2002.2.24 ジャビルカ通信 第142号
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┃ ビバリー・ウラン鉱山で漏洩事故 ┃
┃ ウラン汚染水、約70トン流出 ┃
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さてもさても、半年ぶりのジャビルカ通信です。何も動きが無かったわけではない
のですが、ながいこと発信できずにごめんなさい。
12月には、例によってユネスコ世界遺産委員会がヘルシンキでひらかれましたが、
ジャビルカ計画での大きな進展はありませんでした。一方、98年の京都会議のとき
にジャビルカと同時に議論されていたバイカル湖については「危機遺産」に認定する
方向で議論が決着したようです。
年があけてから、ジャビルカとは別の話ですが、核開発をめぐってオーストラリアで
いくつか注目すべき出来事が立て続けにおきました。それらについて、順次、配信し
ていきます。
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まず、1月11日、南オーストラリアのビバリー・ウラン鉱山で、漏洩事故がありま
した。
(ビバリー鉱山をめぐるこれまでの状況については、『ジャビルカ通信』84号、『原
子力資料情報室通信』288号、『ノーニュークス・アジア・ フォーラム2000報告集』
p.27をごらんください。地元の先住民族、アズニャマタナの人々は、一貫してウラン
開発に反対し続けています。)
この鉱山は、ISL方式(in-situ leaching)という、著しく地下水を汚染する操業
方式をとっているのですが、そのISLの主配管が破裂し、推定でウラン13キログラ
ムをふくむ希硫酸溶液6万2千リットルが流出し、一部は鉱山の敷地外に漏れまし
た。
ビバリー鉱山を操業するヒースゲイト社(米国資本)は「すぐに州政府に通報した」
と言いますが、州政府が事故を公表したのは24時間以上たってからでした。
配管の破裂は、コンピュータ・プログラムの欠陥が原因。ウラン精製設備内での点検
整備のため、パイプを止栓したのに、採掘地点(地下水ごとウランをくみあげるボー
リング地点)からの流入を止めるようになっていなかった。そのため、配管内の水圧
がどんどん高まり、L字接合部(浜岡事故でおなじみ…)が耐えきれず、ぶしゅ
=!
なんとお粗末な、と思われるでしょうが、これまで核施設での多くの深刻な事故は、
実に「お粗末な」経緯でおきているのです。今回の漏洩事故は、さいわい、「深刻
な」汚染事故ではありませんが、ISL方式の鉱山でお粗末なことをすれば、もっと
深刻で広範囲の汚染につながる事故がかんたんに起こりうるということを、はっきり
と示しています。
誰だい、ISLはもっとも安全性の高いウラン採掘方式だ、とのたもうたのは? 正
常時に労働者被曝が少なくてすむというのは、たしかにそうかもしれないが、今度の
事故で、漏洩した溶液の施設外流出をふせぐためにセッセとスコップで溝掘りをさせ
られた現場の人たち、ウラン溶液がしみこんだ土塵をかなり吸引してしまったんじゃ
ないかしら。
★ちなみにヒースゲイト社とは住友商事が精製ウランの買い付け契約をしているとき
いていますが、どなたか詳しいこと御存知ないでしょうか?
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