2001.4.13 ジャビルカ通信 第140号

2001.4.13 ジャビルカ通信 第140号
 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃ リオ社、ジャビルカ開発の10年間凍結を表明  ┃
 ┃ アボリジニーは開発計画の完全廃棄を要求    ┃
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
 ジャビルカのウラン鉱山の採掘準備をすすめてきたERA社の親会社である多国籍
企業リオ・ティント社(本社ロンドン)のウィルスン会長(Sir Robert Wilson)
は、4月12日、ロンドンでの同社の株主総会において、同社が当面のあいだジャビル
カ鉱山での採掘をはじめる予定はなく、ジャビルカ開発をむこう10年間凍結すると
述べた。

 リオ社は年明け以来、ジャビルカ鉱山の権益を売却してウラン開発部門から撤退す
る意向を示してきたが、もっとも有力な買い手とみられてきたフランス核燃料公社
(コジェマ)との交渉が不調に終わったため、ジャビルカ開発を断念するか、あるい
は自ら開発を続けるかの選択を迫られていた。

 世界遺産カカドゥ国立公園地域に位置するジャビルカ鉱山(およびすでに操業中の
隣接するレンジャー鉱山)の操業に強く反対する地元アボリジニー(ミラル)および
環境保護諸団体は、ウラン鉱山予定地(およびここ数年のうちに操業を終えるレンジ
ャー鉱山の跡地)をカカドゥ公園に統合することを求めている。その可能性について
は、リオ社は慎重に明言を避けており、今回のモラトリアム宣言にも不透明さが残
る。

 ロンドンでの株主総会に出席して、ジャビルカ計画に対する詳細な批判的見解を株
主たちの前で述べる機会を得たミラル・アボリジニーの代弁者 (spokesperson) ジャ
ッキー・カトナ女史 (Jacqui Katona) は、総会後の記者会見において、土地所有者
であるミラルは鉱山計画の完全廃棄を求め続けることを強調した。「これまでも鉱山
会社は曖昧なことを言っては、アボリジニーを騙してきた。10年間凍結という今回
の表明も、アボリジニーが本当に求めるところからはほど遠い。」

リオ・ティント社オーストラリア法人の株主総会が4月27日にシドニーで開催され
る予定であり、そこで再びジャビルカ問題をめぐる議論がたたかわされることは必至
である。

リオ社がジャビルカの権益を他者に売却する可能性は依然として残っており、持ち主
が変われば、モラトリアム(凍結)が解除されることもあり得る。しかし、3月時点
で得られた情報によれば、コジェマ(フランス核燃料公社)はジャビルカ鉱山の買い
取りを断った模様である。いわば、誰もひいてくれないジョーカーを抱えて、リオ社
は狸寝入りするほか無い、といった状況だ。
———-

前号で「次号でお伝えするが」などと書いたきり、3月は引っ越し(研究室の移転、
すなわち400個以上の荷物の佐賀から京都への移動!)に追われて、まったく続報
を書くことができなかった「日本はオーストラリアと新しいウラン輸入契約を結ぼう
としている」という件ですが、実は南オーストラリア州のビバリー鉱山(ヒースゲイ
ト社が地元アボリジニーの反対を押し切って開発中)の精製ウランを住友商事が輸入
する契約を結んだらしいのです。この件、続報。
 
over
連絡先が下記の通り、変わりました。
ひきつづいての御支援をお願いいたします。

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ジャビルカ基金 事務局
   <itachimaru@nifty.ne.jp>
  606-8588 京都精華大学 流渓館213 細川研究室気付
  tel. 075-702-5213(faxは4月末にならないと設置されません!) 
(郵便振替)01700-1-19686「ジャビルカ基金」
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ストップ・ジャビルカ・キャンペーン・ジャパン
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「ジャビルカ通信」バックナンバー閲覧: 
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オーストラリア自然保護基金: http://www.acfonline.org.au
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2001.2.11 ジャビルカ通信 第139号

2001.2.11 ジャビルカ通信 第139号
 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃ リオ社、カカドゥのウラン事業から撤退  ┃
 ┃ レンジャー鉱山の純益は10億円たらず  ┃
 ┃ 豪州ウランの日本への輸出は増大傾向   ┃
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
 2月5日に入手した情報によれば、リオティント社はERA社の権益を売却してウ
ラニウム鉱業から撤退する方針を固めた模様(通信127号参照)。売却交渉相手は、
本命コジェマ社(フランス核燃料公社)、対抗キャメコ社(カナダ政府出資のウラン
開発事業団)の2社にほぼ絞られた。しかし、いずれの社がERA社を買い取るとし
ても、ジャビルカ開発が予定通りに強行される可能性は小さくなった。

2月7日のABC放送の定時ニュースにおいて、北部準州環境センター(ECNT)のマ
ーク・ウェイカム事務局長は、「リオティント社がカカドゥ国立公園でのウラン採掘
という悪評高い事業から撤退する決断をしたことを歓迎する」とのコメントを述べ
た。

ERA社の過去半年(2000年下半期)の収益(つまり、レンジャー鉱山のウラン採掘
・製錬・輸出による儲け)は、わずかに4億円少々であった。(これとは別に、ほぼ
同額が税金としてオーストラリア政府の収入となっている。) 上半期とあわせても
10億円にも及ばない。たかだかこれだけの利益のために、カカドゥ公園の湿地生態系
を汚染する危険をおかし、アボリジニーを抑圧し、鉱夫を被曝させたうえ、「世界遺
産を破壊する企業」としての悪名をかぶるのであるから、リオ社でなくとも、「まっ
たく合わない話だ」と判断せざるをえないだろう。
一方、オーストラリア全体としてみたウラン生産/輸出は、重量としては史上最高を
記録している(生産量でみると99年比27%増)。これは南オーストラリア州の鉱山の
操業規模拡張による増加である。(金額としては、豪ドルの不振により、実質的に減
少)
2000年1月~12月の生産量は、ウラン情報センター(UIC、推進派のシンクタンク)
の1月末の発表によると、8,937トン(イエローケーキ換算【註】)であった。この
うち8,757トンが輸出され、およそ4億2600万豪ドル(約270億円)の貿易収入をもた
らした。(しかし、経費と税をさしひいた鉱山会社の純益は、20億円足らずであろ
う。)

輸出相手は、約3分の1が日本、おなじく約3分の1が米国(ただし、そのうち一部
は濃縮後、日本むけに販売される)、残り3分の1をカナダ、ベルギー、フランス、
イギリス、韓国、スウェーデンが購入している。ドイツは、すでにオーストラリアと
の契約を終了し、更新の予定はない。

次号でお伝えするが、このような状況のなか、日本はオーストラリアと新しいウラン
輸入契約を結ぼうとしている。
【註】 1ウラン・トン (tU) を1.18イエローケーキ・トン (tU308) に換算。

 
over

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2000.12.28 ジャビルカ通信 第138号

(136号/ケアンズ会議続報/は事情により未配信です。近日中に発信いたします
ので、しばらくお待ちください。)
 

2000.12.28 ジャビルカ通信 第138号

 ストップ・ジャビルカ・キャンペーン(=ジャビルカ葉書キャンペーン=Stop
Jabiluka Campaign Japan)の第3回会計報告です。ご支援くださった方々に、あら
ためて篤く御礼もうしあげます。
          今期分      累計分
 —————————————    
  収入合計  178,040    1,225,725
  支出合計  155,895    1,245,342
   収支     22,145      △19,617
 —————————————    
         (黒字)     (赤字)

京都会議(1998年12月)の時点で生じた約20万円の赤字を、おかげさまで10分の1近
くにまで縮小させることができました。あと、在庫のビデオ・絵葉書などを完売すれ
ば(!!!)、めでたくトントン(希望的観測)。

2001年以降もキャンペーンは継続しますが、ケアンズ会議後の状況(および核燃料サ
イクルをめぐる世界の状況の変化)をふまえ、日本で具体的にできることを見直し、
焦点をしぼった活動をあらためて提起したいと考えています。この点については、い
まオーストラリア側の運動体(アボリジニーおよび環境団体)と意見交換をしている
ところですが、なるべく1月中に提案をまとめたいと思います。その節は、また皆さ
んからのご意見・ご提案・ご支援を仰ぎたいと存じますので、どうかよろしくお願い
いたします。
【今期分の収支明細】 期間:2000年1月~12月

収入  カンパ寄付      63,500
    ビデオ売り上げ    14,400 *註1
    ブックレット売り上げ 37,340
    絵葉書売り上げ    10,800
    その他資料売り上げ    2,000
    講演料・原稿料    50,000
支出  ブックレット仕入れ  33,600
    絵葉書仕入れ     10,500
    郵送費          8,500
    交通・宿泊費     23,971 *註2
    通信費        31,720 *註3
    文具           2,604
    印刷費・紙代     45,000

*註1:未収金3,200をふくむ。    
*註2:オーストラリアから来日したブルース・トムスンさん(地球の友オーストラ
リアのアデレード支部専従、ジャビルカ反対運動連絡会 Jabiluka Action Group の
中心メンバーのひとり)を祝島(上関原発現地)に案内した際(7月20日~21日)の
旅費の一部をジャビルカ・キャンペーンの会計から支出しました。
*註3:ホームページ維持費(プロバイダーへの更新料)をふくむ。

============================================

【キャンペーン開始時点からの累計】 

   期間:1997年11月~2000年12月
   
   総収入 1,225,725
   総支出 1,245,342

   収支(赤字)△19,617

収入累計内訳
  カンパ    682,489
  講演料・稿料 292,000 
  各種売り上げ 247,436 *註4

支出累計内訳
  印刷費    144,195
  通信費    151,297 *註5
  交通・宿泊費 224,566
  人件費      6,121
  現地支援   386,579(ブロッケード会計へ)
  資料仕入れ  325,876
  その他      5,604

