2000.12.03 ジャビルカ通信 第137号

(編集の都合により、137号を先にお送りします。)
(136号は追って配信いたします。)
 

2000.12.03 ジャビルカ通信 第137号
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 ┃ カカドゥ国立公園に関する世界遺産委員会ケアンズ決定 ┃
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 ┃ 議事録の文言をめぐって、最終日まで波乱       ┃
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本号では、世界遺産委員会の最終日(12月2日)に採択された議事録草稿 (rapport projet du Rapporteur) に収録されたカカドゥ国立公園に関する委員会決定の部分を翻訳して紹介します。原文はフランス語と英語です。

(例によって、フランス語のアクセント符号が文字化けするかもしれませんが、悪しからず。)

ここで紹介するテキストは会議で配付された草稿(ユネスコ公文書番号: WHC-2000/CONF.204/21)を本会議で審議した結果(後述のように最後までもめました)、部分的に修正されたテキストに基づいています。この修正稿は、まだ文書の形では配付されていませんが、細川とジャスティン(グンジェイッミ先住民族法人の書記長さん)がそれぞれ聞き取ったノートを照合して確認しました。

いずれユネスコのホームページに掲載される公式議事録は、この修正稿にもとづいてユネスコ世界遺産センター事務局(=世界遺産委員会の書記局をつとめる)が決定稿を作成します。執筆責任者は、今回から委員会書記に選ばれたドーソン・ムンジェリ氏(ジンバブエ国立博物館館長)ですが、細かい字句の修正や翻訳の調整には書記局の手が加わり、またケアンズ会議の議長をつとめたオーストラリアのピーター・キング氏(世界遺産委員長)の意向もかなり影響するものと思われます。

本号で、まず翻訳文を示し、次号(通信138号)で細川のコメントを追加します。翻訳文中「※※※」印をつけた箇所は、次号でのコメントにおいて重要な問題点を指摘することを示します。

ジャビルカ通信は、いつもは「転載自由」ですが、以下の翻訳の部分(=====で区切った部分)だけは、大急ぎでやっつけた仮訳であるということと、ユネスコとの著作権の関係もありますので、無断転載はしないでくださいね。転載・印刷配付などをご希望の方は、必ず、細川に御連絡ねがいます。ジャビルカ基金のほうでも近々(なるべく年内に)頒布版を作成する予定です。訳しあげねた部分は原文を付記しておきますので、より適切な訳語へのご教示、ぜひお願いします。(政府間協定文書ですので、形式ばった表現や迂回的な表現が多いことは仕方ありません。)

なお、修正前の草稿の電子テキスト(PDF、フランス語版と英語版、いずれも正文)は入手してありますので、ご希望の方は御連絡ください。
============【無断転載禁】===============

議事録参照番号 VIII.26
(フランス語版 pp.41-46, 英語版 pp.35-39)

カカドゥ国立公園(オーストラリア)

本委員会は、1999年7月の世界遺産委員会第3回特別会議(★細川註:ジャビルカ通信110号、112号、113号を参照)において、カカドゥ国立公園の保全状況を同公園内の飛び地(enclave) において開発中のジャビルカ鉱山借地との関係において検査したことを想起する。

本委員会は、本件複合遺産(文化遺産かつ自然遺産)の保全状況を、自然価値 (les valeurs naturelles/natural values) と文化価値 (les valeurs culturelles/cultural values) とに分けて順次検査した。
■自然価値

本委員会は、国際科学評議会 (以下ICSU) の選任した独立科学パネル(以下ISP)が IUCN(★細川註:国際自然保護連合)の代表者1名をともなって2000年7月にカカドゥ国立公園およびジャビルカ鉱区とレンジャー鉱区に調査に赴いたとの報告を受けた。

ICSU-ISP報告の結論についてのブライアン・ウィルキンスン教授の発表(文書番号WHC-2000/CONF.204/INF.20)(本議事録の付属文書9番)(★細川註:仏語草稿・英語草稿とも会議コードが「CONF.203」となっているが 204の間違いと思われる)、IUCNが本委員会に提出した声明書(同10番)、両者に対するオーストラリアの監督科学官の反論(同11番)、以上に本委員会はそれぞれ留意した。

