2000.11.27 ジャビルカ通信 第129号

2000.11.27 ジャビルカ通信 第129号

 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃ 世界遺産委員会ケアンズ会議、いよいよ開幕  ┃
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

 こんにちは、細川です。キンバリー地方(西オーストラリア州)での仕事をいったん中断、豪州大陸を一気に横切って、クインズランド州ケアンズに昨晩つきました。今朝から、いよいよユネスコ世界遺産会議(WHC)がケアンズで始まります。当地は、雨模様。気温32度です。(キンバリーはひどいときは40度をこえますが、乾燥しているので、木陰にいれば何とかしのげます。ケアンズは蒸し暑いのがこたえます。もっとも会議場 Cairns Convention Centre では「冷房病」になるかもしれませんが。)

 今回はオーストラリアが議長国です。ジャビルカ問題は、最大の案件のひとつ。ミラル・アボリジニーは強力なロビー団を送り込んできています(後述)。環境団体からは、オーストラリア自然保護基金(ACF)、地球の友(FOE)オーストラリア、北部準州環境センター(ECNT)、原生自然協会(TWS)の代表者が勢揃い。「ジャビルカ行動連絡会」(JAG)のブリズベン支部も、会議参加資格はもたないものの、支援に駆けつけてくれています。

 細川は、地球の友ジャパン(FOE-J)のご好意により、FOE-Jからの派遣ということでユネスコから公式オブザーバー資格を取得できました。オブザーバーには発言権がありませんが、(マスコミが傍聴できない部分もふくめて)会議への出席が許可され、各国政府代表と接触できます。また、会議資料を自由にもらえるので便利です。ただし、非公式の秘密会 (closed meeting) からは閉め出されます。(この点は、委員国以外の政府代表と「同等」ですが。)

 ジャビルカ問題が本会議にかかるのは、たぶん水曜日になると思われますが、それまで政府間の「非公式協議」(裏取り引き)がいろいろな形でおこなわれます。われわれNGOオブザーバーは、その間、ロビーイングとメディア対応に追われます。毎朝、NGO寄り合いをひらいて、情報交換しつつ、やっていきます。

 日本は、今回は、委員国ではありません。アジア地区からは(日本とならんでジャビルカ・ウランの輸入予定国である)韓国が委員国です。日本政府と韓国政府のあいだ(あるいは関西電力と韓国電力のあいだ)に、ジャビルカ鉱山問題をめぐっていかなる協議・検討がなされているかは、まったく不明ですが、なるべく探ってみます。

 ジャビルカ問題以外にも、いくつか重要な案件(グレートバリア・リーフの保全、オーストラリア熱帯雨林の開発問題、ブルーマウンテンの世界遺産登録、国立公園の管理運営へのアボリジニーの参加問題、文化遺産としての少数民族言語の保護の問題など)があり、これらの領域で活動している研究者やNGOと情報交換をします。ジャビルカとならんで、今回最大の懸案は、聖地エルサレム(文化遺産)の取り扱い。これは細川の「専門外」ですが、資料等は入手しておくようにします。世界遺産条約の運用規則の改訂(たぶん改悪)も審議される方向で、場合によっては、これがもっとも紛糾する議題となるかもしれません。

 委員会の本会議にさきだって、幹事国(ビューロー)会合が、すでに先週の木曜・金曜におこなわれました。細川は日程の調整がつかず、ビューロー会議には出られず。昨夜、ACFのデイブ・スウィーニー(映画『ジャビルカ』でおなじみのお兄さん)と会って、様子をききました。だいたいの状況は、以下の通りです。

(1)ジャビルカ鉱山計画の自然環境への影響評価については、国際自然保護連合(IUCN)と独立科学委員会(ISP)が報告書を提出、ビューロー会合で了承された。報告書の内容は本会議に審議される。IUCNは京都会議いらい、ジャビルカ鉱山がカカドゥ国立公園の環境保全とは両立しないという態度を一貫して維持しており、今回のレポートでも「危機遺産への指定」を勧告している。これに対して、ISP(京都会議で設立がきまった第三者評価組織)のレポートは、「十分な対策をとれば環境汚染を最小限にとどめた操業が可能」としているものの、必ずしも開発を推奨している訳ではなく、委員長(英国人の環境学者)は非常に慎重な立場(玉虫色にも見える)をとっています。オーストラリア政府は本会議でISP報告が
「安全宣言」と解釈されるような方向にもっていく作戦。アボリジニーおよび環境団体は、そのような曲解・恣意的解釈をしないよう、各国代表にはたらきかけます。