*註4:ビデオ、脚本、ブックレット、絵葉書、ステッカー、その他資料の売り上
げ。未収金3,200(ビデオ代金)をふくむ。
*註5:ホームページ開設費用および維持費(サーバー使用更新料)は「通信費」に
ふくめました。(前回の会計報告では「その他」に分類していたのを改めました。)
============================================
★★★前回の会計報告(通信115号、99.12.29)以降、2000年12月24日までに、下記
の方々から、合計116,340円のご支援をいただきました(資料購入・カンパ・講演料
など、順不同)

長井 聖治さま(境市)、吉川 仁さま(犬山市)、星川淳・星川加代子さま(屋久町
)、大澤 晶子さま(川崎市)、野村 民夫さま(東京都)、兼崎 暉さま(北九州市)、
反原発出前のお店・佐賀店さま(佐賀市)、鎌田 真弓さま(日進市)、吉岡 正壽さま
(幸手市)、先住民族の10年市民連絡会さま(川崎市)、原子力資料情報室さま(東京
都)、海野道郎さま(仙台市)、嘉田由紀子さま(大津市)、ウィンドファームさま
(福岡県水巻町)、毎日新聞東京社会部さま(東京都)、藤村美穂さま(佐賀市)、加
藤めぐみ様(所沢市)、地球の友オーストラリアさま(ブリズベン市)、アレック・マ
ーさま(キャンベラ市)、匿名希望さま2名

今回報告分のキャンペーン会計に繰り入れさせて頂きました。たいへん助かりまし
た。有難うございます。
============================================
★★絵葉書セット、ビデオなど、在庫があります。まだの方はぜひお求めください。
みなさま、どうか良い新年をおむかえください。

For a nuclear-free future!
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2000.12.03 ジャビルカ通信 第137号

(編集の都合により、137号を先にお送りします。)
(136号は追って配信いたします。)
 

2000.12.03 ジャビルカ通信 第137号
 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃ カカドゥ国立公園に関する世界遺産委員会ケアンズ決定 ┃
 ┃                           ┃
 ┃ 議事録の文言をめぐって、最終日まで波乱       ┃
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
本号では、世界遺産委員会の最終日(12月2日)に採択された議事録草稿 (rapport projet du Rapporteur) に収録されたカカドゥ国立公園に関する委員会決定の部分を翻訳して紹介します。原文はフランス語と英語です。

(例によって、フランス語のアクセント符号が文字化けするかもしれませんが、悪しからず。)

ここで紹介するテキストは会議で配付された草稿(ユネスコ公文書番号: WHC-2000/CONF.204/21)を本会議で審議した結果(後述のように最後までもめました)、部分的に修正されたテキストに基づいています。この修正稿は、まだ文書の形では配付されていませんが、細川とジャスティン(グンジェイッミ先住民族法人の書記長さん)がそれぞれ聞き取ったノートを照合して確認しました。

いずれユネスコのホームページに掲載される公式議事録は、この修正稿にもとづいてユネスコ世界遺産センター事務局(=世界遺産委員会の書記局をつとめる)が決定稿を作成します。執筆責任者は、今回から委員会書記に選ばれたドーソン・ムンジェリ氏(ジンバブエ国立博物館館長)ですが、細かい字句の修正や翻訳の調整には書記局の手が加わり、またケアンズ会議の議長をつとめたオーストラリアのピーター・キング氏(世界遺産委員長)の意向もかなり影響するものと思われます。

本号で、まず翻訳文を示し、次号(通信138号)で細川のコメントを追加します。翻訳文中「※※※」印をつけた箇所は、次号でのコメントにおいて重要な問題点を指摘することを示します。

ジャビルカ通信は、いつもは「転載自由」ですが、以下の翻訳の部分(=====で区切った部分)だけは、大急ぎでやっつけた仮訳であるということと、ユネスコとの著作権の関係もありますので、無断転載はしないでくださいね。転載・印刷配付などをご希望の方は、必ず、細川に御連絡ねがいます。ジャビルカ基金のほうでも近々(なるべく年内に)頒布版を作成する予定です。訳しあげねた部分は原文を付記しておきますので、より適切な訳語へのご教示、ぜひお願いします。(政府間協定文書ですので、形式ばった表現や迂回的な表現が多いことは仕方ありません。)

なお、修正前の草稿の電子テキスト(PDF、フランス語版と英語版、いずれも正文)は入手してありますので、ご希望の方は御連絡ください。
============【無断転載禁】===============

議事録参照番号 VIII.26
(フランス語版 pp.41-46, 英語版 pp.35-39)

カカドゥ国立公園(オーストラリア)

本委員会は、1999年7月の世界遺産委員会第3回特別会議(★細川註:ジャビルカ通信110号、112号、113号を参照)において、カカドゥ国立公園の保全状況を同公園内の飛び地(enclave) において開発中のジャビルカ鉱山借地との関係において検査したことを想起する。

本委員会は、本件複合遺産(文化遺産かつ自然遺産)の保全状況を、自然価値 (les valeurs naturelles/natural values) と文化価値 (les valeurs culturelles/cultural values) とに分けて順次検査した。
■自然価値

本委員会は、国際科学評議会 (以下ICSU) の選任した独立科学パネル(以下ISP)が IUCN(★細川註:国際自然保護連合)の代表者1名をともなって2000年7月にカカドゥ国立公園およびジャビルカ鉱区とレンジャー鉱区に調査に赴いたとの報告を受けた。

ICSU-ISP報告の結論についてのブライアン・ウィルキンスン教授の発表(文書番号WHC-2000/CONF.204/INF.20)(本議事録の付属文書9番)(★細川註:仏語草稿・英語草稿とも会議コードが「CONF.203」となっているが 204の間違いと思われる)、IUCNが本委員会に提出した声明書(同10番)、両者に対するオーストラリアの監督科学官の反論(同11番)、以上に本委員会はそれぞれ留意した。

世界遺産センター(★細川註:パリのユネスコ本部にある世界遺産条約の実務部局)所長は本委員会に対し、北部準州政府と連邦政府のあいだに北部準州における鉱山操業をさらに規制する措置についての正式な合意が2000年11月28日付けで成立した旨、締約国(★細川註:オーストラリア連邦政府のこと、以下同じ)から連絡があったことを報告した。

オーストラリア政府代表は、ICSU-ISPとIUCNが2000年7月の調査団に建設的な姿勢で参加したことに対し、両者に賛意を述べた。鉱山会社である (株) オーストラリア・エネルギー資源(以下ERA)の所有者の変更をめぐって生じている憂慮に関しては、環境・文化遺産大臣(★細川註:ロバート・ヒル環境相のこと)が2000年9月22日付けでERAあて送付した書簡において、1999年7月に世界遺産委員会に対してERAがおこなった約束を守るよう再確認した旨、オーストラリア政府代表から本委員会に報告があった。この大臣書簡の写しはERAの新しい親会社であるリオティント社にも送付された。ERAからは2000年10月31日付けで約束を遵守する旨、返信があった。

オーストラリア政府代表は、his full respect for ISPおよび 監督科学官の環境測定に関する忠告を全面的に尊重する旨を述べた。同代表はまた、ジャビルカにおける環境測定をすみやかに実施すべく通常の予算配分手続きの範囲内で (dans le cadre des proc仕ures normales d’ouverture de cr仕its budg師aires/as part of normal budgetary appropriation procedures) 予算措置にむけた努力をおこなう (allait rechercher des fonds/would seek resources)、と宣言した。

ジャビルカ鉱山・製錬所計画に関する独立科学諮問委員会 (un Comit consultatif scientifique ind姿endant/an Independent Science Advisory Committee) の設立をISPが勧告した点(★細川註:ジャビルカ通信134号のウィルキンスン博士の発言を参照)に関して、オーストラリア政府代表は、既存の法制度で定められた科学評価委員会(★細川註:鉱山省の監視委員会などだが、現行では連邦政府や北部準州政府が恣意的に選任してきたため中立性・独立性を欠いている)の委員長および正式委員の過半数の選出をオーストラリア国内の学術団体、たとえば豪州科学アカデミーや工学・技術分野でこれに匹敵するアカデミーなどに委ねる旨、本委員会に通知した。※※※
カカドゥ国立公園の自然価値の保全に関して、本委員会は次の通り決定した。

————————————————————————–
世界遺産委員会第24回通常会議(★細川註:ケアンズ会議のこと)は:

1. ICSUは監督科学官 (SS) およびIUCNとの協力のもとにISPの作業を継続し、ISP第1報告(★細川註:京都会議1998での要請をうけてパリ会議1999に提出された評価報告、ジャビルカ鉱山の環境影響評価には科学的に不確定の部分が残るとした)に対する監督科学官の反論内容を審査すべし、との1999年7月の世界遺産委員会決定を想起しつつ

下記の点に留意する。

2. 政府が承認を与えたジャビルカ現地製錬方式 (solution propos仔 de broyage d’uranium   Jabiluka/Jabiluka Mill Alternative) に起因する可能性があると現在把握しうるカカドゥ世界遺産地区の自然価値への主だったリスクを監督科学官はすべて特定した、というのがISPの総括的な結論であること。これらのリスクが詳細に分析され、高度の科学的確かさをもって定量的に把握されたこと。その分析によって、リスクは非常に小さいか無視しうるほど小さいことが証明されたこと、そして、承認されたジャビルカ現地製錬方式にもとづく開発はカカドゥ国立公園の世界自然遺産としての価値を脅かすものではないと言える (ne devrait pas menacer/should not threaten) こと。

3. ISPの評価は、1999年4月に監督科学官 (SS) が世界遺産委員会に提出した報告(★細川註:京都会議での要請に応じてオーストラリア政府側が提出した環境影響評価報告)が記述したジャビルカ現地製錬方式だけを対象におこなわれたものであること。※※※

4. ジャビルカ計画のいかなる新しい側面 (tous les nouveaux aspects de la proposition de Jabiluka/all new aspects of the Jabiluka proposal) も監督科学官による正式な評価の対象となること(★細川註:計画を少しでも変更した場合は環境アセスメントをやりなおす、ということ)、そして、それによって生ずる重要な変更はすべて後述する科学評価委員会の委員長の審査を受けること、この2点をオーストラリア政府が保証したこと。