世界遺産センター(★細川註:パリのユネスコ本部にある世界遺産条約の実務部局)所長は本委員会に対し、北部準州政府と連邦政府のあいだに北部準州における鉱山操業をさらに規制する措置についての正式な合意が2000年11月28日付けで成立した旨、締約国(★細川註:オーストラリア連邦政府のこと、以下同じ)から連絡があったことを報告した。

オーストラリア政府代表は、ICSU-ISPとIUCNが2000年7月の調査団に建設的な姿勢で参加したことに対し、両者に賛意を述べた。鉱山会社である (株) オーストラリア・エネルギー資源(以下ERA)の所有者の変更をめぐって生じている憂慮に関しては、環境・文化遺産大臣(★細川註:ロバート・ヒル環境相のこと)が2000年9月22日付けでERAあて送付した書簡において、1999年7月に世界遺産委員会に対してERAがおこなった約束を守るよう再確認した旨、オーストラリア政府代表から本委員会に報告があった。この大臣書簡の写しはERAの新しい親会社であるリオティント社にも送付された。ERAからは2000年10月31日付けで約束を遵守する旨、返信があった。

オーストラリア政府代表は、his full respect for ISPおよび 監督科学官の環境測定に関する忠告を全面的に尊重する旨を述べた。同代表はまた、ジャビルカにおける環境測定をすみやかに実施すべく通常の予算配分手続きの範囲内で (dans le cadre des proc仕ures normales d’ouverture de cr仕its budg師aires/as part of normal budgetary appropriation procedures) 予算措置にむけた努力をおこなう (allait rechercher des fonds/would seek resources)、と宣言した。

ジャビルカ鉱山・製錬所計画に関する独立科学諮問委員会 (un Comit consultatif scientifique ind姿endant/an Independent Science Advisory Committee) の設立をISPが勧告した点(★細川註:ジャビルカ通信134号のウィルキンスン博士の発言を参照)に関して、オーストラリア政府代表は、既存の法制度で定められた科学評価委員会(★細川註:鉱山省の監視委員会などだが、現行では連邦政府や北部準州政府が恣意的に選任してきたため中立性・独立性を欠いている)の委員長および正式委員の過半数の選出をオーストラリア国内の学術団体、たとえば豪州科学アカデミーや工学・技術分野でこれに匹敵するアカデミーなどに委ねる旨、本委員会に通知した。※※※
カカドゥ国立公園の自然価値の保全に関して、本委員会は次の通り決定した。

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世界遺産委員会第24回通常会議(★細川註:ケアンズ会議のこと)は:

1. ICSUは監督科学官 (SS) およびIUCNとの協力のもとにISPの作業を継続し、ISP第1報告(★細川註:京都会議1998での要請をうけてパリ会議1999に提出された評価報告、ジャビルカ鉱山の環境影響評価には科学的に不確定の部分が残るとした)に対する監督科学官の反論内容を審査すべし、との1999年7月の世界遺産委員会決定を想起しつつ

下記の点に留意する。

2. 政府が承認を与えたジャビルカ現地製錬方式 (solution propos仔 de broyage d’uranium   Jabiluka/Jabiluka Mill Alternative) に起因する可能性があると現在把握しうるカカドゥ世界遺産地区の自然価値への主だったリスクを監督科学官はすべて特定した、というのがISPの総括的な結論であること。これらのリスクが詳細に分析され、高度の科学的確かさをもって定量的に把握されたこと。その分析によって、リスクは非常に小さいか無視しうるほど小さいことが証明されたこと、そして、承認されたジャビルカ現地製錬方式にもとづく開発はカカドゥ国立公園の世界自然遺産としての価値を脅かすものではないと言える (ne devrait pas menacer/should not threaten) こと。

3. ISPの評価は、1999年4月に監督科学官 (SS) が世界遺産委員会に提出した報告(★細川註:京都会議での要請に応じてオーストラリア政府側が提出した環境影響評価報告)が記述したジャビルカ現地製錬方式だけを対象におこなわれたものであること。※※※

4. ジャビルカ計画のいかなる新しい側面 (tous les nouveaux aspects de la proposition de Jabiluka/all new aspects of the Jabiluka proposal) も監督科学官による正式な評価の対象となること(★細川註:計画を少しでも変更した場合は環境アセスメントをやりなおす、ということ)、そして、それによって生ずる重要な変更はすべて後述する科学評価委員会の委員長の審査を受けること、この2点をオーストラリア政府が保証したこと。

