5500万豪ドル(約110億円)もの余分な出費とな
る。ノース社の内部資料 (1998) が採用した厳しい試算によれば、関連コストもふく
めると2億ドルの追加出費にもなると予想されている。(ジャビルカ通信116号参照)

国際市場におけるウラン価格の長期低迷を考えると、新しい鉱山にそこまで投資する
ことに経営上の合理性があるかどうかは、はなはだ疑わしい。現に、ジャビルカ計画
がこのような状況になるにともない、ERA社の株価は、1996年10月の6.5豪ドル以
降、ずっと低下しつづけ、今年4月6日にはなんと2.01豪ドルにまで落ちた。

ERA社の親会社であるノース社(本社メルボルン)は、鉱山開発・森林伐採・ウッ
ドチップ生産など、多角経営の資源会社であるが、2000年3月の経営戦略会議におい
て、金・銀・森林・ウッドチップ部門から撤退し、鉄・銅・亜鉛を主力部門として強
化する方針が採択された。これにともない、同社広報部は、西オーストラリア州のふ
たつの支社(おもに金鉱開発をあうかってきた)を閉鎖すると発表した。

ウランに関して、先月の会議では明確な方針が示されなかったが、オーストラリア経
済紙の報道によれば、ノース社はERA社の売却(すなわちウラン開発からの撤退)
を真剣に検討しはじめているという。仮に撤退しない場合でも、ジャビルカ計画に関
しては、レンジャーの既存施設を利用する(つまり安上がりな)方法を前提とし、新
製錬施設の建設には同意しないものと見られる。

昨年10月のノース社の臨時株主総会において、ジャビルカ計画からの撤退が反核株主
の会から提案された際も、この提案に反対票を投じた(つまりジャビルカ計画を積極
的に進める考えを示した)のは株主の2割強にすぎず、機関投資家をふくめた7割は
棄権した。提案そのものは賛成票が4%で否決されたが、これほど多くの株主が「棄
権」を選択したことは、ERA社にとって大きなショックであった。

ノース社は、来月(2000年5月)にカナダで開かれる取締役会で、ジャビルカ計画の
扱いを審議する。

ちなみに、ノース社の森林・ウッドチップ部門は、オーストラリアのタスマニア島で
破壊的な原生林伐採をおこない、その資源のほとんどを日本に輸出してきた。これも
また、環境保護団体やタスマニア・アボリジニー組織からの厳しい批判がかねてより
繰り返されてきたところである。
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