5. 操業計画の最終的な設計 (la conception finale du projet/the final design of the project) において従うべきとISPがみなす手順に関して、また、継続すべき規制と環境測定の手順に関して、ISPが数々の勧告をおこなったこと。※※※

6. オーストラリア政府がISPおよびIUCNの総ての勧告の意図するところを受容したこと。とりわけ、

(a) オーストラリア政府は、ISPが独立科学諮問委員会の設立を勧告するにあたって指摘した必要性に答えるべく、既存の法制度で定められた科学評価委員会の構成および役割を見直す決定をしたこと。すなわち、委員会の長と正式委員の過半数はオーストラリアの科学者・工学者を代表する最もしかるべき組織、おそらくは豪州科学アカデミーによる選出を経て任命されるようになること。この委員会は公開性をもち、独立の立場で、いかなる制約をも受けずに報告をおこないうること。

(b) 2000年11月7日付けで成立した連邦政府と北部準州政府のあいだの合意によって、監督科学官の監督役割が強化されたこと

7. ジャビルカの環境アセスメント作業を通じて鉱区および周辺地区の自然価値に関する総合的な調査分析と記載がおこなわれてきたことを踏まえ、オーストラリア政府がこの作業をISPとIUCNの勧告するやり方でさらに継続する意志を表明した (a entrepris d’師endre/has undertaken to extend) こと。

世界遺産委員会は:

8. ISPとIUCNの働き、および両者の勧告へのオーストラリア政府の対応について、満足の意を表明する (se d残lare satisfait/welcomes)。

9. オーストラリア政府に対し、ISPとIUCNの勧告する景観・生態系全般の分析と測定計画を実施すべく、かつ、監督科学局 (OSS) に水資源分析の専門家を配置すべく、できるだけ速やかに必要な予算人材措置をとる (affecte de ressources/allocate resources) ように要請する。

10. 以上をふまえ、ジャビルカにおける採掘および製錬について現在承認されている計画は、人々の健康あるいはカカドゥ国立公園の生物系・生態系を脅かすものではなく、これらに対する1998年の調査団(★細川註:京都会議前に現地査察したフランチオーニ調査団のこと)の推定した危険性 (avait estim市 menac市/believed to be at risk) は解消されたものと結論する。

————————————————————————–

■文化価値

世界遺産センター所長は、第24回幹事国特別会合(★細川註:本委員会に先立ってケアンズで開かれたビューロー7ヶ国会議)で決まった本委員会への答申をまず紹介した。その後、所長はミラル土地権代表者であるイボンヌ・マルガルラから2000年11月28日付けの書簡を受け取ったことを明らかにした。同書簡(本議事録の付属文書12番)によれば、ミラルとオーストラリア政府とのあいだで行われていた文化遺産保全に関する新たな手順(すなわち幹事国会議の答申が描いた方向性である)をめぐる討議は決裂した。

ICOMOS(★細川註:「世界記念物遺跡評議会」、世界文化遺産の価値評価や保全策についてユネスコに助言する専門家の国際組織)の代表は、カカドゥの第1期と第2期(★細川註:カカドゥ国立公園は第1期~第3期の3地域にわけて段階的に公園指定がおこなわれ今日の公園範囲が確定した;ジャビルカ周辺は第1期指定区域)、が世界遺産登録候補として挙がった際、ICOMOSがおこなった評価作業を回顧し、当初はこの地域の文化価値はもっぱら考古学と岩壁画にもとづいて評価されたこと、そして第3期の追加登録の際になってようやく生きた文化遺産(★細川註:アボリジニーの独自文化の存続を意味する)という側面が評価されるようになったこと、を述べた。

ICOMOS
代表は、文化遺産への影響評価をおこなう上で文化地図作成が不可欠であることを強調し、ミラル伝統所有者たちとオーストラリア政府のあいだの交渉が暗礁に乗り上げていることを認めたうえで、ICSU-ISPが科学問題の評価をするにあたって採用したのと同じ手順をふむべきではないかと示唆した。すなわち、独立した国際グループを設置して、ミラルとオーストラリア政府の双方と協議し、問題打開の道をさぐる、という手順である。

タイ政府代表は、ジャビルカにおける文化問題を扱うのに独立した国際グループを設立することは内政干渉になるおそれがあると警告した。

ハンガリー政府代表は、カカドゥ国立公園の生きた文化遺産の際立った重要性に言及し、本委員会に報告された現状に対して憂慮を表明した。

オーストラリア政府代表は、ミラル伝統所有者とオーストラリア政府の対話が決裂したことに憂慮の念を表明したものの、これは対話過程の「終了」ではなく「中断」であるとの解釈を示した。環境・文化遺産大臣はいつでも交渉を再開する容易があると、オーストラリア代表は本委員会に通知した。対話が中断した原因を説明するにあたって、同国代表は、オーストラリア政府がミラルに対して金銭的条件(incitations financi俊es/financial incentives)を提示したとの情報が一部に流れていること (allegation) に対するミラル側の憂慮がイボンヌ・マルガルラからの書簡において述べられていることに言及した。その類いの申し出をオーストラリア政府側がおこなったことは一度たりと無い旨、同代表は強調した。※※※

オーストラリア政府代表は本委員会に対し、同国政府が 1999年7月の委員会で約束した諸事項のうち、唯一果たせていないのが文化遺産管理計画の策定と文化地図の作成である、との見解を示した。彼はまた、ジャビルカ鉱山が待機状態で、環境管理をおこなっている段階にあり、商業生産(★細川註:本格的なウラン採掘)はここ当分のあいだ始まらないだろう、という点を指摘した。鉱山会社には文化遺産管理計画を準備する法的義務があり、オーストラリア政府は国内交渉を通じてできるだけ早くこの計画を準備するための適切な交渉枠組を見い出すべく努力している (souhaitait/was concerned)、と同代表は述べた。※※※

南アフリカ政府代表は、ICOMOSが提案した独立評価の方式に賛意を表明し、交渉進行役(recours aux bons offices/facilitator)の採用を示唆した。彼女(★細川註:南ア代表は駐フランス大使のツツキレ・スクウェイヴァ女史)は、カカドゥはオーストラリアにとってだけでなくすべての人類にとって価値のある場所であることをふまえ、外国からの進行役をふくむ交渉方式に同意するよう、オーストラリア政府に求めた。

フィンランド政府代表は、カカドゥの科学的問題を扱ったのと同様の作業方式を文化遺産の問題を進展させる上でも用いるべきである、と示唆した。

カナダ政府代表は、カカドゥの生きた文化価値の重要性を認め、本委員会の目的はまさにその保全であると述べた。ミラルと締約国政府の合意が不可能であるならば、第三者による調停を考慮すべきである。

パプアニューギニア政府派遣のオブザーバー(★細川註:非委員国ということ)は生きた文化遺産価値を世界遺産の認定と保全の手順の最初から認識しておくことが重要であると強調した。 

ICCROM(★細川註:「文化遺産保存修復国際研究センター」、ICOMOSとならんでユネスコへの助言をおこなう公式諮問機関)は、第24回幹事国会議(★細川註:99年7月)で取りまとめられた答申に当時は賛成したが、今となっては伝統所有者との対話を含むような新しい手順がはたして確立できるのかどうか憂慮するに至っている、との考えを述べた。

ミラルの土地権代表者であるイボンヌ・マルガルラが本委員会での発言を許可された。彼女は自分のくに(すなわち伝統領土)とジャビルカの聖地・危険な (FFF/the sacred sites and dangerous sites) について話した。彼女は、自分のくにが危機にさらされているのは、聖地の存在について彼女たちが嘘をついているとオーストラリア政府が言っているからであるとして、世界遺産委員会の支援を要請した。オーストラリア政府代表は、環境・文化遺産大臣はミラルが不誠実な行動をとっていないと信じている (did not believe that the Mirrar were behaving dishonestly) ことを強調した、と述べた。※※※
カカドゥ国立公園の文化価値の保全について、本委員会は以下の決定を採択した。

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11. ジャビルカにおけるウラン採掘・製錬計画がカカドゥ国立公園の生きた文化価値におよぼす深刻な悪影響がまだ存在していると信じる伝統的所有者たち(★細川註:ミラル氏族のこと)の憂慮に、本委員会は留意する。

12. ジャビルカの文化地図の作成(★細川註:ジャビルカ鉱区におけるアボリジニーの聖地の所在の詳細な記録作成のこと)と文化遺産管理計画の策定を求めた本委員会の以前の決定(★細川註:京都会議1998での決定のこと)が現時点では実現できないこと、および総ての当事者の対等協力関係 (partenariat/partnership) にもとづく何らかの新しい方法 (une nouvelle approche/an approach) (★細川註:英語版には「新しい」がないが、これは仏語版のほうが正しいと思われる)が必要である、と本委員会は考える。

13. カカドゥ国立公園の管理運営における文化遺産問題の解決にむけての活動にICOMOSが参加の意向を第24回幹事国会議(パリ2000)において表明したことを、本委員会は想起する。※※※

14. 締約国には、文化価値に関するあらゆる未解決の問題 (les questions en suspens/any outstanding issues) に対処する (traiter/address) ための新しい方法を検討する (師udier/consider) 用意があるということに、本委員会は留意する。 締約国は、新しい如何なる手順 (processus/process) を調停する (aurait recours aux bons offices/would facilitate)(★細川註:ここのところの文言が会議ですごく揉めました/後述のコメント参照)に際しても、伝統的所有者およびその他の国内当事者(★細川註:鉱山会社や北部準州政府を示唆する)との協議をふまえるものとする。

15. 締約国とミラル伝統所有者のあいだの対話が中断したこと (l’interruption actuelle/the current interruption) に、本委員会は失望を表明する。

16. カカドゥ国立公園の生きた文化価値の重要性を、本委員会はあらためて確認する。

17. 締約国とミラル伝統所有者が、建設的対話を通じてカカドゥの文化遺産保全にむけた手順を協力して具体化するための (a fin de mettre au point/in order to develop) 努力を再開し継続するよう、本委員会は促す。