5. 操業計画の最終的な設計 (la conception finale du projet/the final design of the project) において従うべきとISPがみなす手順に関して、また、継続すべき規制と環境測定の手順に関して、ISPが数々の勧告をおこなったこと。※※※

6. オーストラリア政府がISPおよびIUCNの総ての勧告の意図するところを受容したこと。とりわけ、

(a) オーストラリア政府は、ISPが独立科学諮問委員会の設立を勧告するにあたって指摘した必要性に答えるべく、既存の法制度で定められた科学評価委員会の構成および役割を見直す決定をしたこと。すなわち、委員会の長と正式委員の過半数はオーストラリアの科学者・工学者を代表する最もしかるべき組織、おそらくは豪州科学アカデミーによる選出を経て任命されるようになること。この委員会は公開性をもち、独立の立場で、いかなる制約をも受けずに報告をおこないうること。

(b) 2000年11月7日付けで成立した連邦政府と北部準州政府のあいだの合意によって、監督科学官の監督役割が強化されたこと

7. ジャビルカの環境アセスメント作業を通じて鉱区および周辺地区の自然価値に関する総合的な調査分析と記載がおこなわれてきたことを踏まえ、オーストラリア政府がこの作業をISPとIUCNの勧告するやり方でさらに継続する意志を表明した (a entrepris d’師endre/has undertaken to extend) こと。

世界遺産委員会は:

8. ISPとIUCNの働き、および両者の勧告へのオーストラリア政府の対応について、満足の意を表明する (se d残lare satisfait/welcomes)。

9. オーストラリア政府に対し、ISPとIUCNの勧告する景観・生態系全般の分析と測定計画を実施すべく、かつ、監督科学局 (OSS) に水資源分析の専門家を配置すべく、できるだけ速やかに必要な予算人材措置をとる (affecte de ressources/allocate resources) ように要請する。

10. 以上をふまえ、ジャビルカにおける採掘および製錬について現在承認されている計画は、人々の健康あるいはカカドゥ国立公園の生物系・生態系を脅かすものではなく、これらに対する1998年の調査団(★細川註:京都会議前に現地査察したフランチオーニ調査団のこと)の推定した危険性 (avait estim市 menac市/believed to be at risk) は解消されたものと結論する。

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■文化価値

世界遺産センター所長は、第24回幹事国特別会合(★細川註:本委員会に先立ってケアンズで開かれたビューロー7ヶ国会議)で決まった本委員会への答申をまず紹介した。その後、所長はミラル土地権代表者であるイボンヌ・マルガルラから2000年11月28日付けの書簡を受け取ったことを明らかにした。同書簡(本議事録の付属文書12番)によれば、ミラルとオーストラリア政府とのあいだで行われていた文化遺産保全に関する新たな手順(すなわち幹事国会議の答申が描いた方向性である)をめぐる討議は決裂した。

ICOMOS(★細川註:「世界記念物遺跡評議会」、世界文化遺産の価値評価や保全策についてユネスコに助言する専門家の国際組織)の代表は、カカドゥの第1期と第2期(★細川註:カカドゥ国立公園は第1期~第3期の3地域にわけて段階的に公園指定がおこなわれ今日の公園範囲が確定した;ジャビルカ周辺は第1期指定区域)、が世界遺産登録候補として挙がった際、ICOMOSがおこなった評価作業を回顧し、当初はこの地域の文化価値はもっぱら考古学と岩壁画にもとづいて評価されたこと、そして第3期の追加登録の際になってようやく生きた文化遺産(★細川註:アボリジニーの独自文化の存続を意味する)という側面が評価されるようになったこと、を述べた。

ICOMOS
代表は、文化遺産への影響評価をおこなう上で文化地図作成が不可欠であることを強調し、ミラル伝統所有者たちとオーストラリア政府のあいだの交渉が暗礁に乗り上げていることを認めたうえで、ICSU-ISPが科学問題の評価をするにあたって採用したのと同じ手順をふむべきではないかと示唆した。すなわち、独立した国際グループを設置して、ミラルとオーストラリア政府の双方と協議し、問題打開の道をさぐる、という手順である。