(2)文化・社会面での影響については、オーストラリア政府とアボリジニー組織(グンジェイッミ先住民族法人と北部土地評議会)のあいだの協議が暗礁にのりあげていること(文化保全計画の策定が大幅におくれていること)を、多くの国は批判的に受け止めているようです。オーストラリア政府は、この点を本会議でどのように説明するかが、審議の行方を左右するひとつの鍵となります。

(3)ERA社の経営権を握ったリオ・ティント社(通信127号参照)は、ERA社をフランス核燃料公社(コジェマ)に売却する方針をほぼ固め、コジェマとの交渉もかなり進んでいるという(信頼すべき筋からの)情報があります。フランス政府代表が、今回の会議でどのような発言をするか、おおいに注意が必要です。

(4)悪しき「松浦流」が定着してしまったと言うべきでしょうが、ビューローでは、NGOオブザーバー(つまり私どもですが)がマスコミに会議の内容を詳述することを「禁じる」という方針が確認された(トゥーリ委員長=モロッコ=の発言)そうです。オブザーバー資格は委員長によっていつでも剥奪される可能性がある(その旨、あらかじめ文書で通告を受けています)ので、難しいところですが、一方で記者さんたちは本会議を傍聴できないことにかなり腹をたてています —京都会議を取材された皆さんには、おなじみの状況 ^^); — ので、やはりマスコミへの情報提供はNGOとしての重要な、欠かせない役割です。この点は、ACFなどの仲間と緊密に連絡をとりつつ、対応していきます。

(5)総合的な見通しとして、本会議で「危機遺産指定」をめぐる投票がおこなわれる可能性は低いです。(昨年のパリ会議では投票がおこなわれ、否決された)。ただ、ハンガリー、フィンランドなど、一部の国があくまで「危機遺産指定」を求める態度をとっているようで、場合によっては動議が提出されて投票ということになるやもしれません。

(6)オーストラリア政府は、ともかくジャビルカを「国内問題」に引き戻そう(ユネスコが干渉する余地を最小限にとどめよう)とやっきになっています。ミラルおよびNGOは、開発計画をあくまで国際社会の監視下におくことを求める、という点をロビーイングの要点とする作戦です。これは、ジャビルカのみならず、世界遺産保全の枠組みそのものにかかわることなので、開発容認に近い立場をとる国々からも一定程度の賛同をとりつけることが可能で、本会議での議論の行方を大きく左右することも不可能ではありません。(この点は、ISPはオーストラリア政府とは反対の立場を明確にとっています。)
■ミラル・アボリジニーの代表は、ごぞんじ、イボンヌ・マルガルラさん。ネゴシエーターは、ジャッキー・カトナに加えて、トラッカー・ティルマウス氏(もと中央土地評議会事務局長)、ジャスティン・オブライエン氏(連邦議会の民主党アリスン上院議員のもと政策秘書)という強力な布陣。映画『ジャビルカ』でおなじみのクリスティーヌも駆けつけています。(トラッカーとジャスティンについては、「ノーニュークス・アジア・フォーラム」のニューズレター(10月号)に書きました。)

■一方、政府(開発推進)側も、オーストラリア連邦環境省のロジャー・ビール次官(ご存知、COP3京都の悪役)が、COP6(ハーグ会議)をぶちこわしたその足でケアンズに駆けつけてくるなど、あいかわらずジャビルカ開発にかける意気込みは尋常ならざるものがあります。
さてさて、お立ち会い。
★★★イボンヌさんたちへのメッセージがあれば、メールまたはファックスでどうぞ!
 メール→ itachimaru@nifty.ne.jp
 ファックス→ 0011-61-7-4031-1526 (Dr Hosokawa, Rm 210)
(日本語でも結構です。翻訳してわたします。でも、できるだけ簡潔にね。)

 

over
######################################
ジャビルカ基金 事務局
   <itachimaru@nifty.ne.jp>
  840-8502 佐賀大学 農学部3号館 細川研究室気付
  FAX  0952-28-8738 
(郵便振替)01700-1-19686「ジャビルカ基金」
######################################

ストップ・ジャビルカ・キャンペーン・ジャパン
  ホームページ: http://SaveKakadu.org

「ジャビルカ通信」バックナンバー閲覧: 
http://nnafj.kmis.co.jp/japanese/index.shtm#BULL
      (→「国外情報」をクリック)

######################################
ミラル氏族のホームページ: http://www.mirrar.net
オーストラリア自然保護基金: http://www.acfonline.org.au
######################################

広告