18. 対話の中断状態が続くようであれば、締約国とミラル土地所有者は、2001年の第25回委員会(★細川註:フィンランドで開催予定)までに手順についての合意を達成すべく、第三者の調停をうけいれること (avoir recours aux bons offices pour ce dialogue/a facilitated dialogue) を検討するように、本委員会は要請する。※※※
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============ ここまで【無断転載禁】===============

翻訳おわり

実はこの議事録の文言をめぐって、ケアンズ会議は最後の最後まで揉めました。議事録は、通例、書記(幹事国のうち1ヶ国がつとめる)と書記局(=世界遺産センターの実務スタッフ)が作成した草案を本会議の最後に採択されるのですが、修正はごく部分的な調整程度ですむのが普通です。ところが、土曜日の夕方4時から始まる予定だった議事録採択のセッションは、そもそも草案そのものの文言調整が難航し、始まったのは5時半頃でした。全部で100頁程度(付属文書は除く)の草稿のうち、ジャビルカ問題は実に4ページ半を占めています。登録済みの世界遺産の評価の議題は、ふつう、1件あたり長くても2~3段落、ほとんどは数行の記載ですむことを考えると、いかに複雑で難しい問題であるかが分かります。で、この草案の審議が始まると、またもや紛糾。オーストラリア政府が、書き直しや追加をかなり多く提案し、また他の国の代表からも字句の意味不明な点について、次々と意見が出され、書記のドーソンさんは「またまたカカドゥで時間がかかりますね!」と苦笑。カカドゥだけで20分もかかりました(草稿全体の審議は2時間弱)。

上記の議事録に対してのコメントは次号で述べたいと思います。いま、ふたことだけ述べてと、
1) 本会議での深刻な意見の対立にもかかわらず、また、オーストラリア政府が必ずしも専門家 (ISP, IUCN, ICOMOS, ICCROM) からの勧告事項に十分な対応を示していないにもかかわらず、また鉱山操業計画のなし崩し的な変更の可能性が高いにもかかわらず、生物系・生態系レベルでの悪影響は無いという結論に飛躍してしまっていること
2) すでに何度も政府とアボリジニーの交渉は暗礁に乗り上げているのに、まだ交渉を見守る(交渉の継続を強いる)という委員会の優柔不断さは、政府よりもアボリジニーにより大きな負担をかけること
などの理由で、たいへん不当で、分かりにくく不透明な決定であると細川は考えます。部分的には、重要な論点もあり、評価すべき面もありますが、それは次号にて。
over
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ストップ・ジャビルカ・キャンペーン・ジャパン
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「ジャビルカ通信」バックナンバー閲覧: 
http://nnafj.kmis.co.jp/japanese/index.shtm#BULL
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ミラル氏族のホームページ: http://www.mirrar.net
オーストラリア自然保護基金: http://www.acfonline.org.au
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2000.11.30 ジャビルカ通信 第134号

2000.11.30 ジャビルカ通信 第134号

 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃ ジャビルカ鉱山の操業計画に安全宣言    ┃
 ┃                      ┃
 ┃ 文化遺産保全計画をめぐる交渉では     ┃
 ┃ オーストラリア政府とアボリジニーが決裂  ┃
 ┃ 世界遺産委員会は失望を表明、今後の交渉に ┃
 ┃ 国際社会の介入の必要性を明記       ┃
 ┃                      ┃
 ┃ IUCNは、地元民への健康被害の可能性は ┃
 ┃ 否定できない、と声明           ┃
 ┃                      ┃
 ┃ 環境団体は、オーストラリアが国際条約の  ┃
 ┃ 意義を理解していないと批難。       ┃
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
世界遺産会議、第3日(29日)の様子をお伝えします。

カカドゥ問題については、9:45am-11:20am, 12:05-12:15, 1:15pm-1:30pm 合計してちょうど120分におよぶ議論がなされました。途中で、議長国であるオーストラリアが「この問題にだけあまり時間をかけるわけにいかない」と何度も討議打ち切りを示唆しましたが、発言を求める国がやまず。それでも、傍聴している者としては、十分議論されたとの印象は持ち得ませんでした。

結論から先に書きますと、

(A)自然生態系への悪影響については、現在示されている鉱山設計と操業方法を守るかぎり、ほとんど無視しうる影響しか生じない、とする科学者報告を委員会は了承。
(★細川註:現実には、レンジャー鉱山のように、設計と操業法がなし崩しに変更されることは間違いないので、あまり意味のない評価です。)
(B)今後生じる変更にあたっては厳密な事前評価が必要で、それについては独立した評価委員会を設立してモニターする。
(つまり、オーストラリア政府の安全宣言をそのまま承認はしない、ということで、これは評価できます。)
(C)文化面での問題については、先住民族ミラルとオーストラリア政府のあいだの交渉が決裂(28日夜)したことを委員会として確認し、失望を表明。
(D)両者にあらためて交渉再開をうながすものの、もし難航状態が続くようであれば、国際社会からの仲介を受け入れるようオーストラリア政府に勧告。

 以上4点にまとめたのは、細川の勝手な要約で、委員会の決議文は、自然環境領域(AとB)で12段落、文化領域(CとD)で8段落に及んでいます。釈然としないのは、この決議文のテキストがオブザーバーには配付されない(NGOだけではなく、非委員国の政府にも配付されていない)こと。AB部分については、なんとか某国政府筋から入手しましたが、CDについては、どうしてもくれない。ユネスコ職員と押し問答になりましたが、らちあかず。(ロビーイングの実力のあるACFとTWSも、それにグンジェイッミも入手できていない!) もちろん、会議では妥結した文面が読み上げられましたので、ノートをとって、NGOどうしで照合して、だいたい正確なところは把握できていますが、事務局が委員国用に印刷したテキストを渡してくれないということは、最終日の議事録への記載までにまだ表現の修正がおこなわれるということなのかな。

インターネットで読める報道としては、

http://www.abc.net.au/news/newslink/nat/newsnat-29nov2000-65.htm
http://www.abc.net.au/news/state/nt/metnt-29nov2000-7.htm
http://www.abc.net.au/news/state/nt/metnt-29nov2000-10.htm
http://www.theage.com.au/news/2000/11/30/FFXYC3UU3GC.html

などを御覧下さい。
———————————————-
以下、各国代表の発言を順番に要約します。

9時45分 カカドゥ国立公園の議題にはいることをピーター・キング議長(オーストラリア)が宣言。

(昨日、予告された合意文書の英語版と仏語版が委員国に配付される。オブザーバーには配付されず。)

オーストラリア(英語)「連邦環境省のロバート・ヒル大臣が、世界遺産保全のためにオーストラリア政府が1800万豪ドルの特別支出をすることを今朝、発表した。世界遺産保全にかけるわが国政府の意気込みを感じとっていただきたい。」
(以下、オーストラリア政府代表の発言者はすべてロジャー・ビール環境省次官)

ブライアン・ウィルキンスン博士(英国、ISPの主席、英語)「世界遺産委員会の要請をうけて国際科学パネル(ISP)がおこなった評価を報告する。(★細川註:この報告内容は文書で入手できています。ユネスコのwebsiteで検索する場合の公文書番号は WHC-2000/CONF.204/INF.20) ISPは、現在、オーストラリア政府の環境アセスの対象とした鉱山設計と操業方式についてのみ、評価をおこなった。(★細川註:つまり、ジャビルカ現地に製錬設備と鉱滓ダムを新規に建設する案、通称JMA = Jabiluka Mill Alternative) 評価の結論としては、JMAによって自然環境におよぼされる悪影響はほとんど無視できるほど小さいということだ。ただし、ERA社が、環境アセスで提示したのと異なる廃水処理方式をとろうとしていることは承知しているが、今後そのような変更がなされるのであれば、あらためてアセスを全面的にやりなおす必要がある。また、ジャビルカ鉱山の操業が終了したあとの50~60年にわたる長期的な影響についても、本報告とは別に評価する必要がある。また、鉱山操業にあたっては、通例、予測されない事態がしばしば発生す
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(以上、約15分の報告。報告書はA4判52ページ英語)

IUCN(国際自然保護連合、ユネスコ助言機関、英語)「IUCNはISPの報告を承認したが、それとは別個にIUCNとしての見解を文書で提出する。(細川註:10段落にわたる1頁の英語文書、入手済み) カカドゥ問題から私たちが学ぶべきことは非常に多い。世界遺産の保全を考える上では、実際に生じている悪影響もさることながら、潜在的な脅威(将来発生するかもしれない悪影響)にもっと注意をむけなければならない。自然生態系への悪影響がないというISPを結論をIUCNは承認するが、これは将来、周辺住民への健康問題が発生しないことが確認されたということを意味しない。また、ERA社の親会社が最近変わったが、新しく親会社となったリオ社は、これまでカカドゥ地区でおこなわれてきた環境保全のための措置をいささかも低質化させてはならない。」

ユネスコ事務局(世界遺産センターのバンダラン事務局長、英語)「今朝、ロジャー・ビール氏(オーストラリア政府代表)からの書簡を受け取った。オーストラリア連邦政府と北部準州政府のあいだに、カカドゥ地区での環境モニタリングにおける連邦政府の権限を強化するむねの合意が成立した、との内容だ。」

アーサー・ジョンストン博士(オーストラリア連邦政府の任命した「監督科学官」= Supervising Scientist、カカドゥ地区のウラン鉱山周辺の環境モニタリングの責任者)「ジャビルカ鉱山の最終的なデザインはまだ確定していない。追加アセスが必要なことは認める。ISPの求める独立科学諮問委員会は、オーストラリア科学院 Academy of Science が任命するオーストラリア人の科学者をあてるべきだ。ISPの求める「包括的な生態系評価・景観影響評価」は、はたして必要性があるのか、疑問だ。鉱山操業にともなって予測される悪影響は具体的・数量的にすべて評価されつくしており、その結果、安全な操業が可能だという結論はゆるがない。先般のレンジャー鉱山の廃水漏えいはカカドゥ国立公園の環境になんら悪影響を及ぼしていない。」
(★細川註:すさまじい発言でしょ。科学と政治が癒着すると、こういう物言いになるという典型です。レンジャーの鉱滓汚水もれ事故については、通信120号を参照)