タイ政府代表は、ジャビルカにおける文化問題を扱うのに独立した国際グループを設立することは内政干渉になるおそれがあると警告した。

ハンガリー政府代表は、カカドゥ国立公園の生きた文化遺産の際立った重要性に言及し、本委員会に報告された現状に対して憂慮を表明した。

オーストラリア政府代表は、ミラル伝統所有者とオーストラリア政府の対話が決裂したことに憂慮の念を表明したものの、これは対話過程の「終了」ではなく「中断」であるとの解釈を示した。環境・文化遺産大臣はいつでも交渉を再開する容易があると、オーストラリア代表は本委員会に通知した。対話が中断した原因を説明するにあたって、同国代表は、オーストラリア政府がミラルに対して金銭的条件(incitations financi俊es/financial incentives)を提示したとの情報が一部に流れていること (allegation) に対するミラル側の憂慮がイボンヌ・マルガルラからの書簡において述べられていることに言及した。その類いの申し出をオーストラリア政府側がおこなったことは一度たりと無い旨、同代表は強調した。※※※

オーストラリア政府代表は本委員会に対し、同国政府が 1999年7月の委員会で約束した諸事項のうち、唯一果たせていないのが文化遺産管理計画の策定と文化地図の作成である、との見解を示した。彼はまた、ジャビルカ鉱山が待機状態で、環境管理をおこなっている段階にあり、商業生産(★細川註:本格的なウラン採掘)はここ当分のあいだ始まらないだろう、という点を指摘した。鉱山会社には文化遺産管理計画を準備する法的義務があり、オーストラリア政府は国内交渉を通じてできるだけ早くこの計画を準備するための適切な交渉枠組を見い出すべく努力している (souhaitait/was concerned)、と同代表は述べた。※※※

南アフリカ政府代表は、ICOMOSが提案した独立評価の方式に賛意を表明し、交渉進行役(recours aux bons offices/facilitator)の採用を示唆した。彼女(★細川註:南ア代表は駐フランス大使のツツキレ・スクウェイヴァ女史)は、カカドゥはオーストラリアにとってだけでなくすべての人類にとって価値のある場所であることをふまえ、外国からの進行役をふくむ交渉方式に同意するよう、オーストラリア政府に求めた。

フィンランド政府代表は、カカドゥの科学的問題を扱ったのと同様の作業方式を文化遺産の問題を進展させる上でも用いるべきである、と示唆した。

カナダ政府代表は、カカドゥの生きた文化価値の重要性を認め、本委員会の目的はまさにその保全であると述べた。ミラルと締約国政府の合意が不可能であるならば、第三者による調停を考慮すべきである。

パプアニューギニア政府派遣のオブザーバー(★細川註:非委員国ということ)は生きた文化遺産価値を世界遺産の認定と保全の手順の最初から認識しておくことが重要であると強調した。 

ICCROM(★細川註:「文化遺産保存修復国際研究センター」、ICOMOSとならんでユネスコへの助言をおこなう公式諮問機関)は、第24回幹事国会議(★細川註:99年7月)で取りまとめられた答申に当時は賛成したが、今となっては伝統所有者との対話を含むような新しい手順がはたして確立できるのかどうか憂慮するに至っている、との考えを述べた。

ミラルの土地権代表者であるイボンヌ・マルガルラが本委員会での発言を許可された。彼女は自分のくに(すなわち伝統領土)とジャビルカの聖地・危険な (FFF/the sacred sites and dangerous sites) について話した。彼女は、自分のくにが危機にさらされているのは、聖地の存在について彼女たちが嘘をついているとオーストラリア政府が言っているからであるとして、世界遺産委員会の支援を要請した。オーストラリア政府代表は、環境・文化遺産大臣はミラルが不誠実な行動をとっていないと信じている (did not believe that the Mirrar were behaving dishonestly) ことを強調した、と述べた。※※※
カカドゥ国立公園の文化価値の保全について、本委員会は以下の決定を採択した。

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11. ジャビルカにおけるウラン採掘・製錬計画がカカドゥ国立公園の生きた文化価値におよぼす深刻な悪影響がまだ存在していると信じる伝統的所有者たち(★細川註:ミラル氏族のこと)の憂慮に、本委員会は留意する。