カナダ(英語)「長期的なモニタリングの体制をただちに発足させるべきだ。データが整わないうちに鉱山の操業を開始すべきでない。」

ベルギー(仏語)「ISPとオーストラリア政府の合意文書を支持する。リオ社は従来の環境保全の手続きを遵守すべきだ。」

オーストラリア(英語)「リオ社にはオーストラリア政府からそのように要請する。しかし、環境モニタリングには予算の制約がともなうことも理解してほしい。」

フィンランド(英語)「独立科学諮問委員会の構成が、オーストラリア人科学者に限られるのであれば、はたして独立性は保証されうるのか?」

オーストラリア(英語)「アカデミーのような権威ある組織に人選をゆだねれば、独立性は担保される。」

マルタ(英語)「オーストラリア政府のこの間の協力的な姿勢と資金提供に感銘をうけている。」

議長(英語)「それでは、配付した合意文書を委員会の決定として採択したい。」

ベニン(仏語)「文言がおかしい。結論部分の書き方をなおすべきだ。」

オーストラリア(英語)「ISPの求める「包括的な生態系評価・景観影響評価」は、資金的にも方法論的にも非常に困難だ。」(★細川註:あれ、オーストラリア政府は合意したんじゃなかったの??)

カナダ(英語)「影響評価をいつまでにおこなうか、明記すべきだ。」

ウィルキンスン博士(英語)「合理的に可能なかぎり速やかに(as soon as reasonably possible)、との文言を挿入することでどうか?」

南アフリカ(英語)「住民への健康リスクは、はたしてどうなのか?」

ジョンストン博士(英語)「すべてのリスクは具体的・数量的に把握されたと申し上げたはずだ。」

議長(英語)「では、合意文書を採択してよろしいですね。」

ベルギー(仏語)「合理的に可能なかぎり、などと書くと、かえって曖昧で、勧告の効力が弱まってしまう。そのような文言を挿入すべきでない。」

カナダ(英語)「え、どうしてですか。そんなことありませんよ。」

モロッコ(仏語)「もうこんな膠着した議論を続けているべきではない。早くきりあげようではないか。」

ベルギー(仏語)「合理的に可能なかぎり、という慣用句はしばしば対応を遅らせる効果を生むものなのだ。」

モロッコ(仏語)「そういった細かいことは、国際条約文書の作成に慣れている専門家にゆだねるべきではないか。」(★細川註:ユネスコ事務局にあずける、という意味)

議長(英語)「いまウィルキンスン博士から、さきほどの文言(合理的に …)を撤回したいとの意志表示があった。さきほどのベニン代表の示唆した修正のみを加えて、委員会決議として採択したい。」

10時40分、議長の3度目の催促で、ようやく合意文書が採択される。

議長(英語)「次に、文化保全措置の領域を討議したい。ユネスコ事務局から、ビューロー会議での合意文書を説明してもらう。」

バンダラン世界遺産センター事務局長(英語)「ビューロー会議の合意文書では、オーストラリア政府と伝統的土地権利者(★細川註:ミラル・アボリジニーのこと)との交渉が進んでいることを歓迎する、となっていたが、残念ながらこの交渉は昨夜、決裂した。これをうけて、土地権利者であるイボンヌ・マルガルラ氏からユネスコあてに昨日づけで書簡が届いた。その内容は、連邦政府との交渉は決裂した、事態を打開するため、ミラル氏族は世界遺産委員会の助言を求める、本会議での3分間の発言を求める、というものだ。」
(★細川註:この書簡の写しは、29日朝、総ての委員国と多くのオブザーバーに配付された。細川も入手済み。おって翻訳の予定。)

フィンランド(英語)「交渉が決裂したということならば、事態はまったく変わったということだ。ビューローの合意文書は意味を失った。」

ICOMOS(ユネスコ助言機関、英語)「私たちは時限爆弾をかかえているようなものだ。カカドゥ国立公園は、当初は岩絵の価値にもとづいて世界文化遺産に認定されたが、その後、「存続する文化」(living culture) という基準にも該当することが追加認定された。政府とアボリジニーの交渉は、完全に決裂したが、これは今回が初めてのことではない。「存続する文化」の保全計画の策定は、生きている当の人々の協力があってはじめて可能なのだ。オーストラリア政府がそのことを理解できず、当事者能力を欠いた対応をくり返してきた以上、国際社会からの介入が必要だ。つまり、さきほど合意をみた自然環境への影響評価と同じ方式をとるべきではないか?」 (★細川註:ISPと同じような国際チームを派遣して調査をおこなう、という意味)

タイ(英語)「ミラルの人たちの数はあまり多くないときいている。そうであれば、これはあくまで国内問題なのではないか。世界遺産委員会は内政干渉してはいけない。」
(★細川註:昨日来、アドゥーン博士の発言はどうもピントはずれで、期待外れです。)

ハンガリー(英語)「先住民族の文化の価値は、世界が共有すべき普遍的価値なのだ。世界遺産委員会は、オーストラリア政府とアボリジニー土地権利者の対話を仲介(facilitate) するべく積極的にはたらきかけるべきだ。」

オーストラリア(英語)「たしかに交渉は決裂したが、オーストラリア政府の立場は、ビューローの合意文書の線にそったものだ。すなわち、文化保全策を策定するための新しい枠組みを協議する、という試みを放棄してはいない。アボリジニーおよびその他の国内当事者の協力をえて、いつでも交渉を再開する準備がある。交渉の決裂は、誤解にもとづくものだ。」
(★細川註:「その他の国内当事者」とは、鉱山会社、北部土地評議会、そして、両者の合意をえて任命される仲介者を意味する。実は、この「仲介者」が曲者で、すこしややこしい事情があるので、別の号であらためて解説します。)

ひき続きオーストラリア「北部準州政府は、監督科学官(SS)の権限強化に同意した。リオ社は、従来とおりの厳格な環境モニタリングを継続することを約束する声明を今朝、発表した。京都会議とパリ会議で世界遺産委員会からオーストラリア政府に要請された諸事項は、「文化保全策の作成」以外はすべて達成された。残る「文化保全策の作成」は、リオ社の参加をえておこないたい。ジャビルカ鉱山の操業は、当面はじまらないのだから、十分な時間的余裕がある。交渉に際しては双方に善意(good will、交渉を成功させるために協力する意志、という意味)があることを世界遺産委員会はぜひ認めてほしい。アボリジニーとの国内協議を注意深くおこなっていくので、静観していただきたい。」

南アフリカ(英語)「しかし、現実には対話はたびたび暗礁に乗り上げている。そのような場合には、外部からの仲介が必要なのではないか。カカドゥ国立公園はオーストラリア人だけのものではない。私たちは世界遺産の保全のために話し合っているのだ。さきほどのICOMOSの提案を南アフリカは支持する。オーストラリア政府は、第三者による仲介の必要性を真剣に検討すべきだ。第三者は、政府が任命するのではなく、また、先住民族が指名するものでもない。」

フィンランド(英語)「南アフリカの発言を強く支持する。ICOMOSの提案は理にかなっている。」

カナダ(英語)「対話が決裂したという知らせは、とても残念だ。私たちはもう何年もカカドゥの問題を話し合ってきた。当事者交渉の決裂について委員会が失望していることを、決議文書に明記しなければならない。また、オーストラリア政府とアボリジニーの双方に対して、対話の再開を強くうながしたい。」

ハンガリー(英語)「さきほど、ミラルの人から発言の要請があった筈だが、どうなったのか。委員会として決定を下す前に、ミラルの発言をうけたい。」

パプアニューギニア(英語)「世界遺産委員会でわが国政府が発言するのは初めてです。オーストラリア政府がいろいろな努力を払っておられることには敬意を表します。いまここで最も留意すべきことは、「生きた文科」の問題であるということです。カカドゥのような問題は、ひろく大平洋地域のあちこちで見られます。古典的ケースというべきでしょう。すべての原因は鉱山開発にあることは明らかです。カカドゥ国立公園を世界遺産に認定した際に、すでに鉱山の存在は委員会に知れていた筈です。問題がおこることは最初から分かっていたというべきではありませんか。大平洋地域でこのような問題がくり返されることを、わが国政府は大いに憂慮しています。」
(★細川註:パプアニューギニアの主席代表は、国立博物館の館長さんです。)

南アフリカ(英語)「対話は永遠に続けているというわけにはいかない。一定の期限を設定して交渉の成果を出すような枠組みが必要だ。」

議長(英語)「ミラル代表者のイボンヌさんは、公式オブザーバー資格をえていますから、委員の皆さんから異議がなければ発言をすることを議長として許可することができます。いかがですか?」

(異議なし)

11時15分から1分間。イボンヌ・マルガルラの発言。
「今日は英語で話します。ちょっと、あがってます。うまく話せるかしら。
ジャビルカには djang(ジェン)があります。たいへん危険です。
政府は私たちの言うことを信じてくれません。
政府は私たちが嘘を言っていると言うのです。
ジャビルカに djang などないというのです。
聖地はとても強いのです。
私たちはあそこに djang があると信じています。
政府は私たちを助けてくれません。
私たちには皆さんの助けが必要です。」

(★細川註: djang は神話の精霊が宿る場所のこと。「聖地」)

ICOMOS(英語)「やはり外部組織が交渉に関与すべきだ。ICOMOSとしては、仲介の準備をする意向がある。」

ICCROM(ユネスコのもうひとつの助言機関、仏語)「委員会の決定の文言は明確でないといけない。外部からどのような関与をするのか、具体的に示す必要がある。」

オーストラリア(英語)「ミラル側は、ロバート・ヒル環境大臣がミラルの対応を批難したとしているが、「ミラルが事実を述べていない」とする発言を大臣がした事実はない。」
(★細川註: 前夜の交渉は環境大臣とグンジェイッミ法人のあいだでおこなわれた。交渉の席上、環境大臣は聖地の具体的所在をミラルが明かさないことに業を煮やして、聖地の存在そのものに疑問を呈する発言をおこなった。)

議長「15分間の休憩に入りますが、この案件はまだ結論がでていません。したがって、会議場の外の人たち(★細川註:マスコミのこと)に議事の内容について話すことを禁止します。」

11時20分から、結局45分間の休憩となった。イボンヌさんは、ようやくホッとしたような表情に。休憩のあいだに、カナダを中心に、委員会決定の文案が作成される。

12時5分再開
議長(英語)「カナダ政府の努力によって、これまでの議論をふまえた委員会決議の草案がまとまりました。読み上げます。」

草案(8項目)の骨子:
1)ウラン鉱山開発によって彼らの文化・社会が脅かされるかもしれないとの懸念を先住民族がいだいていることに留意する。
2)文化地図の作成と文化遺産保全計画の策定が、現時点では不可能であることを認識する。
3)上記の策定作業に助力する意志をICOMOSが表明していることに留意する。
4)オーストラリア政府が、策定にむけた新たな過程にはいる用意があることを確認する。
5)現時点で政府と先住民族のあいだの対話が中断していることに留意する。
6)対話の継続が重要であることを再確認する。
7)政府と先住民族が対話再開にむけて努力するよう促す。
8)対話の中断が続く場合は、委員会はオーストラリア政府および先住民族の双方に対して、調停者の介在する対話にはいることを検討するよう要請する。そのような対話は第25回世界遺産委員会(2001年11月)の前に始まっていることが望ましい。

議長(英語)「この問題ばかりにあまり時間をとっている訳にはいきません。いまの草案に対して委員国の合意を求めます。」

モロッコ(仏語)「8がよく分からない。もう一度、読んでいただきたい。」

議長(英語)「すみません、読み方が早すぎました。」(再度、読み上げ)

コロンビア(英語)「カカドゥについて科学と文化を別々に議論してきたが、複合遺産としての統合性(integrity) がちゃんと評価できていないのではないか。」

ベルギー(仏語)「書かれたテキストを配付しないで、読み上げだけで決定を下すことはできない。国際会議の慣習に反している。」

モロッコ(仏語)「ベルギーに同意する。正確さを欠いたやり方だ。」

南アフリカ(英語)「イボンヌさんが発言したことが全く反映されていない。委員会として彼女の発言にきちんと留意すべきだ。」

議長(英語)「それは議事録に記載する。テキストについては、フランス語への翻訳も含めて、今から書記局が準備するので、それが届いた時点であらためて審議したい。」(12時15分)

(ということで、いったんカカドゥの話はきりあげ、次の議題にはいる。次の議題は、地域ごとの遺産保全の計画について、ということで、今回は東アジア・東南アジア地区の計画が審議される。そのなかで、日本政府代表団からの説明があり、要するに資金提供をいたしますよ、ということ。しかし、その発言(英語)の冒頭「これまでの議長の采配がたいへんお見事であることを賞賛します」などと言うので、のけぞってしまった。いったい何を聞いておったのだ、文化庁のお兄ちゃん!)
13時15分、テキストの英語版/仏語版が委員国にのみ配付される。
議長(英語)「委員のコメントを求めます。」

ベルギー(仏語)「第8項のフランス語の表現が分かりにくい。」

議長(英語)「たしかに、そこは翻訳の人が苦慮してました。」

ベニン(仏語)「第7項のフランス語の動詞と時制をあらためる必要がある。」

モロッコ(仏語)「第8項で、仲介役を誰が提供するのか明らかでない。」

南アフリカ(英語)「第1項で、脅かされるかもしれない(threat still might exist) とあるが、伝統的土地権利者の発言は、危機の存在を明確に述べたのだから、かもしれない(might) は削除すべきだ。」

議長(英語)「そこの表現は、ビューロー会議での合意の文面を用いたまでだ。」

ハンガリー(英語)「南アフリカを支持する。さらに、委員会はミラル代表の協力に感謝する、というような文言があってしかるべきだ。」

オーストラリア(英語)「第8項の文言はベルギーの意見をいれて直したい。」

ギリシャ(仏語)「 …」(第2項のフランス語の文言について注文/聞き取れず)

書記局(仏語/英語)「(ギリシャ代表の指摘に応じたうえで)(第1項の) might は削除します。」

議長(英語)「では、そのような修正を加えた上で委員会決議として採択します。ミラル代表のご協力に感謝します。」

13時30分、カカドゥ国立公園の議題、終了。
やれやれ疲れた。

NGOはロビーに出て評価会合。みな浮かぬ顔をしている。もっと悪い結果がでる可能性があったのだから、委員会決議には評価できる部分もある。だが、テキストが配られないなど、不透明さがつきまとい、最終日(土曜日夕方)の議事録採択の際に、もうひと悶着ありそうな気配もある。ともあれ、2時から記者会見をひらくので、意見交換と調整をおこなう。ミラルは、みな厳しい表情で鳩首会談。

決議の評価については、号をあらためて分析したいと思います。
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  840-8502 佐賀大学 農学部3号館 細川研究室気付
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2000.11.30 ジャビルカ通信 第135号

2000.11.30 ジャビルカ通信 第135号
参加国情報の補遺: 次の国もオブザーバー参加(非委員国)していることを確認しました。
 
   タンザニア、アゼルバイジャン、パプアニューギニア

まだ、他にも未確認の国があると思われます。参加国数は、ざっと60ヶ国くらいでしょうか。
まだ顔をあわせていない(発言もない)けれど、たぶん来ていると思われる国は以下の通り:

   ベネズエラ、ニカラグア、セネガル、ベラルーシ、ボスニアヘルツェゴビナ、
   スイス、クロアチア、アルメニア、ウズベキスタン
通信132号で、米国連邦議会の資源委員会がオブザーバー参加していると書きました。正確には、連邦議会の下院(House of Reps) の資源委員会 (Committee on Resources) です。

これまで、ジャビルカ鉱山計画のカカドゥ国立公園への影響(水質汚染・生態系への影響)を評価してきた「ISP」を「独立科学者パネル」と訳していましたが、正しくは「国際科学パネル」(International Science Panel) でした。ごめんなさい。お詫びして訂正します。もちろん、「独立」(Independent) というのもISPが設立された大きな理由なのですが。
通信133号で、オーストラリア南東部、ブルーマウンテンの登録はたぶん無いのではないか、と見通しを述べましたが、はずれ。29日の夕方、最後の議題で、30分におよぶ議論のすえ、自然遺産リストへの登録が決定しました。IUCNの勧告では、「国内的には保全上の価値は高いが、世界的にみればユニークではない」という否定的な評価だったのですが、現在、世界各地にユーカリが人為的に普及し、かつ各地でさまざまな害を及ぼしているという現状をふまえ、ユーカリの原産国の原生林には調査研究上の価値が高い(非原産地域で発生している環境問題への対策に貢献するデータが得られる期待がもてる、という意味で)として、世界遺産への登録がきまりました。

 

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2000.11.29 ジャビルカ通信 第133号

2000.11.29 ジャビルカ通信 第133号

 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃ 危機遺産リストと締約国の「拒否権」を    ┃
 ┃ めぐって、意見対立             ┃
 ┃                       ┃
 ┃ カカドゥ問題をめぐって、オーストラリア政府と┃
 ┃ IUCNが歩み寄った(秘密会)と書記報告  ┃
 ┃ 詳細は、29日に文書配付される模様     ┃
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

世界遺産会議、第2日(28日)の様子をお伝えします。

(会議は毎日9am-7pmくらい、ロビーイングはいつも夜まで及び、またNGO寄り合いが830amからあるので、この通信は、翌日の朝、6am-730amくらいに書いています。あたふたと書いてますので、文章がこなれていない点はお許しください。)

(マック以外の機種で受信される方は、フランス語のアクセント記号が文字化けすると思いますが、お許しください。)
ジャビルカ/カカドゥ国立公園の件は、秘密会での折衝(オーストラリア政府、国際自然保護連合IUCN、独立科学者パネルISP)が初日から平行しておこなわれています。カカドゥ国立公園の評価は、当初の議案書では28日の午後に審議される予定でしたが、書記局から「(秘密会での)折衝が数時間前にいちおう妥結して、合意文書が英語で作成された。公用語のフランス語に翻訳する時間が必要なので、あす(29日)の朝に文書配付して審議する」と、いささか唐突な発表がありました。

その文書の内容は、まだわかりません。ACFとTWSの人たちが盛んに走り回ったり携帯をかけまくって、探りをいれてますが、いつもと違ってIUCNの口が固く、またミラル側(グンジェイッミ先住民族法人)にも知らされていません。アレックはかなり苛ついています。ロジャー・ビール(オーストラリア政府)は例によってポーカーフェース。議長さん(オーストラリア政府のピーター・キング)は、なんとなく浮き浮きした様子です。

いっぽう、グンジェイッミ先住民族法人も、オーストラリア政府(環境省)とIUCNとそれぞれ別個に折衝を重ねています。ジャッキーは、ほぼグロッキー状態。トラッカーによれば、「 agree to disagree の状態だ」そうです。この内容については、ざっと聞いていますが、まだ書いちゃダメ、と言われているので、後日あらためて。

というわけで、カカドゥ/ジャビルカの件は、表舞台ではまだ議論されてないのですが、その前哨戦となる重要な議論(そして、かなり鋭い意見の対立)がありました。

世界遺産条約の運用規則(operational guideline) の改訂問題(通信129号、130号参照)ですが、危機遺産リストの認定にあたって、当事国に拒否権があるのか否かです。これは、たしかに現行の条約および運用規則では、あいまいです。指定は委員会が決定する、と書かれていますが、第11条では当該の条約締約国(つまり問題となる自然遺産/文化遺産の所在国の政府)の同意をえて世界遺産リストあるいは危機遺産リストへの登録(inscription)がおこなわれる、とされています。