12. ジャビルカの文化地図の作成(★細川註:ジャビルカ鉱区におけるアボリジニーの聖地の所在の詳細な記録作成のこと)と文化遺産管理計画の策定を求めた本委員会の以前の決定(★細川註:京都会議1998での決定のこと)が現時点では実現できないこと、および総ての当事者の対等協力関係 (partenariat/partnership) にもとづく何らかの新しい方法 (une nouvelle approche/an approach) (★細川註:英語版には「新しい」がないが、これは仏語版のほうが正しいと思われる)が必要である、と本委員会は考える。

13. カカドゥ国立公園の管理運営における文化遺産問題の解決にむけての活動にICOMOSが参加の意向を第24回幹事国会議(パリ2000)において表明したことを、本委員会は想起する。※※※

14. 締約国には、文化価値に関するあらゆる未解決の問題 (les questions en suspens/any outstanding issues) に対処する (traiter/address) ための新しい方法を検討する (師udier/consider) 用意があるということに、本委員会は留意する。 締約国は、新しい如何なる手順 (processus/process) を調停する (aurait recours aux bons offices/would facilitate)(★細川註:ここのところの文言が会議ですごく揉めました/後述のコメント参照)に際しても、伝統的所有者およびその他の国内当事者(★細川註:鉱山会社や北部準州政府を示唆する)との協議をふまえるものとする。

15. 締約国とミラル伝統所有者のあいだの対話が中断したこと (l’interruption actuelle/the current interruption) に、本委員会は失望を表明する。

16. カカドゥ国立公園の生きた文化価値の重要性を、本委員会はあらためて確認する。

17. 締約国とミラル伝統所有者が、建設的対話を通じてカカドゥの文化遺産保全にむけた手順を協力して具体化するための (a fin de mettre au point/in order to develop) 努力を再開し継続するよう、本委員会は促す。

18. 対話の中断状態が続くようであれば、締約国とミラル土地所有者は、2001年の第25回委員会(★細川註:フィンランドで開催予定)までに手順についての合意を達成すべく、第三者の調停をうけいれること (avoir recours aux bons offices pour ce dialogue/a facilitated dialogue) を検討するように、本委員会は要請する。※※※
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============ ここまで【無断転載禁】===============

翻訳おわり

実はこの議事録の文言をめぐって、ケアンズ会議は最後の最後まで揉めました。議事録は、通例、書記(幹事国のうち1ヶ国がつとめる)と書記局(=世界遺産センターの実務スタッフ)が作成した草案を本会議の最後に採択されるのですが、修正はごく部分的な調整程度ですむのが普通です。ところが、土曜日の夕方4時から始まる予定だった議事録採択のセッションは、そもそも草案そのものの文言調整が難航し、始まったのは5時半頃でした。全部で100頁程度(付属文書は除く)の草稿のうち、ジャビルカ問題は実に4ページ半を占めています。登録済みの世界遺産の評価の議題は、ふつう、1件あたり長くても2~3段落、ほとんどは数行の記載ですむことを考えると、いかに複雑で難しい問題であるかが分かります。で、この草案の審議が始まると、またもや紛糾。オーストラリア政府が、書き直しや追加をかなり多く提案し、また他の国の代表からも字句の意味不明な点について、次々と意見が出され、書記のドーソンさんは「またまたカカドゥで時間がかかりますね!」と苦笑。カカドゥだけで20分もかかりました(草稿全体の審議は2時間弱)。

上記の議事録に対してのコメントは次号で述べたいと思います。いま、ふたことだけ述べてと、
1) 本会議での深刻な意見の対立にもかかわらず、また、オーストラリア政府が必ずしも専門家 (ISP, IUCN, ICOMOS, ICCROM) からの勧告事項に十分な対応を示していないにもかかわらず、また鉱山操業計画のなし崩し的な変更の可能性が高いにもかかわらず、生物系・生態系レベルでの悪影響は無いという結論に飛躍してしまっていること
2) すでに何度も政府とアボリジニーの交渉は暗礁に乗り上げているのに、まだ交渉を見守る(交渉の継続を強いる)という委員会の優柔不断さは、政府よりもアボリジニーにより大きな負担をかけること
などの理由で、たいへん不当で、分かりにくく不透明な決定であると細川は考えます。部分的には、重要な論点もあり、評価すべき面もありますが、それは次号にて。
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