ネパールのカトマンズ渓谷(歴史的集落と景観)の保全状況をめぐる議論で、IUCNは以前から危機遺産リストへの登録を勧告してきましたが、ネパール政府がIUCNの助言(保全対策)を具体的に受け入れる意向を示していることから、危機遺産への登録を見送るべきかどうかが問題となりました。

タイ代表のアドゥーン博士が、「危機遺産リストへの登録は、制裁措置ではなく、問題となる世界遺産の保全を国際社会が緊急かつ全面的に支援するということを意味するのだ」というかねてからの主張を述べたところ、オーストラリア政府のロジャー・ビール代表が「当事国の同意なしに登録する権限は委員会には無い!」とかなり強い調子でぶちあげました。これに、ベルギー・ギリシャ・ハンガリーが強く反発。ギリシャ代表(ユネスコ大使をつとめる女性)は「当事国の同意がなくても危機遺産の指定はありうる。すべては委員会が決定し、委員会のみが決定する」と、これも強い調子で主張。
ちょうど午後のお茶の時間になっていたので、キング議長は議論をきりあげるつもりで、「ほかに発言がなければ、お茶に …」と言いかけたら、なんとほとんど全ての委員国の代表が一斉に挙手しました。議長は、やむをえず、お茶のあと議論を継続することを宣言し、発言の順番を指定しました。指定からもれた国が、国名の書いてあるプラスチックの板をふりあげて(国際会議で発言を求めるときの慣習)存在をアピールし、書記局にうながされた議長がこれらの国を発言予定リストに追加しました。このような光景は、温暖化会議などでは頻繁に見られるのでしょうが、ユネスコの会議では珍しい一幕です。

(お茶のあいだも、各国代表が議論を重ねています。こうなると、細川など全然お呼びじゃない。ひたすら耳ダンボで、お菓子をぱくつくのみです。昔とった杵柄でスペイン語がききとれるのは、こういう時、ものすごく役にたちますね。)

さて、休憩後の主な発言は次の通り:

ギリシャ(フランス語/英語)「これは深刻な問題だ。拒否権を認めてしまったら、世界遺産条約の効力がいちじるしく損なわれる。危機遺産リストはブラックリストではないのだから、政治的配慮をはさまず決めるべきだ。」

南アフリカ(英語)「これはイデオロギーの領域の問題だが、この問題に関する限り、私達はイデオロギーをたたかわさざるをえない。パンドラの箱はすでにあけられたのだ。」

ハンガリー(「遺産登録の権限は、あくまで委員会にあり、委員会のみにある。」

フィンランド(英語)「おびやかされている遺産の保全に地元が努力して成果をあげている時には、危機遺産登録は見送るべきだ。そうでないと努力を低く評価したことになってしまう。」

韓国「委員会が何らかの決定をくだすときは、事前のコンセンサスが成立していることが望ましい。」

ベニン(フランス語)「我々はこの問題をもう6年近く議論してきた。現行の条約と規則には、たしかに2通りの解釈(国の同意が必要/必ずしも必要でない)を許す文面になっている。危機遺産リストというものの存在理由にたちもどって考えなくてはならない。つまり、世界遺産の劣化(d使radation)をくいとめる、ということが目的なのだ。」

タイ(英語)「11条の4には、必要があるとみなされるときには委員会が幹事国会議の審議をまたずにいかなる時点でも即座に危機遺産登録をおこなうことができる、とある。この条文を文字とおりに解釈すべきだ。一方、当時国との協議のプロセスは大事にすべきだ。」

ベルギー(フランス語)「ネパールの件でこんな長い議論になるのは驚くべきことだ。しかし、問題となっているのは条約の根本原則にかかわることなので、よく検討することが必要だ。委員会がはたすべき役割は、世界遺産を守るためのあらゆる可能な手段をとるということに尽きる。条文解釈の問題については、ユネスコの国際法担当の専門家に諮問して、きちんとした助言を受けるべきだ。」

キューバ(フランス語)「ガラパゴス諸島の保全のときと同じ扱いにすべきだ。」(細川註:当事国政府に十分な時間を与えるということ?)

インド(英語)「…(ききとれず)」

モロッコ(フランス語)「もし、当事国政府が委員会に同意しない事態になったら、委員会としてどのような手段が残されるのか、よく考えなければならない。」(細川註:これは意味深長な発言です。カカドゥ国立公園の件がまさにそういう状況なので。)「特定の案件についての決定を下す必要がある状況でこの原則問題を議論することは、我々にとって大変なプレッシャーであり、望ましくない。条約の解釈を確定するために、個別案件の審議からはなれた特別会議をひらいて決着をはかるべきだ。」

コロンビア(フランス語)「締約国には条約の目的を遂行する責任と義務がある。」

中国(フランス語)「原則の問題と運用の問題だ。運用の問題を重視すべきだ。委員会は当事国が効果的に保全策をとれるような方向で支援しなければならない。」

ネパール(英語)「ユネスコの助言をすべて受け入れて、あらゆる可能な保全策をとるつもりだ。」(細川註:だから危機遺産認定は見送ってほしい、という含み)
議題としては、ネパールのカトマンズ渓谷をめぐって火がついた議論ですが、もちろん総てはジャビルカ問題を念頭に発言されています。

 

 ちなみに今回の会議では、あらたに危機遺産として3件(カカドゥは除く)が登録される見込みです。
通常の世界遺産リストへの新規登録は、44件(自然遺産7件、複合遺産1件、首里城など文化遺産が36件)見込まれています。オーストラリアのブルーマウンテンの自然遺産リストへの新規登録は、微妙なところ。たぶん見送られるのではないかな。
さあ、これから朝の会議です。いよいよカカドゥ国立公園の件が議論されます。今日だけでは終わらないかも知れません。行ってきます。

(イボンヌさんも、カステラ食べて、元気を出してます。)
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2000.11.29 ジャビルカ通信 第132号

2000.11.29 ジャビルカ通信 第132号
まず、お詫びと訂正:
前号でお伝えしたジャビルカ問題についての独立科学者パネル(ISP) の3本の報告の文書番号のうち、第1報告の番号がまちがってました。すみません。
————————————–
(誤)
WHC-2000/conf.205/INF.3E
WHC-2000/conf.202/INF.7
WHC-2000/conf.204/INF.20

(正しくは)
WHC-99/conf.205/INF.3E
WHC-2000/conf.202/INF.7
WHC-2000/conf.204/INF.20
————————————–

インターネットで流れているケアンズ会議関係の記事から2本:

http://www.theage.com.au/news/20001128/A41549-2000Nov27.html
(世界遺産条約の運用規則の改訂に関するオーストラリア提案とその撤回、通信130号を参照)

http://www.abc.net.au/news/indigenous/ab-28nov2000-6.htm
(短いスピーチを予定していた北部クインズランド土地評議会のアボリジニー代表が、「時間の都合で」と議長(オーストラリア)に発言を拒否されたため、会議場前で抗議した。これは写真もとってありますので、またいずれ紹介します。)

————————————–

次に、通信読者からのいくつかの質問にまとめてお答えします。

(質問1)「どこが幹事国/委員国なのか、具体的に知りたい」

 はい、幹事国(7ヶ国)は:オーストラリア、フィンランド、ギリシャ、ハンガリー、メキシコ、モロッコ、ジンバブエ、委員国(幹事国に加えて次の14ヶ国)ベルギー、カナダ、中国、韓国、タイ、ベニン、南アフリカ、キューバ、コロンビア、エクアドル、エジプト、イタリア、ポルトガル、マルタ(順不同)
以上、21ヶ国で世界遺産委員会が構成されています。
このほかに会議に参加しているのは、細川が確認した限りでは、29ヶ国(オブザーバー参加国、順不同):オーストリア、ブラジル、ブルキナファソ、フランス、ドイツ、バチカン、日本、ネパール、オランダ、ニュージーランド、ペルー、スロバキア、スペイン、スウェーデン、ウガンダ、英国、ベトナム、リトアニア、サウジアラビア、マレーシア、インド、ポーランド、アルゼンチン、米国、ロシア、イスラエル、フィリピン、モザンビーク、トルコ、フィリピン、パレスチナ

ほかにも来ている国があると思いますが、未確認。なにせ、まだ参加者リストが公開されていない(事務局が編集中)。

主に議論をリードしている(=さかんに発言している:立場はさまざま)国は、オーストラリア、フィンランド、ギリシャ、ハンガリー、モロッコ、ベルギー、ベニン、タイ、南アフリカ、イタリアなどです。
幹事国・委員国以外で積極的に発言しているのは:ドイツ、インド、ロシア、米国など。日本はこれまでのところ、いっさい発言なし。後ろのほうでおとなしくしてます。
(オブザーバーも、政府代表であれば、議長の許可をえて発言できます。NGOはできない。)

※前号で「アメリカがいない」と書きましたが、ちゃんと来てました。失礼。
(質問2)「首里城の世界遺産認定は、ケアンズ会議で決まるのか?」

 たぶん明日(30日、会議第4日)に審議され、承認される見通しです。配付されたリストには、「Sites Gusuku et biens associ市 du royaume des Ryukyu」となっています。日本関係は今回この1件のみ。
(3)「ジャビルカ問題以外では、どんな環境NGOが会議に参加しているのか?」

環境団体としては、通信129号であげた団体のほか、WWF、フリンダー島を守る会(主に湿地、渡り鳥)、エネルギー自然資源評議会(CENR)、あと地元クインズランド州の自然保護団体がいくつか。
面白いことに、米国の連邦議会の資源委員会も代表を送ってきています。
学者関係では、国際考古学者会議(WAC)、ビクトリア大学(ニュージーランド)、サザンクロス大学。
アボリジニー関係では、ワーニ伝統長老会議、イディン先住民族、バマ熱帯雨林アボリジニー協会、北部クインズランド土地評議会、グンジェイッミ先住民族法人など。
それと、エルサレムの件があるので、サイモン・ウィーゼンタール財団も来ています。
●写真を送れ(メールに添付しろ)とのリクエストがありましたが、すみません、デジカメを使ってないので、そういう芸当ができません。

さて、ジャビルカ問題はいよいよ今日(29日)議論されます。前哨戦となった昨日の議論の様子とあわせて、次号でお伝えします。
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2000.11.28 ジャビルカ通信 第131号

2000.11.28 ジャビルカ通信 第131号
世界遺産委員会ケアンズ会議の内部資料がすでにユネスコの website に載っている、とユネスコの職員さんが言ってます。細川は未確認ですが、ジャビルカ問題に関連する文書の番号(ユネスコ公文書番号、websiteで探すときもこの番号を用いる)は下記の通りですので、関心のある方は検索してみてください。
(「—」以下は細川の注記)

WHC-2000/conf.204/4 — 先週のビューロー会議の議事録
WHC-2000/conf.204/9 — 危機遺産の保全状況の個別審議資料
WHC-2000/conf.204/10 — それぞれの世界遺産の保全状況の個別審査資料
WHC-2000/conf.204/12 — 世界遺産リストおよび危機遺産リストの候補についての個別審査資料

WHC-2000/conf.204/INF.19 — 危機遺産リストの役割についての評価
WHC-2000/conf.204/INF.20 — ISPの最新の報告(2000年9月)

上記番号の「WHC-2000/conf.204」はケアンズ会議のコードです。初日の事典で用意された文書は32件で、いずれもこのコードがついています。
ちなみに、京都会議(1998)は「WHC-2000/conf.203」、パリ会議(1999)は「WHC-2000/conf.205」ですので、議事録など関連文書が読める筈です。(なぜかコード番号の順番が前後しています。)

ジャビルカ問題についての独立科学者パネル(ISP) の報告(1)(2)(3)は、それぞれ、次の番号となります。

WHC-2000/conf.205/INF.3E
WHC-2000/conf.202/INF.7
WHC-2000/conf.204/INF.20

ユネスコのホームページから(あるいは国連のホームページ)から、World Heritage Committee あるいは World Heritage Centre にリンクしています。
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ケアンズにて、細川 弘明

2000.11.28 ジャビルカ通信 第130号

2000.11.28 ジャビルカ通信 第130号

 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃ ビューロー会議の議事録、承認されず   ┃
 ┃ 委員会の改革案をめぐって、はやくも紛糾 ┃
 ┃ 世界遺産条約そのものの改訂も視野に   ┃
 ┃                     ┃
 ┃ 連邦環境大臣に「指名手配書」!     ┃
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
 世界遺産会議の初日の様子です。ケアンズは雨模様。
 原生自然協会(TWS)のアレック・マーさん(京都会議に来日したひげもじゃ熊さん)が、日本の皆さん、とくに京都の皆さんによろしく! と顔をほころばせています。とりわけ、アイリーン・スミスさんにエールを送りたい、とのこと。「グリーン・アクションは頑張っておるか? 財政は大丈夫か?」と心配しているので、「大丈夫、大丈夫、そう簡単にはつぶれんよ」と無責任にも請け合っておきました。
 さて、ジャビルカ問題をめぐる情勢は、思いのほか厳しく、ジャッキー・カトナは顔をくもらせています。

自然環境への影響に関しては、前号でお知らせした独立科学者パネル(ISP)の報告(第3報告)が議論の鍵となります。ビューロー会議(先週)の議事録では、ISPの報告がかなり都合良く(つまり鉱山開発の容認につながる部分を中心に)「要約」されています。議事録の文面の作成には新旧議長の意向がかなり反映されますから、これは新議長であるオーストラリアのピーター・キング氏の恣意的操作である、というのがNGO側の見解です。ISPの首席をつとめる英国のブライアン・ウィルキンズ教授は、この議事録にかなり腹をたてていて、本会議での彼のスピーチがどのようなものになるか、注目されます。オーストラリア自然保護基金(ACF)のデイブと原生自然協会(TWS)のアレックがウィルキンズ教授に集中的にロビーイングをかけています。

文化・社会的影響に関しては、オーストラリア政府がアボリジニー側を非難する作戦(文化保全計画の交渉にアボリジニーが協力しないことが対策の遅れであるという主張)が、かなり各国政府代表に浸透していて、本会議では、これまでとは違う方針が検討される(具体的には、両者の交渉を仲介・促進するような作業部会の設立を検討)ことになりそうです。すくなくともビューローからはそのような提案がなされています。これは、ミラルにとっては、非常な圧力です。つまり、「交渉に協力する」ことが前提とされてしまっているのですから。そもそも、文化保全策をとらないまま、開発計画をどんどん進めてきてしまっていること自体が問題であり、ミラルはその点を厳しく批判しているのに、そのことが不問に付されようとしているのですから。

ジャッキーは、「京都会議はもうずっと過去のことのようだ」と言います。京都会議でアボリジニー側の主張は各国政府から予想以上の好意的反応をひきだしましたが、同時にそれゆえに、深刻な意見の対立が委員会のなかに生じました。ユネスコというのは、安全保障委員会や温暖化会議とはちがって、学者・文化人の「仲良しクラブ」的な色彩が今でも濃厚なので、京都会議でのようなはりつめたムードは基本的に忌避されます。各国代表のおおかたの雰囲気としては、「まずオーストラリア政府とアボリジニーとでよく話し合ってくれ、そこから妥協案が出てくれば、委員会としてその内容を評価するから」、といったところ。これでは、オーストラリア政府の思う壷なのです。

ともあれ、ミラル側(グンジェイッミ先住民族法人のスタッフ)と連邦政府(環境省の事務方)とのロビー会合がくり返されています。残念ながら、細川は立ち会うことが許されていませんので、後から双方から話をきいて事態を推測するしかありません。おって、報告していきます。
■前号でのビューロー会議の様子の報告で、重大な点をひとつ落としていました。というか、昨日の会議での議論をきいていて、ようやく理解した次第なのですが、オーストラリア政府はすさまじい提案をしたそうです。
すなわち、世界遺産条約の運用指針(operational guideline) の改正案を提起。実際に素案を文書で配付したそうです。この文書は、あまりの評判の悪さに撤回されたため、会議資料の番号はついていません。改正内容はいろいろありますが、目玉は「危機遺産の指定にあたっては、当事国の同意を必要とする」という点。つまり、カカドゥ国立公園であれば、オーストラリア政府の同意が無ければ危機遺産に指定できない、というわけです。試合の直前に(というか、これまでの何回もの会議で延々と議論されてきた経緯を考えれば「試合の最中に」というべきでしょうが)ルールの変更を申し出ているわけで、ぶっとびます。

この提案は、さすがにビューローでは承認されず。しかし、オーストラリア政府はあきらめてませんので、本会議でも紛糾は必至。初日から、すでに小波瀾が続いています。あれやこれやで、ビューローの議事録報告の承認を留保する国(ギリシャ、イタリア、南アフリカなど)がでました。本格的には今日(第2日)に審議されます。初日の反応からすると、オーストラリア政府の改正案はそのまま委員会にかけると潰れてしまうので、オーストラリア政府の提案を検討するための作業部会を設けるような方向に進むのかな、というのが細川の予想です。(はずれるかもしれませんが。)
■初日に、副委員長(vice-president、ビューローの副議長をかねる)の交代があり(これは定例)、タイのアドゥーン・ウィチエンチャルーン博士が選出されました。京都会議で、カカドゥ国立公園でのウラン開発に対して非常に厳しい(また格調高い)発言をして、会議の流れを一気に「工事停止勧告」に方向づけた人です。
(→とーちさん作成のホームページ http://SaveKakadu.org に当時の発言内容が紹介されています)

細川としては、これは非常にいい人選だと思うのですが、アレック(TWS)は「あいつはパリ会議では変節した(オーストラリア政府の外交圧力に屈した)から、ダメだ!」と苦虫をかんでます。それでも、アドゥーン博士に対する各国代表からの人望はきわめて高く、また彼自身も積極的に発言する人なので、会議の行方を握る鍵人物といえるでしょう。
■今回の会議に、日本からは、外務省・環境庁・文化庁などの人が8人ほど来ているようです。(初日に配付されたリストには5人の名前しか載ってませんが。) 外務省の高橋ナオミさん、環境庁(林野庁?)の米田クミコさん、ご存じの方ありましたら、細川まで御連絡ください。
いま、日本はビューローからも委員からも外れているせいか、かなり軽量級の代表団です。会議の進行や裏交渉への影響力はほとんど無いだろうと思われます。

■会議参加国は、幹事国(ビューロー)7ヶ国、委員国14ヶ国(委員会は幹事国もふくめ21票で構成)、非委員国がざっと数えたところ20ヶ国あまり。(公式の参加者リストは、ユネスコ事務局が作成中)
公式諮問機関が4、オブザーバーNGOが18です。ざっと350人規模ですので、温暖化会議などにくらべると小さい会議です。なぜか、米国代表が見当たらない。まさか来てないということはないと思いますが。
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 会議場の入り口では、カカドゥ国立公園の保全を求めるグループ(若い人中心だが、オッサンも混じってます)が、色とりどりの横断幕をたくさんかかげ、太鼓をどんすか叩き、賑やかです。警官が約1名(!)配備されていて、のんびりした雰囲気。うむ、オーストラリアだなあ。

 会議場の建物の壁のあちこちに、「ロバート・ヒル指名手配書」(Wanted: Robert Hill) という緑のビラが貼ってあります。ごぞんじ、オーストラリア連邦環境省の大臣ですが、一貫してジャビルカ開発を強引にすすめてきたことをはじめ、「開発大臣」の異名をとっています。なんでもハーグでのCOP6では、ウラン輸出量を二酸化炭素削減への貢献にカウントする(「sinkとみなす」!)ためのアイデアを披露したとかで、ま、そりゃ指名手配もんですわな。

 イボンヌさんは、少し疲れているとのことで、初日はオフ、静養。

 
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